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関東ふれあいの道 東京都 全踏破編

スタート前の話

O氏が、関東ふれあいの道を踏破したいという。

「関東ふれあいの道」とは首都圏自然歩道のこと。関東一都六県を一周する。総延長は1,799Kmと言われていて、三浦半島から丹沢、高尾、奥多摩、秩父、群馬県境トレイル、日光、九十九里、房総、などを繋いでいる。

とりあえず東京編ということで、高尾から奥多摩を抜けて棒の折山まで。ただ、棒の折山まで行った後は、そのまま有馬山や武甲山を抜けて西武秩父駅まで行くとのことだ。トレランスタイルかなと思ったら、なんとファストパックスタイルだった。

そのコースをファストパックで行くのは面白いじゃないかと思った。終盤に奥武蔵。言わずもがな、マイホーム奥武蔵。そしてラストが奥武蔵の象徴ともいえる武甲山なんて最高である。

5月には彩の国100mileが控えているので、1〜2ヶ月前のこの時期にロングトレイルをダメージ少なくやっておきたいという事情もあり、トレランスタイルではなく、ファストパックスタイルというのも自分にとっては都合良かった。

ただ、奥武蔵には熊がいる。特に岩茸石山からは高確率で出てくる(らしい)。黒山、棒の折、有馬山〜大持山の肩〜武甲山〜浦山口駅、、、浦山口には早朝到着予定だから、熊さん活動時間に熊出没地帯を歩くことになる。場所・時間・秩父地方・・・もはや三密である。(言いたいだけ)

というわけでコースプロファイル

関東ふれあいの道東京都 全踏破概要

date:4/3 22:00 - 4/5 6:30
合計時間: 48時間6分(ヤマレコ、コースタイム)
合計距離: 86.39km(ヤマレコ)
最高点の標高: 1333m(ヤマレコ)
最低点の標高: 197m(ヤマレコ)
累積標高(上り): 6402m(ヤマレコ)
累積標高(下り): 6370m(ヤマレコ)

関東ふれあいの道東京都 全踏破コースマップと高低差

地図

標高

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90km弱で6000mD+。そして、ロングハイクなのでCT60%で27時間だから、わりと楽だなと思っていた。舐めていた、この時は。

同行者は、企画者のO氏とR氏。R氏はスタート前から、ずっとぶつぶつと「これ、絶対辛い」と言い続けていた。それを流していたけども、もっと耳をかたむけて覚悟を決めておくべきだったと後に後悔することになる。
それはスタートして5時間経過して感じとり、10時間後には痛切に思い知ることになるのだが、、、スタート前は実感値もないし、知る由もない、しょうがないことだった。

関東ふれあいの道東京都 鳥のみち(19.4km)

概要    :距離19.4km、推定累積1000mD+
補給ポイント:昼間(高尾山山頂、城山、景信山、陣場山)
       夜間(高尾山山頂のみ)
ルート   :高尾山口〜高尾山〜城山〜景信山〜陣馬山
一言    :稲荷山、高尾、城山、景信と八王子の夜景が綺麗。

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22時スタート。意外と暑い、4月初旬の山の夜なのに半袖でも行ける。
高尾〜陣場は、トレランの練習で過去によくきた道だし、山好きなら誰もが知ってる道と言える。ただ、自分は夜の高尾〜陣馬は初めてで、この後の道程を楽しむことができた。
稲荷山で野宿の人がいる。高尾山頂は人がいない、城山山頂も人がいない。景信も明王峠も陣馬山も人はいない。夜景は、城山、景信、陣馬から観ることが出来たが、景信からの夜景は凄かったな。冬はもっと綺麗なのかな。
淡々と進んで陣馬から和田峠で到着。ここで3時間程度仮眠。寝袋忘れたので寒い、死ぬかと思った。

関東ふれあいの道東京都 富士見のみち(14.7km)

概要    :距離14.7km、推定累積1000mD+
補給ポイント:なし
ルート   :和田峠〜醍醐丸〜生藤山〜熊倉山〜浅間峠〜上川乗バス停
一言    :眺望よし。左は丹沢・富士山、右は奥多摩の山々。
       これからどんな1日になるのかなと心がときめいた。

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朝6時前に出発。まずは醍醐丸〜生藤山〜熊倉山〜浅間峠とハセツネコース(らしい。)を歩く。朝、雲ひとつない晴天である。朝の山は清々しく、気持ちよく歩くことができた。左手に富士山が見える。綺麗だ、最高である。

浅間峠から下り、上川乗バス停へ。ここは補給できない。荷物整理をして次の道へ。

関東ふれあいの道東京都 歴史のみち(8.0km)

概要    :距離8km、推定累積500mD+
補給ポイント:ゴール近く檜原村四季の里
ルート   :上川乗バス停〜浅間嶺〜時坂峠〜北秋川橋
一言    :浅間嶺への登りが気持ちが良かった。
       浅間嶺から観た奥多摩の山々も綺麗。

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いきなり急登である。そして500mアップ。キツイが無心で足を動かす。
ケツを使う、ケツを使う、ケツを使う、、、いつしか頂上の浅間嶺へ。

そこから時坂峠までは長い下り。奥多摩らしいガレた感じだ。チョウケイが痛いのでゆっくりと進む。ロードに出て、細かなトレイルを繋げて北秋川橋へ。途中の自販機で11時。
昼飯を食べて次へ。

関東ふれあいの道東京都 鍾乳洞と滝のみち(9.0km)

概要    :距離9km 推定累積800mD+
補給ポイント:スタートの自販、途中にcafeや個人商店あり
       (ただし、常にやっているわけではなさそう)、
       大岳山鍾乳洞入り口、大岳鍾乳洞バス停入り口の自販
ルート   :北秋川橋〜天狗の滝〜富士見台〜大岳鍾乳洞〜バス停入り口
一言    :登りがキツイ。急登だし、練習でまた来る。

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ロードで進む。ロードなのに、結構な坂だ。トレイルにはいる。滝があって左手に滝を観ながら進む。なんだ、結構急登だな、、、
急登だな、、、

急登だな、、、

急登だな!!!

ここ、レース開催できんじゃないの?ってくらいきっつい急登。
つづら岩までは、関東でも有数の急登ではないだろうか。辛い、黙々登る。つづら岩に到着し長い素晴らしいバーティカルも終わり。(今度、練習で来ると心に決めた)
うーん。この道は「鍾乳洞と滝のみち」から「バーティカルのみち」に改名する。きっつい。

富士見台を超えて、長い下りへ。途中でコケる(この時のコケが、その後右脇下の痛みへと繋がり、翌週レストするはめに。)大滝などの見所も凄かった。バス停横の自販機で休憩。

関東ふれあいの道東京都 杉の木陰のみち(11.5km)

概要    :距離11.5km 推定累積700mD+
補給ポイント:スタートの自販、御岳山山頂付近の自販、
       御岳山ロープウェイ駅の自販、鳥居前の自販、
       御岳駅周辺(自販、カロリーメイトもあった)
一言    :日の出山最高

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ロードを経て日の出山へ。淡々とロードを進み、トレイルに入り日の出山へ。日の出山手前で都内が見える。もう夕方。
雲ひとつない青空で、世間で起こっていることを忘れさせてくれる。

日の出山山頂は素晴らしい眺望。ここはまた来たい場所だ。
その後御岳山へ。標高高いのに、めっちゃ普通にロードあるし、家あるし、標高300mくらいの場所かな、とふと思わせる。いやいや1000m近くなんだけどさ。御岳山のピークは外して5kmほどの長い長い下りへ。

あーチョウケイきてるなーと思った。キロ5では走れない。キロ6かな、、、走り方を工夫しながら走る。でも痛い。うーむ、RDLのポジションで走るといいのかな、お、いいかも、、、いや、やっぱ痛いっす。。。
キロ7、歩く。色々と試すものの、痛みは変わらず。

時計に目をやると、50km4200mD+の文字。おいおい、まじかよ、どこのレースでもないぞ、この距離と累積。とんでもないコースだなと思いながら。とはいえ、ガツンと登って、ガツンと降りてを繰り返すこのルートは、Gaoligong対策にはなりそうだなとは思った。1ヶ月前にピストンがいいかもしれない。100km8200mD+・・・笑

みたいなことを考えながら進み、御岳駅へ。

ここから夜間パート。荷物の整理をして。。。

次に行くか、帰るか。

まぁ、実はここで止めようと思っていた。
一緒にいた2名よりもペースが遅く、待たせていたからだ。
 要因1:ファストパックに慣れておらず、荷物重い、肩が限界
 要因2:チョウケイの痛みが増していた
 要因3:食糧がない(カロリーメイト4本、カレー飯のみ)
特に1、2の要因により、この後の行程でさらに待たせることが解っていた。完全に邪魔者だし、この後にも一緒にファストパックしたいので、ここで悪い印象を与えるよりは、ここであっさり帰って、また次回に向けて鍛錬を重ねるべきかななどと思っていた。
とはいえ、デメリットは、ここで辞めては更に二人とのトレラン・ファストパックスキルに差が開くこと。悩んでいたら竜さんが口を開く。

「とりあえず、飯はこれだけあるから、好きなものを持っていっていい。」

まじか、、、すまぬ、すまぬ、、、

この言葉をもらい、とりあえずチャレンジすることに決めた。ダメになったら最悪、棒の嶺でさわらびの湯へ下山も有り。その後Run&Taxiで飯能に行くのも良し(20km)、正丸行くのも良し(12km)、ダメになるまでチャレンジだなと思い、次へ進むことにした。

独りなら、間違いなくここで辞めていたと思う、一緒に付き合ってくれた仲間に感謝しかない。

関東ふれあいの道東京都 山草のみち(13.1km)

概要    :距離13.1km 推定累積1000mD+
補給ポイント:なし
ルート   :御岳駅〜惣岳山〜岩茸石山〜黒山〜棒の峰
一言    :黒山まで、まじで長い

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御岳駅を出て、早速急登。マイペースで進む。まぁなんとか。
惣岳山の手前から2日目の夜がスタートした。ライトON。
二人は、ずっとロードバイクの話をしているが、俺は黙々と。惣岳山後の急な下り坂が嫌だな。

岩茸石山に到着。案外近いもんだ。黒山も近いかな。なんて思いながら、小休止。東京方面に目を向けると夜景が見える。2日目の夜も晴天だった。
黒山に向けてGO。またも無心で歩く。不思議と黙々と歩けた。ちょっと足は痛いけども、黙々と。

黙々と。黙々と。

黙もく・・・長い。。。黒山はまだか。岩茸石山から黒山は遠いと聞いていたが、想像以上に遠い。本当に遠いな。。。
ぶつぶつ言いながら、いつの間にか黒山をパス。

びゅーーーー

びゅーーーーーー

風が出てきた。まじかよ、うざいな・・・

棒の峰の手前でカレー飯タイム。寒いし、カレー飯出来上がる前に食べ始めちゃったし最悪。でも、棒の折行ったらあとは知っている道だ。20km程度。

さ、行こう。棒の峰を目指して黙々と。気のせいか、O氏が遅れ始めた。O氏はサイラーである、山レベルが半端ない。その彼が遅れる・・・?

棒の峰到着。

おまけ( 20km)

概要    :距離20km 推定累積1500mD+
補給ポイント:なし
ルート   :棒の峰〜日向沢の峰〜有馬峠〜有馬山
       〜大持山の肩〜妻坂峠〜西武秩父駅
一言    :夜間トレイルと奥武蔵最高

棒の峰到着。ちょっとだけ会話して、今度は日向沢の峰へ。ここは三連発の急登がある。なんだったら一番しんどいコースじゃないかな。でも、ここを抜けたら、ちょっとアップダウンはあるけど急登はない。後少しでゴールだ。そんなことを思いながらスタート。

「Oさん、大丈夫っすか」Rさんが喋り出す。どうもOさん眠たいようでふらふらである。いやいやいや、棒の峰から日向沢の峰まで崖の間を抜けるような道もあり、眠い状態で行くのはかなり危険なんだけど・・・

そこでどんな会話をしたか覚えていないが、とりあえず俺が引っ張ることになった。なんでだか覚えていないけど、とりあえず行くしかない。途中、2回ほど寝た。10分ずつくらいで2回。ちょっと限界気味だったからね。復活したかどうかで言えば復活していないけど笑

日向沢の峰を超え、有馬峠。有馬峠で一つの会話が出た。

「下山するべきなんじゃないか。」

O氏も眠くてふらふら、俺もチョウケイが痛い状態、R氏のみが普通に動ける状態。この状態で有馬山を抜けて武甲山を抜けて西武秩父まで行くのは危険じゃないか。時間は24時。下山して、どこかまでTAXIで移動するか、どうするか。前に進むことにした。ただし、武甲山ではなく、大持山の肩から妻坂峠に下山して、そこから帰ることにした。

有馬山を越えて、3度目の睡眠タイム。ここで休んだ後に、再び歩き出す。有馬三山を越えて鳥首峠を越え、大持山の肩・・・が遠い・・・

大持山の肩到着。遠くに東京の夜景が見える。あとは下山するだけだ。

妻坂峠を越えて、登山口へ。ちょうど夜があけた。水を飲む気力もなく、チョウケイが痛すぎてうまく動けない。マッサージしながら進み、砕石工場を超え、田園地帯を進み、横瀬駅を横目に羊山公園を抜けて、西武秩父駅ゴール。疲れたよ、マジで。

終了二日後

目立った怪我はなし
上半身:肩と肩甲骨が重い
下半身:尻、ハムが重く、こけて擦りむいたところがヒリヒリ。

基本、ハイキングだったので、体全体としては軽傷。
ちょっと寝不足気味で、寝たいという気持ちがある。

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