陰陽論 1

不思議という言葉は、ちょっと不思議です。普通、不の文字が頭にある場合、元の言葉があって使われているものです。不機嫌、不自然、不完全のように。でも、思議という言葉は、一応あるんだけど、あまり聞くことなく、不思議だけが使われます。

気という言葉は、昔の人が不思議に思ったことを、不思議のままにせず思議するためにあみ出した概念だと、私は思議しておるんです。

だから、この思議の範囲は人体だけにとどまったわけはありません。森羅万象、自然の全てが対象になります。自然という言葉が、現代のnatureの意味で使われることはなく、当時であれば「天地」がそれに類するでしょう。天人地と言いますが、我々は上に天を仰ぎ、下に地を覗く以外、この目に知るものはありえません。天地は人の外の全てであり、我々を取り囲むものでした。

自然の恵み、自然の脅威、よく耳にする文言ですが、昔の人にとってこそ、この二面性は生命にダイレクトに関わってくるものだったことでしょう。より安全に長く生きるために、天地のことを知る必要がありました。

天と地の違いが、「陰と陽」という概念を生むことになります。


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