メリーメリーメリー
永見です。365日でいちばん好きな日は間違いなくクリスマスだ。
過去に戻りたいとはあんまり思わないけど、それでも戻るとしたらあの頃のクリスマスを選ぶと思う。
たぶん5才とか6才とか、その頃のクリスマス。
このくらいの時期になると、お姉ちゃんと弟とわたしとで飾りつけたそんなに大きくないクリスマスツリー。てっぺんの星はジャスコで買った。
クリスマスイブはお母さんと、生クリームとイチゴのケーキをつくった。
毎年ホーム・アローンを観て、手をべたべたにしながらチキンを食べた。
そわそわしながら布団に入って、なかなか眠れないけどいつのまにか寝てて、クリスマスの朝、枕元にはプレゼントがあった。
全部が魔法みたいだった。きっと夜、うちの窓から漏れる明かりはいつもより暖色だった。
クリスマスプレゼントは、できれば使えないものがいい。
まんがをもらった時は全然うれしくなかった。ポケモンのゲームは喜んだけど。
お菓子の家のオーナメントとか、魔法のコンパクトとか、スノードームとか、そんなキラキラしたものがうれしかった。
はじめて枕元にプレゼントがなかったのは実はつい最近なんだけど、すごくすごく悲しくて、「サンタさん来なかった」ってわんわん泣いて、パパとお母さんを困らせた。
「いやワガママだな」とか「いつまで子どもでいるつもりなんだよ」とかは言わないでほしい。それはわたしも思ってるんだけど、今この文を書いてて、心臓とおなかのあいだくらいのところがグラグラして泣きそうになっているくらい辛かったことだから。
わたしの家族への距離感とか、口にしてない願いとか、そんなものがクリスマスと根っこでつながってるんだと思う。それもカラダのずっとずっと深いところで複雑に。
お姉ちゃんが県外に行って、弟も行って、去年はパパがずっと遠くにいって、ついにお母さんとわたしと、さくらだけになった。ふんぱつしてお洒落なイタリアンの前菜セットをテイクアウトしたり、ピザを頼んだり、ワインを買ったりしてみたけど、ぽっかりさみしかった。
今年は恋人を連れて帰ろうと思う。14才離れた、とてもやさしい人。お母さんとわたしの恋人は、いっしょにお酒も飲めるしタバコも吸っておしゃべりできる。よかったと思う。だからきっとまた、魔法みたいな楽しいクリスマスになる。そうだといい。
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