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死神の鎌は誰がために
荒く呼吸を乱しながら、石造りの回廊を青年が少女の手を引き、ひた走る。ボロボロの粗末な布地を纏った少女は裸足で、さながら逃亡奴隷と言った風情。対して、青年はところどころ血に汚れてはいるものの、鉄板を当てた革鎧に鋼の長剣、円盾といった良質な装備を身に着けている。
「おい。大丈夫か。まだ走れるよな!?」
少女はどこか不安そうに後ろを振り返る素振りを見せていたが、青年の言葉に反応し必死に頷きを返す
白亜の反抗機-Plug in the Resist-
機械の反乱など、有り得ない。と、昔の偉い方々は吹いて回っていたそうだ。だが、現実はと言えば、奴らはプラントごと反乱を起こしやがった。しかも、笑えねえことに、人類の生み出した最強の兵器、有人操縦型大型直立二足機人のプラントだって言うんだから。
身長3mを超えるロボットが徒党を組んで襲ってきやがる。とんだ時代に生まれっちまったもんだな、そうだろ!
◆
「コイツ
コードネーム:ドン・クラィ・ベイビィ
ピッケラ・ブッカは きょうも げんき いっぱい!
さあ ぼうけん だ!おおきな いっぽを ふみだす ピッケラ・ブッカ
おやおや でも あしもとにある おおきな あな に きづいてないみたい!
ああ!あぶない!
どしーん!!
うわあ!!
たいへん!ピッケラ・ブッカは あなに はまってしまいました!
ビックリしたピッケラ・ブッカ は ポロポロと なみだを こぼしてしまいます
さあさあと
ピンク色魔法使いは今日も溜息を吐く
喧騒に包まれた酒場の空気が変わった。
カウンターに向かって場違いなほどの美女が歩を進めているのだから当然であろう。
腰まで流れる黒髪は鴉の濡羽を思わせる艶やかさ。髪と同色の瞳は鮮烈なまでの意志力を感じさせる鋭さを持ち、国の紋章が付いた桃色のローブはゆったりとしていたが、その下の肢体は豊かなラインを浮かび上がらせている。酒場の、特に粗野な男どもの視線を集めるには充分以上の美女である。
ダイヤモンドスナイパー
カザシは寒風吹きすさぶビルの屋上で、今朝の出来事に思いを馳せていた。
◇
「すまないね、少年。怪我はなかったかい?」
早朝のランニングロードでカザシは尻もちをついた姿勢のまま固まっていた。
「は、はい。大丈夫ス」
手を借り、起き上がる。現実感が、追いついてこない。
「いや、どうしてか気づけなかった。本当に済まなかった」
「あ、あの!大矢ヒロム選
逆噴射小説大賞2019自作振り返り
今年もまた参加しました。
去年は、やけにテンション高く色々10作程ブッ込んでましたけど、今年は800字に増えた分、5作に絞る、というレギュレーションです。それもあって、色々考えながら落ち着いて文章を練々してました。
今年は文体は書き易いものに統一して、一人称が2つ、三人称が3つとなりました。ただ、ジャンルは比較的バラけさせてるような気がします。正直、パルプかどうか、とは深く考えずに作って
ゲート・ブレイカー 第一話「破門」
「ハチコ、戻ったぞ」
門関連犯罪対策特別捜査隊と書かれた扉を開き、小柄な女性が入ってくる。黒髪のポニーテール。勝ち気な瞳。
「ナナミ先輩、平気なんスか。さっきの現場で派手にフッ飛ばされてましたケド」
長身の男が立ち上がり、心配そうな視線と声を寄越しながらバタバタと駆け寄ってくる。不潔な訳ではないが、ボサボサとまとまりのない栗毛。眠そうに下がったタレ目。対照的な二人組である。
「アタシは軽い
アイ・レコメンドー新人研修、承ります!ー
「ちょっと、貴女、どういうことかしら?昨日はワタクシが教官と過ごすはずでしたわよね?そも当番制を言い出したのも貴女ではなくって!?」
「そうだぞぅ、抜け駆けだー」
「抜け駆け、よくない、よ?」
「うぅ、だってーーー」
かしましい。格納庫内にオレが好んでプレイする恋愛ゲームのキャラにそっくりの声音が響く。ヤツらの言う教官とはオレの事に他ならず。声音通りの、美少女達からの”奪い合い”の対象とな