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#4 卵のヘビ話

 先日交配したコーンスネークの続きです。産卵前に脱皮をした後、1週間~10日で卵がお目見えします。

◆基本
 ウズラ卵を小さくした様な3センチ程度で白~薄黄色の無地な型。
鶏の卵の様な「殻」というよりは「厚めの膜」という表現が近いでしょうか。だいたい一度に10~20個産卵します。自家産の最高記録は31個。
小さめならまだしも大量の時に限って全ての卵が立派なサイズ!正直、卵のサイズと数から逆算してもどうやって体内に収まっていたのか不思議な位。

線は上位置の記入

 下記の様に卵を1個ごとに並べている写真も有りますが、産まれてすぐに回収して1つずつ並べるからです。通常1つずつ産み落とされた卵は周りの卵や産卵床の水苔とくっつきながら塊になります。

真ん中列の一番上は有精卵

 表面が乾くと、鉛筆で上位置を記入していきますが(理由は次)丸型でしっかりとした硬さの物は第一段階クリア。有精卵の可能性有。
細長かったり、端が尖ったりしている物は無精卵確定。乾いてもゴムのような変な弾力があったり色が変な物が多いです。この時点でサヨウナラ。

◆上位置 
 ヘビの卵は転卵を必要としません。転卵とは何ぞや、という方の為に簡単に説明すると鳥がよく巣の中でやってる「親鳥が何時間かおきに卵の向きを変えて一方向にならない様にする」という行動です。軒下のツバメとかペンギン足が足の間(?)で器用にクルクル回しながら温めるアレのこと。
鳥の場合は何もしないと胚が卵殻に癒着して死んでしまいますが、ヘビの場合は回してしまうと逆に死んでしまう…らしいです。進化のどこで切り替わったのだろう。
 卵の上側に点を書いておくのは、万が一、卵が転がって向きが分からなくなってしまった場合に元に戻せる様にする為です。
勝手に転がる、というよりは人間が卵を回収しようとした時にメスが怒って暴れた拍子に卵を転がしてしまう事があるので、まずは上を記入してから回収させて頂く様にしています。

◆中身の判定
 キャンドリングという方法で、卵を外側からライトで照らすと中身が見えます。有精卵か無精卵はこの方法で判別していきます。有精卵の場合は血液が見えるのでほんのり赤味を帯びます。無精卵の場合は血管が発生しないので黄色のままです。

左:有精卵  右:無精卵

 ただし赤くても全てが成長するとは限りません。
あくまでも持論ですが、
・胚となる中心部分から血管が伸びる
・その周りに輪の様な模様がある
・奥側に赤い澱みの様な部分がある
この3点が見えれば体が出来る所までは辿り着ける確率が高くなります。(ただし孵化出来るかはまた別の問題)
輪がなかったり、途中で切れたりしているとその時点で終了。その卵はそこから成長しません。

有精卵の胚・輪・左上の澱み

 3、4日経過した辺りから急速に血管の数が増えていき、7~10日で血管に太さが出て来て、最終的には60日前後で孵化まで辿り着きます。

血管が太く明確になると高確率で孵化出来る

◆カビルンルン
 産卵された卵をメスから奪取して人工的に孵化させますが、ここから始まるのがカビとの戦い。温度が低いと卵がなかなか成長しない。湿度もある程度は必要。つまりはカビが大喜びする環境が整ってしまっているのです。
無精卵や、途中で成長を辞めた卵が徐々に腐ってカビの発生源となっていきます。往生際が悪いですけど、一応、丸形の無精卵っぽい物は腐るまで卵として管理しています。最初無精卵に見えても実は有精卵って事もあるかもしれないし…
 キャンドリングで確認した際に無精卵っぽい物には×印を付けて目印を付けておき、表面に水滴が付いてグズグズと怪しい雰囲気を醸し出し始めたら力づくで1個ずつを引き剥がして廃棄。
 卵は殻の中に空気や水分を取り込んでいるので卵の表面に水滴がずっと残る…という事はありません。凹んだ卵は水分を吸って膨らむ事で凹みがマシになったりするのですが…表面にずっと水滴が付いているという事は中身が殻を通して水分を吸収出来ない=死なのです。

 育たない卵を廃棄して、生きている卵を移動する時にも上位置が活躍。向きを変えない様に安全(?)な場所に引越し頂きます。
剥がした部分は殻が弱いのかカビが生えやすくなりますが、多少はカビが生えても有精卵であれば孵化まで辿り着けます…生命の神秘! 

表面に水滴が付き始めた×印を引き剥がしている所

ここから孵化まで約60日!という訳でしばしお待ちを。

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