白亜の反抗機-Plug in the Resist-
機械の反乱など、有り得ない。と、昔の偉い方々は吹いて回っていたそうだ。だが、現実はと言えば、奴らはプラントごと反乱を起こしやがった。しかも、笑えねえことに、人類の生み出した最強の兵器、有人操縦型大型直立二足機人のプラントだって言うんだから。
身長3mを超えるロボットが徒党を組んで襲ってきやがる。とんだ時代に生まれっちまったもんだな、そうだろ!
◆
「コイツは」
土埃でくすんだアーバングレーの迷彩服とタクティカルベストに身を包んだ三十路絡みの男が驚きの声を上げた。
眉間によった皺を深めながら、男は慎重に近づいていく。瓦礫に埋もれているソレは仰向けに倒れた人体と相似の物体である。丸みを帯びた頭部、稜線を描く胴体に細長い四肢が力なく広がる。人体との相違点は白亜に輝く表面装甲とサイズであろう。
「間違いない、機人だ。だが、何故」
男の右手は、完全に沈黙している機人に思わず触れていた。
プシュッ!バクンッ!
その時、突如、瓦礫を跳ね飛ばしながら胸部ハッチが開放された。
「!?」
咄嗟に飛び退り、男はライフル銃を構えた。ハッチからはドロリとした肉片が溢れる。
「自律操縦用の生体ユニットか?」
『詳しいじゃん、人類。オレっち達はコックピット中心に組み上がる都合上、未だに有人操縦システムを捨てれないンよねぇ』
突如、妙に軽薄な音声が響いた。
「人類側に生体ユニットを直接破壊する術はない。仲間割れか」
『BINGO。そんでちょっち頼みたいんだけどサ』
「追手か」
『鋭いねぇ、人類。そんじゃあチャチャッとヨロシク』
◆
べチャリ、と湿った感触を尻下に感じ、男は眉を顰める。
『悪いネ。掃除する暇なくってサ』
「それは構わんーーーおい、首筋に何か当たっているが?」
『いや、脊椎プラグはどこかなーって』
「ない」
『増設しても?』
「駄目だ」
『や、でも先っちょだけなら?』
「駄目だ」
【続く】
Photo by Clint Patterson on Unsplash
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