コードネーム:ドン・クラィ・ベイビィ
ピッケラ・ブッカは きょうも げんき いっぱい!
さあ ぼうけん だ!おおきな いっぽを ふみだす ピッケラ・ブッカ
おやおや でも あしもとにある おおきな あな に きづいてないみたい!
ああ!あぶない!
どしーん!!
うわあ!!
たいへん!ピッケラ・ブッカは あなに はまってしまいました!
ビックリしたピッケラ・ブッカ は ポロポロと なみだを こぼしてしまいます
さあさあと さかさまに なみだのあめが ふりました
じめんの したに すんでいた こびとたちも ビックリ!
や!や!なんだい このみずは!いったいどこからやってきたんだ!
◆
太平洋上空に亀裂が観測されたのが24時間前。亀裂が広がり灰褐色のブヨブヨとした肉塊が姿を表したのが10時間前。北半球全域に雨が降り始めたのが8時間前。
「クソッ!どうなっている!誰かこの状況を説明できる者はおらんのか!」
作戦司令部で幕僚長はモニターの中、雲ひとつない空から降り注ぐ雨を憎々しげに睨みつけながら声を上げた。
「原因は不明ながら、降り注いでいるのは単なる水です。有害物質等は検出されてはおりません。また、広範囲ですが雨脚は強くはないため、水害等の発生の恐れはない模様です」
応答した参謀長は一息置いた。
「ですが、海面は確かに上昇しています」
幕僚長は顔を歪めた。
「影響は、すぐに出るのか?」
「いいえ。ですが、もし、雨が止まなければーーー」
そこから先は言葉にできず。幕僚長もそれを察して唸り声を上げるだけだ。
その時!
「アラアラ、なあに。泣きそうな子がいるじゃない!」
「だ、誰だ!?」
突然、司令室内に揃いのエプロンを身に着けた謎の集団が現れた!
泡を食って誰何する参謀長、しかし!
「ば、幕僚長!?」
いつの間にか作戦机がベッドメイキングされ、幕僚長がまるで赤子のように眠る姿を認めると、脳の処理限界を迎えてしまった。
「サ、泣いてる子はどこかしら?」
【続く】
Photo by Caesar Aldhela on Unsplash
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