田や畑の上で 第0回
ツユクサナツコの一生を読んだ。
市井の人々がおくるいとおしい日々の表裏には、コロナ禍やウクライナ戦争など確実に日常の何かを「欠け」させてくる不安定な日常にも目を向けている。この表裏どちらか一方を際立たせるのではなく、巧みなバランス感覚をもってして(それを可能にしている余白の妙)ナツコの日常と私たちの過ごした日常を繋げる、心の深いところまでとけこむ読書体験となった。
新潟の米農家にとってこの夏は猛烈な経験であったが、ツユクサナツコを読みコロナ禍を思い出すように、きっと3年もすればなんか暑かったなくらいの薄ぼんやりな記憶となってしまうだろう。
私たちは忘れてしまう。そんな思いから、この夏も含めた一年の農作業を振り返ってみるのもいいのでは?とキーを叩き始めた。
誰も読んでなくていい。どこでオチになるか分からないし、途中で終わるかもしれないが、記録を残すことを目的に気ままに赴くまま書いていく。
タイトルは最近観た今泉力哉監督の『街の上で』に影響をうけて。
下北は一度しか行ったことない。