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次男坊のたまご物語
こんにちわ!イラストレーターのトウドです。
今回はTwitter開設当初に投稿致しました
「次男坊のたまご物語」をお贈りしたいと思います。
以前から何らかの形にしたいな~と思っていたこのお話。ついつい後回しにしてしまっていたので、次男坊のお誕生日の記念にnoteにまとめる事にしました。
「いつまでも赤ちゃん」な次男坊に芽生えた親心
そんな彼の心の成長記録です。
・次男坊あることに気がつく
数年前のある日、次男坊を連れてお買い物に行きますと次男坊が卵パックをじっと見つめて言いました。
「おかあたん、スーパーでうってるたまごも あっためたら ひよこ うまれるの?(高音)」
子供の頃、誰しも疑問に思うことかもしれませんよね。
わたくしは答えを言いませんでした。
嫌な予感がするなぁ…そしてその予感的中(笑)
「このたまご1こあっためてもいいっ?!(高音)」
たまごのお世話をするという事はニワトリの代わりに卵のお母さんになるという事。
きちんと毎日お世話をしないといけない。
植物でさえまだまともにお世話できない次男坊ですが
「できる!できる!ぜったいやる!だからおねがい!(高音)」
次男坊の「ぜったいやる!」はにわかに信用できない。けれど今回は信じてみたい。そんな思いもあり承諾することに。
これが「次男坊のたまご物語」の始まりでした。
・たまごはどうやってあたためるの?
帰宅するや否や早速卵の温め方など色々と調べてみることに。
自分でやると決めたことは全て自分でやりたい次男坊。
一生懸命たまごについて調べますがわからない事だらけ。
とにかく温めるというイメージしかないので少し助け船を。
何かについて調べるということも実はコツが必要。
どこからアプローチして調べるかなど、小さな子にとっては難しい事なんです。
「ニワトリのお母さんの体温はどのくらいなんだろうね?」
ちょっとしたヒントから点と点が繋がることはあります。気付いた時、ひらめいた時の子供の顔って輝くものです。ニワトリの体温はおよそ37.5℃。人間より少し高めです。
わたくし「37.5℃ってどの位の温度だと思う?」
次男坊「あの~おふろの、わかすやつあるじゃん?あそこにさ38℃ってかいてある。だからおふろのおゆ
くらいのあったかさってことでしょ(高音)」
おぉ~!!まさかの次男坊のファイン回答にビックリ
3歩歩いたら忘れる。まさしくニワトリのような記憶力の次男坊からこんな花丸回答が出るとは…
彼の少ないキャパの中から思い当たる記憶をちゃんと手繰り寄せる事ができた。
これだけですでに感動…ところが。
次男坊「じゃあさ!たまごちゃんを!ちっちゃい うきわにのせて!おふろにプカプカさせてあげたらいいんじゃない?!あのぉ…ボクがあかちゃんのとき つかってたやつ!」
めちゃくちゃいいこと思い付いた顔で語る次男坊
わたくし「卵はね、殻の表面に目に見えない小さな小さな穴が沢山空いていてそこから呼吸をしているんだって。だからお湯に付けておいたらどうなっちゃうと思う?」
(ションボリ) 次男坊「いきできない…」
お風呂案、残念ながら廃案。
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君の使っていたベビー用の浮き輪では、さすがにたまごちゃんには大きすぎると思うけど自分のお下がりを使わせようとする辺りはまるでお兄ちゃんの真似。
自分のものを自分より小さな者に譲るという事は小さい子にとっては大きな進歩。
幼い次男坊の心に小さな小さな「親心」が芽生え初めていたのでした。
・そもそも本当にスーパーの卵は孵化しないの?
皆さんお気づきかとは思いますが、スーパーなどで売られている卵は無精卵といってヒナが孵ることはありません。
ほとんどの卵が養鶏場で管理されたニワトリから生まれた卵なんだそうです。
平飼いで自由に飼育されている卵が手に入ったら孵化の可能性はあるみたいですが、わたくしの買った卵は普通の卵ですから次男坊がいくら一生懸命温めてもヒヨコが孵る事はないのです。
ちなみにウズラは雌雄混合で飼育しているらしく時々有精卵が混ざっているのだとか。(何故でしょうね)
卵には1~2週間の休眠期間があるので流通後の卵でも孵化させる事はできるのだそうです。
・やってみることが大事
「子供が疑問を抱いた時は学びのチャンス」
逆に関心がない時にいくらこちらから働きかけても
心ここにあらず。
ほとんど学びには繋がらないでしょう。
長男氏は関心のない事でも積極的に学ぼうという姿勢が日頃からあります。彼のようなタイプなら親主導で学ばせる事もできるでしょう。しかし次男坊は関心のある時にしかスイッチが入らないタイプ。
関心がなければどんなに打っても響かないのです。
端から孵らないとわかっている卵を抱かせるのはかわいそうな気もしますが偶然見つかった「やる気スイッチ」をみすみす見逃すのは勿体ない。
熱意を持って取り組んだ課題なら結果が伴わなくても得るものはあるはず。
最終日を想像するとやや胸が痛みますが
「やってみる」それこそに大義があると信じて取り組んでみることに。
・卵を孵化させる条件
今回は学びの為ですから、孵化の条件を完全再現する必要はないのですが可能な限りリアルに再現する事によって次男坊には「卵に対する責任」を感じてもらいたかったので詳しく調べ、それを再現する事にしました。
たまごを孵化させる孵化器を購入する事ももちろんできますが身近にあるもので何が使えるかを考えるのも勉強の1つ。という大義名分において節約。
~卵を孵化させる条件~
・温度37.5℃程度保つ。
・湿度は50%程度から70%を保つ。
・卵を日に4回90℃位の角度転がす。(転卵)
・それを3週間程度続ける。
家にあるもので何が使えるかを考えた結果作られたのがこちら。
![](https://assets.st-note.com/img/1683980564414-BU7fA9oXfy.jpg?width=800)
温度、湿度については正直ずっとは保てません。
でも本人の責任において管理することに重きを置きました。
・お世話日記を付ける
次男坊に任せたお世話は
・湯タンポの管理 (中のお湯は親が替える)
・卵転がし
・様子をみる
・お世話日記を付ける
これ最後の「お世話日記を付ける」は次男坊ご本人が自らやりだしました。
1日のお世話ができたらお世話日記にスタンプを押す事にしました。
![](https://assets.st-note.com/img/1684218016130-4wksR3fSh6.jpg?width=800)
転卵は本来は6時間置きにするのですがこれは次男坊の起きている時間のみで朝、帰宅後、寝る前といった感じでやりました。
画して次男坊の抱卵が始まりました。
・次男坊、たまごちゃんのお兄ちゃんになる
三日坊主で終わるかと思いきや、想像以上にがんばる次男坊。
お世話の度に絵を描いたり写真を撮ったり愛でておりました。
![](https://assets.st-note.com/img/1684222093648-d7uBHXo0hd.jpg?width=800)
「たまごちゃ~ん、ゴロンのじかんだよ~(高音)」
かわいいなぁ…両親と両親のような兄に溺愛されて育った次男坊。専ら可愛がられ専門。
飼育している昆虫にさえヤキモチを焼くほどの甘えん坊だったのに…今思えば、この頃から彼の中には
「小さい子に優しいお兄ちゃんのようになりたい」という憧れの芽が芽生えていたのです。
我々も気付かない小さな成長でした。
日に何度も「おゆわかして!(高音)」とせがまれ
付き合うのも正直面倒。特に朝早くからお湯を沸かせと起こされる時など、何度ホントの事を教えてやろうかと思った事か(笑)
でもそんなある日、次男坊が床についた後お世話日記をみて胸を締め付けられる事が….書いてあったのです。
![](https://assets.st-note.com/img/1684217762085-0wYrfhHHkN.jpg?width=800)
お分かり頂けただろうか。
わからない?ですよね。
では拡大してもう一度。
![](https://assets.st-note.com/img/1684217828295-MBSzVXkcJf.jpg?width=800)
毎日甲斐甲斐しくお世話している内、彼の中で物言わぬ「卵」ではなく「いつかヒヨコになるたまごちゃん」になっていたのです。
そう、この卵はもう彼の中では生きた たまごなんです。
めんどくさいなんて、思ってごめんね。
真剣だよねそりゃあ。生きていると思っているんだもんね。
![](https://assets.st-note.com/img/1684228515265-hwW7uZG5pa.jpg?width=800)
この頃から最終的にどうするかを考え始めなければなりませんでした。
卵は孵らないとわかったあと、その卵をどうする?
まさか生ゴミとして処分する事もできません。
彼の中では「ひよこになるはずだったたまごちゃん」ですから。
・失敗を受け入れる
卵を温めるのは21日間。
彼はいつヒヨコは生まれないと気がつくのだろう。
お世話を続けること3週間。
次男坊は毎日今か今かと卵の様子を見ていました。
1日経ち、2日経ち、段々と「ヒヨコは生まれないかもしれない」と悟りはじめる次男坊。
なかなか生まれないヒヨコの話をしようしても
耳を塞いで「あーーー!」
もう諦めようと言われるのが嫌だったのでしょうね。
その話をされたらもう諦めなければいけないとわかっていたのでしょう。
さすがに5日も経つ頃になると次男坊も諦めが付いてきたようで、ようやくわたくしの話を聞いてくれました。
「やってみる」という事で大事なのは、その後です。
結果はどうあれ、やってみてどうだったか。失敗ならその原因は何か考える事こそが大事だと考えます。
でも次男坊はすぐにそれを考える事はできませんでした。
ヒヨコが生まれてこなかった悲しみの方が大きすぎたんです。
この小さな胸には代償が大きすぎたかもしれない。
実際に温めなくても別の形で学ぶ方法もあったのでは…
わたくしも反省の事後検証でした。
・たまごちゃん埋葬
結局たまごちゃんはご近所のお庭に埋めさせて頂く事に。
しっかりさようならしました。
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・優しい友人から朗報が
落ち込む日々を過ごしていたある日。
次男坊のたまごの話を聞いた友人からある連絡が。
幼稚園(母校)のお庭にハトが営巣していて、卵を温める様子が見れるよ!
バスの先生が「おかあさんハトたまごあたためています。」の看板まで作って幼稚園のみんなで見守っているのだとか。
早速幼稚園に見に行く事に。
本物のお母さん鳥が卵を温める様子を楽しみに行ったのですが残念ながら巣は何者かに襲われ卵も、親鳥もいなくなっていました。
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夢の跡でした…
襲撃したのはカラスだそうです。
本職の母鳥でさえ、卵を無事に孵して大きくなるまで育てるのは厳しく難しいものなんですね。
野生の厳しさ、命の尊さを感じざるを得ません。
・次男坊の心の変化
今回は卵の孵化という理科的な事よりも、自分の責任において育てるという事を学んだと思います。
ずっと赤ちゃんでずっと甘えん坊だった次男坊にわずかに芽生えた「お兄ちゃん」への憧れと責任感。
少し悲しみも伴いましたがよい経験になったのではないかと思います。
ヒヨコが生まれてピヨピヨと鳴いて自分に懐くのを想像していた次男坊のために、せめてイラストの中だけでも夢を叶えてこの「次男坊のたまご物語」終わりにしたいと思います。
次男坊、よくがんばったね。
いつか本物のヒヨコ育てられるといいね。
![](https://assets.st-note.com/img/1684227827882-EQglfU3h2E.jpg)
最後までご覧下さってありがとうございました。
これからも彼らの成長、共に見守って下さると嬉しいです。
それではまた!
Illustrator トウド ヤヨイ (^_^)ノThanks!☆
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