僕が大人になるにはまだ早すぎる。
20歳になった時の感想はそれだけだった。
合法的にお酒が飲めるとか、タバコが吸えるとか、選挙権がとか、
そんなものはどうでもよかった。

だいたい、20歳まで酒を飲んだことのないやつは多分一生酒を飲まないし、選挙権があったところで政治家が僕らのことを気に掛けるわけがない。

ただ、僕はそんなことを考えてしまうくらいに子供であるという自覚があった。
だから、「20歳=成人」は僕には適用しないでいただきたい。

そもそも、年齢と人間的成熟度は一致しない。
だから一様に区切られてしまうのはいただけないのである。
小学6年生で家族のために料理をしたり、子守をする子がいる一方で、
大学生にもなってバイトもせず、親の手料理に文句を垂れるような私のような人間もいるのだ。

しょうがないことはわかる。
国や組織を運営していくうえで、規則は必要不可欠である。
それがないと正に無法地帯と化してしまう。

だけど大人になり切れないのに、まだ子供でよいと言っているのに勝手に大人にしないでほしい。
見知らぬ誰かの都合で勝手に僕を測らないでほしい。
大人の資格試験でも設けて、パスした人間のみ成人式に参加させて、バッチか何か配っていしまえば良い。
まあ合格基準は知らない。だって僕は大人じゃないから。

あぁ、神よ。僕はいつまでもあなたの子であるのだ。
だからどうか、僕を優しい正絹で覆われた揺り籠でお守りたまふ。

さてここまでこの駄文を読んだ君は思ったはずだろう。
こんなことを言っているやつを大人としていいはずがないと。