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サンリオはどうやって小中学生の心を掴むのか? Beat Catsから考えてみた

中学生の市場規模が実は一番小さい!?

 2021年3月の中期経営計画書の資料をみると、小学校高学年から中学校あたりで市場が小さくなっていって、高校卒業くらいからまた広がるように見えます。「こども」と言って一緒にくくっちゃうとミスリードですね。

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Beat catsはカッコいい大人向けのキャラクターなのかと思ってた

 Beatcatsは2020年10月にデビューした5人組ダンスボーカルユニットです。

 音楽はポップではありつつ、名前の通りbeatのきいたナイトクラブっぽい雰囲気も感じました。最近のキャラクターだと、まるもふびよりとかKIRIMIちゃんとかこぎみゅんとかのゆる~い、カワイイとは異なるなと思ってました。

「こぎみゅん」と「Beat Cats」がサンリオを盛り上げていく?

 有価証券報告書には"「こぎみゅん」や「Beat Cats」などの新規キャラクターの育成・強化に注力してまいります”と書いてあって、こぎみゅんと並べてサンリオが期待している雰囲気が出てます。ただこの2キャラを比較すると、こぎみゅんは毎日Twitterを更新していますが、Beat CatsはTwitterアカウントありません。キャラクター大賞の順位もこぎみゅんが10位で、Beat Catsは52位です。渋谷にカフェまでできちゃって!

 こぎみゅんは2015年デビューですから、Beat Catsが遅れてるとかそういうことを言いたいわけじゃないです。ただ、強化する新規キャラクターとして並んでいると、少し不思議な感じがしました。(本当に強化してるの!って) 辻朋邦社長もハロキティやマイメロのようなキャラクターを今から作るのは大変だけど、SNSキャラクターは成長が早いということをおっしゃっていました。その割にはSNSでBeat Catsが打ち出されている感じでもない? と思ってしまっていました。

Beat Catsのターゲットは小中学生だった!

  私が周囲でBeat Catsを見かけないのもそのはず。なぜなら、Beat Catsのターゲット顧客は小中学生だったからです。

友達のこと、恋のこと、新学期にクラス替え…
ドキドキが止まらないとき
どこからか現れる5人組のカラフルな猫、ビートキャッツ!

 キャラクタープロフィールを見ても学校のことを意識してます。またMVにも「女子小学生から絶大な支持率を誇る新潮社のファッション誌『ニコ☆プチ』の専属モデル(愛称プチ㋲)が続々登場」だそうです。(書いててどれくらい嬉しいことなのかが分かってない)

 Beat Catsがカワイイなあと思って私もサンリオショップでグッズ探したことがあります。「マニュキュアみたいなマーカーセット」という蛍光ペンが売っていて、これ先生に注意されたときに「蛍光ペンだもーん」ってやるやつじゃん!って思いました。結局私はグッズは買いませんでした。Beat Catsのキャラクターは好きなんですけど、なんとなくグッズが私にフィットしなかったのは、商品開発のターゲットじゃなかったからなのかなーと今になって思います。

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なぜか英語のWikipediaしかない

 これはサンリオの戦略関係ないでしょうが、なぜか日本語のBeat Catsのページがありません。英語だけ! 英語のページははっきり小中学生がターゲットのキャラクターということが書いてあります。

 Beat Catsが正しい表記なら、表記すら間違えてない…?(21年7月20日現在)

Beat Catsはブラックジョークを言わない…!

 最近の新規キャラクターって、思わず笑っちゃう現実的なブラックジョークを言いますよね。ぐででたまが「サンリオの偉い人に言われるから…」とか、こぎみゅんが「商品が売れなくなっちゃうみゅん」とか、同じアイドルキャラクターならOTMGirlsもそういう雰囲気ありますよね。

 ただ、そういうのって大人じゃないと確かにふふってできないかもですね。Beat Catsはある意味王道というか、SNSでのそういったコミュニケーションではなくて、グッズ・商品・音楽を通して直接顧客であり小中学生とコミュニケーションを図っているのかもしれませんね。調べてみると小学校高学年のスマホ所有率が34.6%ということで、TwitterやYoutubeにたくさんコンテンツをアップロードするのはアプローチが違うのかも。だから、もう大人の私の周囲やSNSでは見かけていないけれど、小学校のクラスではオシャレな子が持っていたりするのかなあ…(そうであったら嬉しいな)

TVアニメが主軸じゃない

 Beat Catsはセガトイズとのコラボ開発をしたキャラクターで、ジュエルペット、リルリルフェアリルに続くキャラクターです。この2つはアニメを主軸としていますが、Beat Catsは違うアプローチみたい。ピューロランドのミニシアターでも、ジュエルペット、リルリルフェアリルは人気な印象ですが、小学校高学年というよりは、低学年、中学年なのかな? キャラクターが格好良いのでIPとしてファッションとも相性良さそうですよね。TVアニメではなく、歌やダンスを媒介にコミュニケーションをとるというのは、今までない手法だと思うので、また、頭のグラフに書いたように一番市場規模が大きくない部分かもしれないのでチャレンジングですが、Beat Catsに成功して欲しいです!

プリティが多すぎる

 この記事を書いてみて全然Beat Catsのこと分かってなかったなあと思いました。言い換えると、女子小中学生のライフスタイルや文脈が具体的に理解できないので、書いてみても結局どのような文脈を経てBeat Catsが受容されるのか、まだ理解が抽象的……。サンリオの方々大人なのに、彼女たちの気持ちになってマーケティングできるっていうのはすごいなあと思いました。昔読んだ小説で「プリティが多すぎる」という小説がありました。文芸編集部を希望していた青年編集者がローティーン女子向けファッション雑誌に異動して悪戦苦闘する話なのですが、ちょっと思い出しました。(まず、ローティーンって言葉を使わないで小学校高学年としか表記できなかった私…)


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