桑原三郎句集『だんだん』より

好きな句が多い〜。
特に印象に残った句を抜き書きします。

滅多打つ釘の頭や天高し
弟よ寒夕焼がまだ消えぬ
レコードに一本の溝敗戦日
敬老の日の翌日のご老人
指組んで指先余る秋の風
草虱妹の手の邪険なる
秋風や木馬の芯に強き発条
青空の真ん中が濃し芹の花
餡パンの中の隙間やさくらさくら
雁やひとりの家に酒や塩
黙祷の後のぼんやり蟬しぐれ
新宿が見える高きに登りけり
大根の首ほの暗き野道かな
鳥雲に電柱のなき街を過ぎ
裏道に抜けて帰りぬ年の市
雷雲の周りの空の青さかな
残菊や轍は水を通り抜け
太陽は背中にひとつ野蒜摘む
青空の真ん中淡し桐の花

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?