154.第5章「映画とテレビでトップをめざせ!不良性感度と勧善懲悪」
第27節「メタルヒーローシリーズ③」
テレビ朝日系金曜19時30分の『宇宙刑事ギャバン』から始まった「メタルヒーローシリーズ」は、第4作『巨獣特捜ジャスピオン』の第4クールで月曜19時、第6作『超人機メタルダー』の第3クールから日曜9時30分、第8作『機動刑事ジバン』の第2クールから日曜8時と枠が移りました。
⑨テレビ朝日系日曜8時『特警ウインスペクター』(1990年2月4日 - 1991年1月13日 全49話)
1990年2月、前作に続き警察物特撮『特警ウインスペクター』が始まります。この作品は悪の組織や怪人が登場せず、悪人を逮捕し人命救助を行うSF刑事ドラマでした。
これまでの「メタルヒーローシリーズ」は単独ヒーローでしたが、このシリーズから集団ヒーロー体制となります。
プロデューサーは、テレビ朝日の宇都宮恭三と前作途中で吉川進から替わった東映の堀長文が担当しました。
今作も杉村升(のぼる)がメインライターで他に宮下隼一、高久進、扇沢延男、藤井邦夫、鷺山京子、山田隆司、荒木憲一、増田貴彦、新藤義親が執筆、パイロットの東條昭平他おなじみの小笠原猛、三ツ村鐵治、小西通雄に新井清が監督します。
制作スタッフは撮影瀬尾脩、小泉貴一、照明吉岡伝吉、美術宮国登、稲野実、録音太田克己、編集菅野順吉とシリーズでおなじみのスタッフが受け持ちました。
協力会社も、音響効果大泉音映、装置東映美術センターと紀和美建、美粧サン・メイク、衣裳東京衣裳、装飾大晃商会、アクションジャパン・アクション・クラブ、キャラクター制作レインボー造型企画、ビデオ合成東通ecgシステム、企画協力企画者104、特撮研究所などの各社が前作に引き続き担当します。
音楽は横山菁児が担当し、オープニングテーマ「特警ウインスペクター」、エンディングテーマ「今日のおれからあしたの君へ」の両曲とも作詞山川啓介、作曲鈴木キサブロー、編曲矢野立美で宮内タカユキが歌いました。
強化服クラステクターを「着化」し「 ファイアー」となるウィンスペクター隊長香川竜馬役には山下優、部下のサポートドロイドとして「バイクル」「ウォルター」が登場、上司の警視監正木俊介役で宮内洋が主演します。
初回9.3%で始まった『特警ウインスペクター』は、3月の第7話で最高視聴率16.7%を記録します。
1年間全49話続き、平均視聴率は前作を大きく上回る12.8% とヒットしました。
⑩テレビ朝日系日曜8時『特救指令ソルブレイン』(1991年1月20日 - 1992年1月26日 全53話)
1991年1月、好調の『特警ウインスペクター』終了後、「メタルシリーズ」第10作として前作に続くレスキューポリス第2弾『特救指令ソルブレイン』がスタートします。
インターポールの要請で海外に派遣された「ウインスペクター」にかわる組織として、宮内洋演じる正木俊介が新たに創設したレスキューポリスが「特装救急警察ソルブレイン」でした。
今作では前作のプロデユーサー陣にテレビ朝日の梶淳が加わります。メイン脚本は杉村、他に増田、扇澤、鷺山、山田、宮下、高久に鈴木康之、浅附明子、石山真弓が執筆。シリーズ初参加の蓑輪雅夫がパイロット監督を務め、おなじみの小西・小笠原・三ツ村に新井、そしてこれまで助監督だった石田秀範が第19話で監督デビューしました。
制作スタッフ、協力会社は前作と同じで、キャラクターデザインの雨宮慶太が離れ、『世界忍者戦ジライヤ』から挿入歌を作曲してきた瑞木薫が音楽を担当します。オープニングテーマ「特救指令ソルブレイン」、エンディングテーマ「愛に抱かれて」両曲の作詞は大津あきら、前作と同じ作曲鈴木キサブロー、編曲矢野立美で宮内タカユキが歌いました。
「ソリッドスーツ・ヘビータイプ」を装着し「ソルブレイバー」として凶悪犯罪者や困難な災害現場に挑む主人公西尾 大樹役は主演デビューの中山幸一、「ソリッドスーツ・ライトタイプ」を装着し「ソルジャンヌ」となる相棒樋口玲子役を森みつえ、特救本部長正木俊介役として宮内洋が引き続き出演します。
バリアブル・レスキュー・ドロイド「ソルドーザー」がサポートし、「ウインスペクター」達も登場しました。
初回14.5%と高視聴率で始まった『特装救急警察ソルブレイン』は、6月の第24話で最高視聴率16.1%を記録します。
1年間全53話続き、平均視聴率は前作に近い12.2% と好調を維持しました。
⑪テレビ朝日系日曜8時『特捜エクシードラフト』(1992年2月2日 - 1993年1月24日 全49話)
2作続いてのヒットを受け、1992年2月の「メタルヒーローシリーズ」第11作も、「レスキューポリスシリーズ」第3弾『特捜エクシードラフト』となります。
プロデューサーはテレビ朝日の宇都宮が第34話まで、梶が第35話から担当しました。
脚本は杉村が「スーパー戦隊シリーズ」に移ったことで宮下隼一をメインに前作を担当した鷺山、山田、扇澤、増田、鈴木に酒井直行、細野辰興、中野睦と新しいメンバーが執筆します。監督は三ツ村をメインに小西、蓑輪、新井、石田を起用しました。
制作スタッフ、協力会社、オープニングテーマ「特捜エクシードラフト」、エンディングテーマ「ゴールは未来」と、両曲の作詞山川啓介以外は前作担当者がそのまま受け持ちます。
「トライジャケット」を装着し「ドラフトレッダー」となるインターポール出身の特別救急捜査隊エクシードラフト(略称SRED)隊長叶隼人役を影丸茂樹、警視庁特捜部出身「ドラフトブルース」村岡 耕作役河井マモル、消防隊レンジャー部隊出身「ドラフトキース」大熊拳役榊原伊織と今作ではロボットは登場せず、強化スーツを装着した人間が3人に増えました。
初回10.6%で始まった『特捜エクシードラフト』は1年間全49話続き、最高視聴率は3月の第8話の13.2%、平均視聴率は9.8% と10%を下回ります。
犯罪だけでなく環境汚染、自然災害などの人類の脅威に対しインターポール・警視庁・消防庁・防衛省・厚生省など様々な機関からのスペシャリストが集結して立ち向かうという設定は今の社会情勢を先取りする企画でした。
⑫テレビ朝日系日曜8時『特捜ロボ ジャンパーソン』(1993年1月31日 - 1994年1月23日 全50話)
1993年1月の「メタルヒーローシリーズ」第12作『特捜ロボ ジャンパーソン』は、人間ではないロボットが主役でした。
プロデューサーは梶と堀、脚本も宮下メインに扇澤、鷺山、増田、鈴木、酒井、中野に新メンバー浅香晶、井上一弘に小林靖子が第40話で脚本家デビューします。
監督はメイン小西他に蓑輪、三ツ村、石田、そしてこれまでアクション監督だったJACの金田治を起用しました。
制作スタッフ、協力会社はほぼ変わらず、音楽が若草恵、オープニングテーマ「特捜ロボ ジャンパーソン」、エンディングテーマ「朝焼けのララバイ」両曲の作詞山川啓介、作曲浜圭介、編曲が若草恵 で大矢晋が歌います。
主役「ジャンパーソン」がロボットで、第21話から登場するロボット「ガンギブソン」と共に、サイボーグであるベン藤波が率いたロボットマフィア「ギルド」と壊滅後に藤波の兄ジョージ真壁が結成した「ネオギルド」、綾小路麗子が率いる過激派科学研究団体「スーパー・サイエンス・ネットワーク(SS-N)」、総裁帯刀龍三郎の大財閥「帯刀コンツェルン」と暗躍する3つの組織と戦いました。
1993年4月17日公開「東映スーパーヒーローフェア」では劇場版『特捜ロボ ジャンパーソン 母よ、永遠(とわ)に! 愛と炎の電脳手術室』(宮下隼一脚本・小西通雄監督)が公開されます。
初回8.8%で始まった『特捜ロボ ジャンパーソン』は1年間全50話続き、最高視聴率は12月の第45話で13.1%、平均視聴率は10.0% と前作を少し越えました。
⑬テレビ朝日系日曜8時『ブルースワット』(1994年1月30日 - 1995年1月29日 全51話)
1995年の「メタルヒーローシリーズ」第13作はエイリアン軍団・スペースマフィアと戦う『ブルースワット』です。
プロデューサーは梶と堀、脚本も宮下メインに扇澤、鷺山、増田、鈴木、酒井、中野、浅香、井上、小林に曽田博久、上原正三、荒川龍が執筆。監督はメイン辻理、他に小西、蓑輪、三ツ村、石田、折田至を起用し、対象年齢をこれまでよりも少し高く設定、リアリティを重視したドラマ作りを目指しました。
制作スタッフ、協力会社は、特撮監督が矢島信男から尾上克郎に替わり、キャラクターデザインに野口竜が参加した以外はほぼ変わらず、音楽も前作の若草恵が担当します。
オープニングテーマ「TRUE DREAM」、エンディングテーマ「HELLO THERE!」の両曲は前作から替わり作詞作曲伊藤薫、編曲戸塚修で前田達也が歌いました。
3人の「ブルースワット」は、戦闘時にメタリックブルーのアーマーを装着する隊員NO.153ショウ(鳴海翔)役正木蒼二、メタリックパープルのアーマーを装着する隊員NO.071サラ(美杉沙羅)役白鳥夕香、ガンメタルのアーマーを装着する隊員NO.011シグ(広瀬剛)役土門廣が演じます。
1994年4月16日公開「東映スーパーヒーローフェア」では第1話と2話を再編集した劇場版『ブルースワット キック・オフ!ニュー・ヒーロー』(宮下隼一脚本構成・辻理監督)が公開されます。
初回10.9%で始まった『ブルースワット』は1年間全51話続き、最高視聴率は7月の第23話で13.1%、平均視聴率は9.3% でした。
『ブルースワット』終了後、監督の小西通雄、折田至が引退、監督の辻理、蓑輪雅夫、脚本上原正三、アクション監督山岡淳二などが「メタルヒーローシリーズ」を離れます。