見出し画像

判で押したような

 
 緊急事態宣言の延長決定は、やはり宣言が切れる直前の金曜だった。まったく、判で押したような進め具合。あの無能トップの記者会見もまた、判で押したような言葉の繰り返しだった。
 
 その翌日土曜に、以前のお客さんから電話がかかってきた。神奈川県の政令指定都市にある呑み屋さんだ。乗り換えのない小さな駅にお店があるのだが、市としては宣言区域内なのだ。
 
 正直、今、彼らと話すのはキツい。景気のいい話が出ないからだ。また彼らに思い入れのあるぼくとしては、苦境に立たされている状況を聞くのがつらい。
 
 予想どおり、話の内容は暗いものだった。
 
「6月から協力金が3万になっちゃったよ」
 
 まず、それがあいさつ後の第一声だった。1日あたりの時短協力金が4万から3万になったというのだ。
 
「だからテイクアウトくらいやりたいんだけどね。でもこんな乗降の少ない駅じゃ、売れなくてね」
 
 そう、店主は嘆いた。
 
 それまでも、国が示していた協力金は3万だったという。しかしそれでは少ないということで、神奈川県が1万足して4万円にしていたという。
 
 額が減ったことにも困っているが、その支払いが遅いことにも頭を痛めていた。しかも、そのことを問い合わせても、今やってますという、これもまた判で押したような返答しか返ってこないのだという。もちろんその問い合わせの電話、かなりつながりにくい。
 
 神奈川の他の飲み屋にも聞いてみたが、そうだという。話を聞くのがつらかった。
 
 彼らは金曜日のあの棒読みの記者会見を見て、どういう気持ちを抱いているのだろう。多くの一般人が苦しむ元凶は、もちろんあの無能トップだ。しかし大きな問題というのは、ひとりでは何もできない。多くの国会議員が、現在、息をひそめてなにも動かないという消極的アシストで、あの無能トップを支えているのだ。意識しないでやっている議員も多いだろう。
 
「もう、やめちゃおうかな」と、ひとりのお客さんが電話口で言っていたが、ぼくはなにも言葉を返せなかった。気安く「もうちょっとがんばって」とも言えないし……。

駄文ですが、奇特な方がいらっしゃいましたら、よろしくお願いいたします。