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IoTとFintechで貧困層に金融アクセスの機会を与えるレポート読んだ

最近ちょっとした興味で読んだADBのレポートが個人的にかなりおもしろかったのでご紹介。

原文は上記のリンクからどうぞ。

タイトルは、フィンテックがトライシクルドライバーに融資の機会への扉を開くってところでしょうか。

まず、簡単に用語の説明からしておくと、
IoT(Internet of Things)...モノのインターネットと訳されるのですが、あらゆるものがネットワークでつながるというイメージ
Fintech(Financial Technology)...金融サービスを情報技術を結びつけたさまざまな革新的な動き(日銀ウェブサイトより)
ADB(Asia Development Bank)...アジア開発銀行
トライシクル...三輪車。上記写真参照。東南アジアでよくみる短距離向けタクシー

で、トライシクルドライバーというのは一般的に小規模個人事業主で低所得層の人たちが多いんですね。そういった人たちは信用がないので簡単にはローンは組めません。

そこでIoTを用いたフィンテックが登場するわけです。その仕組みにより低所得層でもローンを組める機会を作ることができ、その借りたお金でより良い生活への投資や急な出費(低所得層は日銭を稼ぐ人たちなのでまとまったお金を持っていることは稀)に対応できるようにしよう、それにより生活の安定と発展を促そうというわけです。

具体的にどういう仕組みかというと、電動トライシクルの中に、遠隔から電源を安全にオフにする機能を付与するというもの。このオフにする機能は、借主がきちんと期日通りに返済しないときに使われる、というわけ。また、移動距離などのデータから借主の勤務態度なども推し量ることができ、それにより担保なしで融資ができるというわけです。(たぶん勤務態度によって金利も変わるのでしょう)

これがなかなか上手くいっているらしく、返済もきちんとされているし(返済をすすめないと電源がオフになり使えなくなってしまうから)、副産物として貯蓄する習慣(返済用にその日の稼ぎを残しておく)も作ることができているようです。

これめちゃくちゃすごいことだと思います。青年海外協力隊なんかでもよく、コミュニティの人たちに貯金の大切さを訴えたりします。けど、ほとんどうまくいきません。ここを突っ込んでいくと長くなるので省きますが、その日暮らしの人たちの貯金の優先度ってめちゃくちゃ低いんですね。まず食べ物へ出費し、そしてケータイのチャージ、その余りがでれば薬とかに使われるのでそもそも残る余地がなかったりするわけです。(あと、ブロックを数個単位で買って少しずつ家を拡張したりもします。これは貯金がカタチを変えたと言えるかもしれません)

こういう本人の能力や意志力に頼らず、テクノロジーでそうせざると得ない仕組みに人を配置して、結果として本人の生活が豊かになるというのは合理的で現実的で良いなと思いました。金融リテラシー教育プログラムみたいなのを必要としませんから。

課題としては、IoTデバイスが少なくとも理論上は24時間データを取得できるのでプライバシーの問題はどうかなとか、IoTデバイス付きの電動トライシクルがくっついてくるので融資額が結構増えそう(借金完済まで時間かかりそう。であるならば、保証会社に結構な額払っても保証会社使った方が安くあがるのでは?)とか、いくつか疑問や課題はあるものの、そのレポートからは借主は機会に飢えてる人が多い印象を受けて熱くなりましたし、そもそもフィンテックって大半が決済に集中してると思うんですね。QRコードで支払いとか、アプリにアカウント作ってそこにお金チャージしてE-payみたいな。

今回の事例ではそうではなくリスク評価にテクノロジーが使われていて、最新のテクノロジーの恩恵を受けられるのは先進国の人や裕福な人だけじゃないぞと示せたのがすごく良いと思います。

個人的に、金融包摂や雇用創出、Decent Workみたいなことに興味があってそういった分野の研究を大学院でやろうと思っているので引き続き注視したいなと思っています。

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