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動画をやるならこの三脚を買え!Sachtler最新製品Aktiv8レビュー

ビデオ三脚の大定番Sachtler(ザハトラ―)最新製品のAktiv8をご紹介したいと思います。筆者は、数年前まで三脚なんてどれも同じだろうと考えていましたが、映像制作を始めてからその重要さに気づかされました。
ビデオ三脚とスチル三脚の違い、ビデオ三脚の選び方についてはこちらの記事で解説していますので、チェックしてください。


なぜSachtlerのAktiv8を購入したのか

今回、新たに三脚を購入するにあたり、必要だと考えた条件は以下の通りです。

  • ミラーレス一眼からENGまで幅広く使える

  • ビデオ三脚に必要な機能(ドラッグ・カウンター調整)があること

  • Flowtech脚であること

この3つを満たす機材がAktiv8だったのです。
ミラーレスからENGまで使える三脚が欲しいというのは結構なわがままなのですが、Aktiv8であればその希望も叶えてくれます。

Sachtler(ザハトラ―)とは


ザハトラ―はドイツの映画制作機材のメーカー(ブランド)です。
三脚のほかにカメラバッグなども製造しています。Sachtlerと書いてザハトラ―とは読めないですよね。ドイツ語なので仕方がありませんが・・・

ビデオ三脚の有名ブランドであり、日本のカメラマンはこのSachtler派かVinten派で分かれていると思います。ちなみに筆者はどちらも大好きです。
日本ではSachtlerは映画や広告系、Vintenはテレビで多く使用されている気がします。Sachtler、Vinten、OConnorはVitecグループの傘下にあり、この3つのブランドで共通の脚(Flowtech)を使用した三脚も販売されています。

Aktiv8とは

Aktiv8とはSachtler社が2021年に販売を開始した新型のビデオ雲台Aktivシリーズのひとつです。Flowtech三脚と組み合わせて使用します。これまでのFSBシリーズの派生版と考えて良いと思います。

特徴①超ローアングルの撮影が可能


Aktiv(アクティフ)では水平出しをするためのクランプノブを廃止したことで、超ローアングルの撮影ができるようになりました。
ハイハットが必要ありませんし、水平出しも簡単です。

 Aktivによるローアングル撮影 | Sachtler

特徴②ヘッドの着脱が簡単!

Aktivでは水平出しに使うのと同じレバーを引き上げるだけで、ヘッドを取り外すことができます。ねじを回す必要がないので、非常に短時間で着脱が行えます。これにより、スライダーなどを使用する際の面倒が減ります。

スライダーの使用例 | Sachtler


特徴③カウンターバランス、ドラッグの調整範囲が増えた!

FSB8からの変更点は耐荷重の幅が広がり、カウンターバランスが10段階から0+15段階に、ドラッグダイヤルも0+5段階から0+7段階になったことです。これにより、より細かい調整が可能になりました。

Aktiv8は水平出し以外の機能はFSB8MkⅡと同じです。Aktivシリーズの水平出しは慣れてしまえば簡単ですが、やはり独特です。旧来のクランプノブを使用した水平出しに慣れている方は、FSB8MKⅡを選んだほうがいいかもしれません。

特徴④Aktiv8は「大は小を兼ねる」三脚


前半では三脚の世界で大は小を兼ねないと説明しましたが、このAktiv8については大を小を兼ねる三脚なのです。従来のFSB8の耐荷重が1~10.5Kgであったのに対してAktiv8では0~12㎏と幅が広がっています。

ミラーレスからENGまで使える!

筆者が使用するのはSONYのαシリーズ、ハンディカム、シネマカメラで状況に応じて使い分けています。時にはENGカメラで撮影を行う場合もあるのですが、これらすべてのカメラに対応する三脚は多くはありません。

今回、検証のために、これらのカメラを乗せてテストを行いました。
どのカメラにおいても、カウンターバランスとドラッグ調整により、バランスをとることができました。
※Aktiv8にENGカメラをのせることについては自己責任でお願いします。Aktiv8の2倍の価格ですが、100㎜ボールのAktiv10を使用したほうが安全です。

SonyPDW-700に標準レンズを装着 特に問題なく動作しました


Flowtech三脚で上げ下げが楽

AktivシリーズはFlowtech三脚を採用しており、三脚の上げ下げを簡単に行うことができます。多くの三脚では3つの脚のねじを回して緩め、高さを変えて、ねじを締めなければなりません。二段同時に動かそうとする場合にはねじを6個回さなければならないので時間がかかります。しかし、Flowtechであればレバーを上げるだけで2段分のロックを操作できるため、スムーズに作業が行えます。ワンマン撮影も非常に楽になります。

地味に進化していたハンドル

Flowtechには持ち運びに便利なハンドルが付属しています。もちろんAktiv8にも付属しています。Aktiv8のハンドルと旧来のFlowtechのハンドルを比べると見た目に大きな違いはありません。しかし、よく見てみると留め具が異なります。

Aktiv8はローアングル撮影に対応したため、その際、ハンドルが邪魔になります。これに対応するためにハンドルを簡単に回転させることができるように進化しています。従来は六角レンチが必要でしたが、Aktivでは手で回せるようになっています。
※回転させた状態で固定することはできません。持ち運ぶときは本来の角度に戻して使います。

回転できるキャリーハンドル | Sachtler


Aktiv8の種類

Aktiv8にはヘッドが2種類、脚が2種類あり、その組み合わせにより4種類があります。まず、ヘッドはサイドロードタイプ(スライドプレート)とタッチアンドゴータイプがあります。タッチアンドゴーを使用すれば、何度も位置調整を行う必要がないので、カメラの着脱が多い場合に便利です。筆者はこのあたりを気にしていなかったので、サイドロードタイプを選択しました。

次に、脚の種類ですが、ミッドスプレッダーとグランドスプレッダーが選べます。スプレッダーの付け替えに対応しているので、最初にどちらを選んでも、後でスプレッダーを購入すれば両タイプとも使えます。システム全体の販売価格はどちらのタイプでも同じですが、スプレッダー単体ではミッドは約2万円、グランドは約7万なので、かなりの価格差があります。筆者はグランドタイプを選択しました。これは三脚を伸ばす際にスプレッダーを踏んで操作するためです。スプレッダーの伸縮もねじ式ではなく、ボタン式で、足で踏んで操作できます。(7万円のパーツを踏むのには勇気がいります)また、Flowtech脚はスプレッダーなしでも自立するため、不整地での使用ではスプレッダーを取り外せば良いだろうと考えました。

Aktiv8の使いにくいところ

この三脚に大きな不満点はなく、今のところ大変満足しているのですが、いくつか使いにくさを感じるポイントがあります。
まず、ドラッグダイヤルです。Aktivシリーズに限らず、ザハトラ―全般に言えることかもしれないですが、ドラッグダイヤルが中途半端なところ(例えば4と5の間など)に入ったまま操作をしてしまうことがあり、故障しないか心配です。すぐに故障することはないと信じてはいますが・・・
これについては操作に慣れればクリアできる問題だと思っています。

もうひとつはVintenの三脚とは違い、完全バランスではないということです。カウンターバランスだけではなく、ドラッグを使いバランスをとる必要があるので、カメラによってはチルトにある程度の負荷がかかった状態で操作をしなくてはなりません。ただし、撮影のストレスになるほどではありませんし、従来のFSBシリーズに比べれば細かなカウンターバランス調整ができるようになっているとは思います。また、VintenにはAktiv8ほど幅広い耐荷重の三脚がないので、完全バランスをとるか、広い耐荷重をとるかによって選択は変わってくると思います。

まとめ


Aktiv8はビデオ三脚に必要な4つの機能を備えており、それぞれのポイントにおいて、従来の三脚から大幅に進化しています。

1.水平出しができる
 
 Aktiv8ではレバー操作による水平出しが可能になった
2.パンができる
3.ドラッグ/トルクが調整できる
  Aktiv8では従来よりも調整の幅が広がった(0+7段階)
4.カウンターバランスが調整できる
  Aktiv8では従来よりも調整の幅が広がった(0+15段階)

また、Aktiv8はFlowtech三脚との組み合わせによって、超ローアングルの撮影を可能にしました。従来の三脚システムとは操作性が異なる部分が多いですが、慣れてしまえばこちらのほうが便利に感じることも多いでしょう。

たくさんのカメラを使い分けて使用し、本格的なビデオ三脚が欲しいという方には大変おすすめできる三脚です。まずはお近くの販売店で体験してみてください。最後までお読みいだきありがとうございました。
今後も機材レビューしていきますので、ぜひチェックしてください。


Sachtler:https://www.sachtler.com/en/



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