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「はい論破」を使う社会人が増えている? Xの話題に見る「論破」が仕事で通用しない理由

2024年7月に行われた東京都知事選挙では、候補者たちの言動にも注目が集まりました。

とりわけ石丸伸二氏が見せたメディアへの対応は「論破芸」とも言われ、X(Twitter)ではそれに関連して「石丸構文」というワードが生まれるなど、大きな話題となりました。

今回の石丸氏の言動のように、「論破」を目的とした相手を打ち負かすような話し方は、仕事での現場などでも使う人がいるようで、Xではその有用性についてしばしば議論になります。

ツイートまとめサービスのTogetter(トゥギャッター)が解説する「3分くらいで分かる週刊X(Twitter)トレンド」、今回は「論破」について掘り下げます。

「はい論破」を使う社会人に困惑の声も

日本経済新聞のX公式アカウントによる「『はい論破』『それってあなたの感想ですよね』などと言って、相手を言い負かそうとする子が増えている」という投稿に注目が集まりました。

同アカウントは親に向けて、こうした子どもたちに対してどのように対応すればよいか、専門家のアドバイスをまとめた画像も同時に投稿していました。

「はい論破」は2015年頃にテレビのバラエティ番組で流行した言葉。「それってあなたの感想ですよね」という言葉とともに、2ちゃんねる(現5ちゃんねる)開設者・西村博之氏を連想する人も多いかもしれません。

Xではユーザーが自身の子どもに対し「注意しとこ…」と警戒を示す人がいたほか、「見せなければいいと言うけれど、昔と違って注意すべき媒体が多くて難しい」と、子どもに見せないように注意することの難しさを懸念する人もありました。

一方で、「こうした論破スタイルを用いる人は社会人にもいる」という報告も相次ぎました。

中には「取引先の担当者が論破マン、だった場合が最悪」「その手の人に遭遇するたび二度と関わりたくないですってクレーム上げてる」などと対応に苦慮している声もチラホラ。また、「それ(論破)を使う大人が表舞台に出てるせいで、社会的に通用するものだと勘違いする人が出てくる」と指摘するユーザーもいました。

「論破してくる人」に対してネガティブな評価を抱いているXユーザーは多いようです。

論破スタイルは相手に避けられるだけ?

世間では「相手を論破できる人=議論が強い人」という文脈で語られる例をしばしば見ますが、本当にそうでしょうか。あるXユーザーが上司から「君は議論に強いんじゃなくて、相手にすると疲れるから周りが引いてるだけだよ」と言われたという投稿に、多くの共感が寄せられました。

その投稿者は、上司から指摘を受けて「大事なのは正しいかどうかより建設的かどうか」という視点に気づいたそうで、相手を疲れさせるようなコミュニケーションを取る頻度が減ったと振り返っていました。

他のユーザーからも「この上司の言葉は真理」「シンプルだし核心をついてる」と評価する声が続出。さらに、「自分もめんどくせぇから引く時あるけど逆に引かせてる時もあるかもしれない」「これは本当に気をつけた方がいい…」と自戒を込めて投稿をするユーザーも見られました。

また、仕事において「議論に強い」と考える人にあるポイントとして、「適切なポイントを適切なテンションで伝えられる」「共通目的、自分・相手が絶対に譲れないポイント、相手の思惑を探り出しつつ、建設的にWin-Winになるように心がける」といった点を挙げるユーザーもいました。

「議論」に臨む姿勢ひとつとっても、「建設的な議論」になるか「相手を委縮させる一方的な議論」になるか、結果は大きく変わって来るようです。

仕事で重視されるのは論破より対話

仕事において議論は欠かせないものですが、状況に応じて議論を行うかどうかを判断していく必要があります。その際に、あるXユーザーが上司から言われたという「議論をやるべき時、そうでない時」の区別に関する話が、迷った時の参考になるかもしれません。

その上司は、議論を行うかどうかの判断基準として「相手から引き出せるものがあると思うならどんどんしろ。それは生産的な議論だ」と語っていたそう。逆に「相手を説き伏せたいだけならやめろ。生産性がないし恨みを買うだけ」とも言い、やはり「論破」を目的とした議論は避けたほうがいいという考えのようです。

そのユーザーは上司からの教えをずっと守っているようで、「このルールに沿って議論をするかどうかの判断をしているけど、人生が捗りまくっている」と振り返っていました。

他のユーザーからも、その上司が教えた内容について「同意しかない」「すごく腑に落ちた」などと多くの共感が集まりました。また、実際に生産的な議論だと思ったら「たとえ忙しくて面倒だと思ってもとことん付き合う」と実践しているユーザーも。逆に、後者のような相手を説き伏せようとする議論は「敵やヘイトを増やすためにやってるようなもの」と切り捨てるコメントも見られました。

一方で、「自分が信念を持っていることほど相手を説き伏せるモードになりやすい」「説き伏せたいだけの言葉を吹っかけてくる人もいる」と、生産的な議論を実現するハードルの高さについて言及する声も。

多くの社会人が生産的な議論を望んでいるものの、実際は不毛な内容になることが少なくない様子。Xを見ていると、議論における理想と現実がいろいろと見えてきます。

仕事で議論がうまくいかないと感じている人は、Xでのこうした話題を参考に、相手の言葉をよく聞いて、建設的な話し合いを心がけてみると良いかもしれません。

以上、Togetterがお送りする「3分くらいで分かる週刊X(Twitter)トレンド」でした。

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