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哀しきモンスター

こんにちは、佐光です。
本公演が終わって1週間が経ちましたが、いまだにちょこっと空いた時間に何をしていいかわからず戸惑う日々が続いています。これまでは、なんとなく台詞を思い出したり、制作方面でやり残しはないかな、なんて公演のことばかり考えていたからです。ようやく、今日久々に文庫本を手にしてみたり、部屋の片付けをしてみたり(むしろそれまでしてなかったんかい)、ちょっと演劇と関係なさそうな普通の一日を過ごしました。

第二回本公演「bright∴blind」、いかがでしたでしょうか。
私個人の感想、ですけれども。とても魅力的な会場、エミールさんで公演を打たせてもらえたこと、これがまず幸せでした。もちろん舞台のために作られた会場ではありませんので舞台上の制約は多くはなりましたが、もうまずここで公演が打てた、それだけで幸せ。ありがとうございました。
また、制作としてやってみたかったことにもいくつか挑戦することができました。また、正直無理なんじゃないかと自分では思っていたのですが、役者としても出演させてもらうこともでき、とても楽しかったです。

今回演じたのは、「れんくんのしょくたく」という作品の母役です。こちらはタイトルの通り、れんくんの家庭のリビングで繰り広げられるお話です。

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さて、私が今暮らしている賃貸のお家のリビングにもテーブルセットが置いてあり、家族は3人ですが5人は座れる配置になっています。特に取り決めたわけでもなく、私が座る場所はいつも同じ。夫の座る場所も同じです。
思い返せば実家にいた頃もそう、座る椅子はいつも同じでした。もしかしたら、最初は「ここだよ」と促されたのかもしれませんが、いつの間にかそこが「私の居場所」になっていたわけです。父が不在のときも、誰が見ている訳ではないものの、父の椅子に座ることは決して許されなかった。そういうものでした。

なので、お客さまが来ると少し戸惑うんです。あ、それは私の椅子なのに。それは私のカップなのに。幼い私はなかなかそれを譲ることができず、涙しそうになる。今もまだ幼い私は生きています。

居場所、立ち位置、役まわり、なんだってそう。新たな風が吹いた時、それを頑なに守り続けるのか、それともそれを譲るのか。todokeru,にも新たな仲間が増えました。ふんわりとかき混ざっていく感じがとても面白いです。

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時節柄、各団体がそれぞれの判断のもとで公演や稽古の実施有無を考えていると思います。私もやはり戦々恐々といろんなケースを想定していました。正直、半分くらいの確率で中止を念頭に置いていました。
開演日も近づきつつあった頃、そろそろ最終判断をしてほしいと声をかけ、皆の意見を伺いました。中止、延期、色々な選択肢がありましたが、我々は、公演を実施する、稽古を継続する、という判断を行いました。
観劇機会を意図的に減らすことをしたくない、という思い。また、人間ですから、これまでやってきたことを無駄にしたくない、という思いもありました。しかし、一番はお客さまを信頼していたからというところが大きいです。言い方が押し付けがましく感じるかもしれません。そういうことではなく、演劇を観に来られるお客様は、ちゃんと「欠席する」という判断もできる方である、と考えているからです。そして、観たくないのに付き合いで観に行く、ということをさせない劇団でありたい、そういう作品を作っていきたいなという思いも込めた決断のつもりです。観劇のお申し込みをいただく際に「応援しています」とのコメントをいただいたりもし、勇気づけられました。ちなみに今のところは感染の報せも入っていません。結果論ではありますが。

なんやかんや書きましたが、公演後のメンバーの顔色を見ていると、早く次の作品を作りたい、というような雰囲気を感じなくもないです。早速大木さんも当てがきで短篇を2本書いてくれました。
それとは別に次回の公演に向けてもまた色々動き出しています。どうぞご期待ください!

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