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〜大きなパリ〜 欧州旅行記③

前回の②では明日はルーブルに行くというところで終えたが、今回は旅行中に執筆しているということで旅の終盤を書いていこうと思う。ちなみにこの②と③の間では、ベタにルーブルやベルサイユ宮殿、モンマルトルに行っていたが、驚いてばかりで是非とも気になる方は何も読まずに行くべきだと思うので割愛させて頂く。今回はパリ3日目の夕方から5日目最終日の朝までを綴る。

3日目の夕方も僕らはとてもよく歩いた。我々はここまでパリの右岸ばかりを観光していた為、そろそろ左岸の方も見に行きたいと奥さんの提案で行くことにした。
目標地として、僕も高校生くらいの頃に影響を受けたサルトルが足繁く通ったカフェ・ド・フロールに行くことにしようと言った。まずモンマルトルからバスで向かうことにした。バス停に向かう途中、ムーラン・ルージュ周辺を歩いている時に見たパリは面白かった。アダルトショップが何店舗かありセクシーな衣装やSMグッズなどがショーウィンドウに飾ってあった。それらはあまりいやらしさを感じさせず、むしろかっこいいもののように堂々と置かれているのが印象的であった。「性」に対しての捉え方が日本とやっぱり違う。ムーラン・ルージュは今では高貴なショーのようになってはいるが、元々の歴史を見るとやはりストリップのようなもので、それを芸術へと昇華させていったものではないかと思う。その頃の名残りのようにしてこのようなアダルトショップがあるんだろうなと思い、こういった街の歴史を感じさせてもらうきっかけにもなっていると僕は思った。
もう夕方頃になりこの時はすでに19:00くらい。パリは全然明るい。

無事に左岸のサンジェルマンのバス停に着いた。そのすぐ近くにカフェ・ド・フロールが見えた。ここで特筆すべき点として挙げられるのはまず、ここらへん一帯はとても落ち着いていて高級感があった。外から見えるいくつかの店内の内装が明らかにこれまでと違ってワンランク上にあると思った。

我々はここらへんで栄えてそうな場所を探しに歩いてみた。
大通りから狭い通りに入っていき何本か道に入っていくとお洒落なカフェやビストロが見えてきた。とてもいい雰囲気であった。そのうちの1つに色々なポスターや絵が壁一面に飾ってあるレストランの中をふと見るとその絵達の中でもダントツで大きなゴダールの「軽蔑」のポスターを発見しブリジットバルドーがセクシーな格好で口を半開きにしている姿を見つけた。おおここにいたのかゴダールは。と僕が最も好きな映画監督のゴダールをまだパリで感じていなかったと思った。僕は奥さんに「後でここに行きたい。」と言い了承をもらった。

しかし僕らはよく歩く。この日はモンマルトルの丘で坂を登ったり降ったりしたばかりというのに。サンジェルマンに着いたばかりなのに、そういえばモンパルナスにも行ってないと言って、そのまま歩いてモンパルナスの方まで向かっていた。お腹がまだ空いていないのと左岸をもっとよく知りたいという気持ちが強かったのもある。その道中では国の議会所やレンガ作りの建築と美術を学ぶ大学と書かれた建物が特に印象的であった。時間帯もあってか人がとても少なくとても落ち着いた雰囲気で良かった。この時21時頃でちょうどパリ全体は夕日に照らされて美しかった。

結局モンパルナスに着いた頃には21時半頃で、さすがのパリも暗くなり始めていた。モンパルナスで一番高いタワーを見つけ、「これモンマルトルの丘から見た時に遠くにあったビルじゃん。」と言った。僕らは本当によく歩く。
満足したのか、道中であまり入りたいお店がなかったのか結局電車でサンジェルマンへと戻り、僕らはあのゴダールのポスターが飾ってあったレストランに向かった。

たまたまゴダールのポスターが飾ってある席に勧められ。そこに座ることができた。店内は意外にも流行りのポップソングなどが流れるお店で飾ってある偉大な絵や映画達のようではなく非常に現代的で軽い印象を与えた。「奥さんはせっかくなら昔の映画音楽とかかければ良いのにね。」と呟いた。その通りだと思った。
ワインをデキャンタでもらい牛肉煮込みのような料理と鴨とフォアグラのサラダを
二人で食べた。あんだけ歩けばそりゃ腹が減る。

僕もゴダールのポスター欲しいなーと思って、明日はポスターを少し探したいと奥さんに言って了承を得た。

お店を楽しんだ後、終電ってそういえば何時なのだろうと思い調べたら、意外にも3時くらいまであってびっくりした。疲れと酔いで、最後はコーヒーを飲もうと言ってお会計をした。お会計済ませて念願のカフェ・ド・フロールに着いた。とても長い回り道をしたなと僕は思った。当初はここを目掛けて来たのに。

カフェ・ド・フロールの雰囲気はパリで我々が味わったものの中で最も上品であった。聖地のようになっているので意外にも店の名前を配した凝った紙のコースターやグラスなども売っていてブランディングもしっかりしていた。僕はせっかくだからと思い自分のお店でも出している「アイリッシュ・コーヒー」を頼んだ。アイリッシュウイスキーの量がとても多くウイスキーの上をコーヒーが浮いているような見た目でとても可愛かった。意外とアルコール強さを感じずに最後まで美味しかった。奥さんはカフェ・ド・フロールのオリジナル配合の紅茶を飲んでいた。

もう夜も遅い。時刻は1時頃を回っていたと思う。「明日もあるのだ帰ろう。」我々の旅はまだ始まったばかり。でも明日と明後日でパリはもう最後。

④に続く




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