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資本論

数年前の転職を機に、人生の再構築を始めた。

自分と向き合う中でやりたい事を出来る時間が増えたが、収入はまだまだ給与に頼っている。そこでお金と人生の選択の自由が欲しくてお金の勉強を始めたことで、改めて社会システム、つまり資本主義経済を学びなおさなければならないと感じた。




学生時代、資本主義経済の本質と未来について本当に学びたければこれしかない、と父にカールマルクス著「資本論」を勧められていた。そのときはサッパリわからず放置。だが、頭の隅にその内容を知りたい欲求がこびりついた。そして数十年ぶりに改めて父に本を譲ってもらい、読んだ。それでもやっぱり難しい。

こんなのスンナリわかる人、いるの?




そこで書店をうろつき、佐々木隆治著「マルクス資本論」を購入。入門書、と書いてあったからだ。

シェイクスピアの影響を受けたという意味不明な言い回し、哲学的な理屈のこねまわしを平易な言葉にして手取り足取り丁寧に解説してくれていて、ぼくのようなズブの素人にもやさしい解説書だった。本体と併読していった事で、マルクスの云いたい事の大筋を何とか掴む事が出来た。




気を良くしたぼくは更に、白井聡著「武器としての資本論」へ挑戦。

資本制(著者は資本主義をそう呼んでいる)の矛盾や問題点を、肌感覚で掴むことができるように日常生活の場面に落とし込んで説明してあり、これまた思わずオオなるほど、と膝を打ってしまう様な楽しく学べる内容だ。口語調の文体も親しみやすい。




そして最新刊、斎藤幸平著「人新世の資本論」。

新自由主義と呼ばれるハイパー資本主義が地球や社会を壊してゆく仕組みを最新のマルクス抜粋ノート(コレがどうやらキモらしい)からひも解き、「資本論」を理解した上で、次世代にこの地球で暮らせる環境を残すために、この社会の不平等な富の格差を無くすために、今ぼくたちが出来る事を具体的に提案までしている実践の書。混沌とした現代のまさに必読の書だ。




スポーツやゲームだって勝とうとすれば、誰だってルールや仕組みを詳しく知ろうとするだろう。しかし、ぼくたちは自分の暮らすこの社会の仕組みをあまりにも知らない。資本主義社会に生きながら、その構造、仕組、特性などを知らないままゲームに参加しているのだ。自分がどんなシステムに組み込まれ、どんな理由で戦争や環境破壊や政治問題や所得格差やパンデミックが起こるのかを理解していなければ、より良い社会へ手の打ちようがない。




今回、なんとNHKのEテレ番組「100分de名著」で「資本論」を斎藤幸平さんの解説で取り上げるという。さっそく書店に駆け込んでテキストを購入。第一回目を視聴したが、サスガと思うほど簡単明瞭な解説。高校一年生の息子まで視聴していたくらいだ。

「資本論」は、興味があっても気軽に手を付けられるようなモノではない。そして読んだからといって、すぐに内容を理解出来るものでもない。そういった意味でも今回の番組「100分de名著」は、難解ではあるものの混乱の時代の必読の書とされるカールマルクス「資本論」を覗いてみる良い機会だと思う。理解が出来れば、色々な事柄を観る視点に変化が現れること請け合いだ。

第二回目は1月11日午後10時25分からの放送予定。全4回だそうだ。この機会に是非、視聴してみてはいかがだろうか。

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