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今こそ再確認したい「図書館の価値」 Twitterの議論に見る存在意義と課題とは

みなさんは普段から図書館を利用していますか?Twitterでは図書館の利用に関する話題がたびたび注目を集め、議論のタネになります。過去に話題になった例をたどると、その根底に共通のトピックが見えてきます。

ツイートまとめサービスのTogetter(トゥギャッター)がお送りする「3分くらいで分かる週刊Twitterトレンド」、今回のテーマは「図書館の価値」についてです。

「学費チュルチュル」は大学図書館で!?

図書館は「本と出会う場」としての役割だけでなく、さまざまな利用価値を提供しています。

例えば大学図書館について、大阪大学の学生が「最もたくさん学費をチュルチュルする手段は図書館で論文を複写しまくることである」とツイートし、注目を集めました。

「学費チュルチュル」とは、無料で活用できる大学の設備を利用する行為を指すネットスラング。特に、大学のコンセントからスマホを充電する時によく使われます。スマホの充電代は、お金に換算すると1回1円にもならないことがほとんど。対して論文のデータは、1本入手するために数千円以上の費用がかかることもあります。それらの貴重な学術資料を複写できる図書館には、計り知れない価値がある、という趣旨の発信です。

図書館利用者の調べ物を手伝う「レファレンスサービス」にも、図書館利用の価値を再確認する事例があります。

「レファレンス共同データベース」の公式Twitterアカウント(@crd_tweet)が投稿した、「日本の新聞記事や放送映像で『死体』の掲載をしなくなったのはいつごろからか」という利用者からの質問に対する神奈川県立図書館の回答がスポットを浴びました。

回答は、同図書館が所蔵している書籍・報道資料、Webサイトのページの中から該当の疑問に対して言及している例を提示するだけでなく、該当部分の概要・ポイントまで詳しくまとめたものでした。

投稿を見た人からは「中の人の調査能力スゴイな。スカウトしたいくらいだ」「司書は凄いんだよ…マジで…」と図書館職員の技量を称える反応が相次ぎました。また、この投稿でレファレンスサービスを知り、利用を検討する人も。

図書館の論文データやレファレンスサービスの例を見ると、図書館が担っているデータベースとしての価値の高さが良くわかります。

非正規率が高い図書館職員の待遇への懸念

質の高いサービスを提供する場である一方で、図書館という存在が抱える問題についてもたびたび議論されます。

まずは、図書館で働く人たちの雇用環境について。

日本図書館協会が公開している「日本図書館統計」によると、1991年に1984軒だった公共図書館の数は、2021年には3316軒になっています。

教育社会学者の舞田敏彦さん(@tmaita77)は、図書館の数が年々増え続けているにもかかわらず、全国の図書館職員の非正規雇用率が跳ね上がっていることに警鐘を鳴らしています。

舞田さんのツイートをきっかけに、高度な専門性を持つ職員の多くが、雇用形態や待遇が不安定なまま働いていることへの疑問や、改善を求める議論が交わされました。

蔵書の扱いに悩む図書館

図書館側が、キャパシティを越えた書籍の扱いに悩む問題もあります。

図書館の中には、本の寄贈を受け付けているケースがあります。図書館職員を題材にした漫画『税金で買った本』の原作者・ずいのさん(@zuino)が、同作中の寄贈図書について描いたエピソードをTwitterに投稿しました。

漫画の中には、利用者からの寄贈書を受け入れるスペースを確保できない現状があるにもかかわらず、寄贈を断りきれない職員の苦悩が描かれています。

また、石川県穴水町の町立図書館で、地元の研究者から寄贈された歴史や民俗学などに関する1800冊あまりの価値をよく理解しないまま誤って廃棄したという報道がありました。

蔵書の処分や扱いについての話題が出ると、Twitterでは図書館側の対応の是非を問う反応、貴重な蔵書が失われないための仕組みの整理などについて活発に議論が交わされます。

Twitterで注目される図書館の話題は多岐にわたりますが、根っこをたどると「図書館の価値の再認識」と「図書館を存続させる難しさ」の2点を元にしていることが分かります。

いずれにせよ、図書館の価値を今後も享受・維持するためには、利用者あってこそ。あまり足を運ぶ機会が無い人も、これを機に図書館を利用してみると意外な発見があるかもしれません。

以上「3分くらいで分かる週刊Twitterトレンド」でした。

この連載は毎週月曜日に更新しています。今後もTwitterでバズった、あるいは興味深いトピックを解説していきます。お楽しみに!

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