淡い水色のキャンドを、皆一様に頬の横に掲げている。
社内サークルの活動写真が電子掲示板に投稿されていたのだ。
講師はいつもせかせかとパンプスを鳴らしている総務部の実家暮らしをしている40代の女性のようだ。

そういった催し物が開催されていることは電子掲示板で知っており、だれが参加するのだろうと薄ら笑っていたのだが、画面には12,3名の男女が並んでいた。

記事を開いてコメント欄までスクロールすると、賛辞と感謝が連なり、朝に食べたヨーグルトの酸っぱさが喉の奥に思い出されたが、右下のハートマークを押して、自分のメールボックスへと画面を切り替えた。

午前中の業務を終えても、喉に張り付いた酸味は消えるどころか胸まで広がっていたが、午後のことを考えると何も食べないわけには行かないので、コンビニへ向かった。

するとちょうど良いタイミングであの写真に写り込んでいた、2つ年上の総務部では1番仲の良い同僚がおにぎりを物色していた。

「昨日のキャンドル参加したんだね。」

お疲れ様と声をかけた後、なんてことないふうに話を続ける。

「うん、楽しかったよ!何で参加しなかったの?」ともち麦玄米の〜と書かれたおにぎりを手にしながら目線が向けられる。

あ、やばい。
とりあえず「ちょっと時間なくて」とか何とか当たり障りのない返事を振り絞って、
財布を忘れたことに気づいたフリをして、足早に出口に向かう。

なぜだろう、どうしようとなく泣きたくなっていた。