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豚モツ業者が検証する『ベトナム人の豚盗難事件』 その5 Wedgeの記事②

 
 
 前回書いた、Wedge REPORT の記事を追った検証の続き。記事は2ページになっているので、今回はその2ページ目を追っていこうと思う。
 

 
 Wedgeさんの記事は、下記。

 Wedgeの記事では、現在在留するベトナム人の数が増え、その同胞たちの間で商売が成り立つようになっているという。2019年の時点で40万人を超すとあるが、それほどの数がいれば、たしかに商売は成立する。食べ物商売であれば、人さえいれば需要が必ず生まれる。しかも単なる40万ではなく、SNSでつながる40万人だ。
 

 もしベトナム人が豚などを盗んでいたとしても、販売する相手が見つからなくてはビジネスにはならない。そのツールとなっているのが「SNS」だ。

 2ページ目の冒頭で、こう書かれている。確かにそうだ。売り先が見込めるから、捕まる危険を冒して豚を盗みに行くのだ。
 
 ぼくは自分のnoteの『その1』の記事で、肉の鮮度が悪くならないよう、血抜きの必要性を書いた。

 しかしこれは日本人の、それもモツ業者の感覚だったようだ。記事を読んだ感じでは、そんな、味になどこだわる余裕がなさそうだ。たしかに他のネット記事では、大量に冷凍保管している画像もあった。
 
 ぼくはとにかく、内臓を仕入れた際にその鮮度を保ってお客に届けることに心血を注いでいた。鮮度が失われるにしたがって味も落ちる商品だからだ。モツ業者の感覚からすると、屠畜したばかりの鮮度よい商品を冷凍するなどという発想がない。せっかく高く仕入れた商品を安値に下げてしまう、ということになってしまうからだ。しかし記事を読んでだいたいつかめたが、よい商品を用意したところで、高く買ってくれる客がいるわけではない。売り先は皆同胞で、外国に来て困っている者とくる。高価な美味しいものは必要ないのだ。ぼくは業者だったので、買い手は、いい商品であればいくらでも出すという者から、買い叩く者までバラエティーに富んでいた。その感覚で検証しても、意味がなかった。
 
 買い手が鮮度と味を求めないのであれば、わざわざ苦労してそれを保つ必要もない。きっと豚の搬送はすぐさま絶命させて動かなくさせて、運んだのだろう。腹割りも適当でよい。内臓を傷つけて内容物をまき散らせて汚したところで、売値は変わらないのだ。冷凍するのであれば、解体中に冷やさず多少傷んだところで問題ない。冷凍品の状態で相手に売れば、傷んでいることを気づかれずに済む。
 
 考えてみれば、仕入れはタダなのだ。端折れるところは大幅に端折って、売りさばいていたのだろう。
 
 この記事は掲載日の翌日に続きの記事が書かれている。在日ベトナム人の問題について書かれていて、屠畜の検証からはかけ離れるのでぼくは追わないが、読みやすくまとまった記事なので興味のある人は読んでください。


 次回は、取り出した内臓を部位ごとに分ける、ということを書いていこうと思う。
 
(つづく)


駄文ですが、奇特な方がいらっしゃいましたら、よろしくお願いいたします。