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2021年個人的ベストゲームは何かーアナログゲームマガジンとど大賞

こんばんわ、とどちゃまです。
今年も本当にあと1日、まごう事無き年の瀬です。

さて、アナログゲームマガジンでは、1つのテーマに沿って記事を書いていく企画を行っております。

今回のお題はこちら、

ライター各人がおもしろかったアナログゲームを表彰しちゃいましょうという企画です。

そういうわけで、1年の総決算として、私とどちゃまが今年1年で面白かったゲームを選んじゃいます。

ボードゲーム部門

まずはボードゲームから。

ゲームショップとどっていうボードゲーム屋さんをやっていながら、緊急事態宣言もあり、あまりボードゲームを遊ぶことができませんでした。そんな中でもやって面白かったなって感じたゲームを2つ紹介していきます!

1つ目は『クロックワーカー』です。

ホビージャパンから発売されたこのゲーム。ワーカープレースメントって書いてあるんですが、

人間が残していった機械に自我をもったロボットがワーカーとして乗り込む

というフレーバーがとてもよく、世界観最高。

また、「ワーカーを置くことでアクションを発生させる」というよりは、「いくつかあるアクションを発動させる資源を得るために、ワーカーを置く」というシステムでして、ゲームシステム名としてよく言われる「ワーカープレースメント」という意味ではなく、文字通りの「労働ロボット(ワーカー)を機械に置く(プレースメント)」となっています。この、ワーカーの置き方が特徴的なのと、そのやりくりにジレンマが発生し、このゲームの面白さのポイントとなっています。

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ゲームとしては、ワーカーが機械を発動させて得た資源を使って、人間が残した遺物をゲットしていきます。「自動販売機」「メガホン」みたいなものから「生産管理AI」「蒸気交通網」、最終的には「ロボット政府」「時計仕掛けの神」みたいなものを復活させちゃいます。

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人間が残した機械は16種類あるのですが、ここの拡張性が高いことも今後のゲーム発展に期待がもてます。この機械の種類を増やしていくことで、簡単に拡張セットが作れるため、どんどん新しいゲーム性が生まれてきそう。

ワーカーが資源を発生させたら次の機械に乗り込んで資源をやりくりしていく姿に、ちょっとしたかわいさと、人間がいないという哀愁、そんなものを感じさせてくれるゲームでした。

続いては『銀杏都市ギンコポリス』です。このゲームもホビージャパン。このゲーム、海外ではかなり前に作られたゲームなのですが、満を持して日本語版が発売されました。

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ゲーム概要はこんな感じのもの。

9マスのタイルで構成された小さな都市を、各々のプレイヤーが外側、もしくは重ねて上側への拡張を行っていき、その拡張の仕事を誰がしたかを示していきます。他のプレイヤーが拡張したタイルをさらに改善して作業貢献を乗っ取ったりして、最終的に同じ色タイルで並んだ都市区画ごとにその貢献度のマジョリティを競い得点とします。

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外へ拡張すると資源などを得やすく、上に拡張すると自分の能力が成長するシステムをとっており、プレイヤーからするとゲームシステム上で「する事がないな、何をしていいかわからない」というような停滞感を初プレイ時から感じないで済むところが、特に印象がよい。難しく見えるゲームなのに、やってみると異常にゲームシステムが簡単なのである。

その上、どうやってマジョリティを奪っていくかという、相手プレイヤーとの駆け引き部分は大いに考える必要があり、ゲームに重要なジレンマは十分にある。なんなら、強烈なカウンターパンチ=乗っ取り=タイルの上書きを警戒しなくてはいけないため、いつでもひやひやしながらゲームをする事になってとても楽しい。

そして、とてもユニークなのはアクションを示すカードの循環の部分。

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タイルを拡張する際には、都市の外側を示すアルファベットカードとタイルと対応した数字カードを利用して行うのですが、ゲーム中においてタイルとカードは色と番号違いで単一ペアで構成されており(3色20番まで計60タイル60カード)、都市が拡張されタイルが配置されるたびにそのタイルに対応したカードが山札に新たに加えられます。次のシャッフル以降、そのカードがプレイヤーに配られることになり、それを使ってアクションができるようになります。

タイルを重ねていくと埋もれてしまうタイルが発生しますが、それに対応したカードはプレイヤーがゲットします。そうすると、自身の能力が追加されパワーアップ。今後の拡大活動にプラスの影響をあたえていきます。

そして、そのカードが山札からいなくなる事で、山札はつねに「外側を拡張するアルファベットカードと各タイルの最上位におかれたタイルに対応したカード」だけが存在する山札の構成となり、それが延々と循環するわけです。なんか動きがおもしろい

都市の発展と、その強烈なマジョリティ争いがとても面白いゲーム感を作り出してくれる、良ゲームです。

マーダーミステリー部門

さて、お次はマーダーミステリー部門です。こちらもコロナ緊急事態宣言化でなかなか遊ぶことができませんでしたが、その中でも面白かったなと感じるものを書いていきます。

まずは市販された商品から2つ。どちらもグループSNE/Cosaicの作品です。

ウェンディ、大人になって』は、少人数用マダミスとして作られた新シリーズの1作。4~5人用で手軽にできるゲームなのですが、その割にしっかりと作られたとても良い作品。

パッケージに書かれた導入が以下のようなもので、とても心惹かれるものとなっています。

「残念ですが、私が殺されてしまいました。その犯人が皆さんの中にいることは間違いありません」
モニターに映し出されたAI・ウェンディは、無残に破壊された自身のボディをみつめて、そう言った。

ですが、僕が評価している点はこの部分だけではありません。全体的な構成のすばらしさ、終わったあとに「キレイにまとまってんなこれ」って思った事を覚えています。

あまりしゃべるとネタバレを踏みかねないので、とにかく面白いのでやってみてください。僕だけでなく皆さんが絶賛した『何度だって青い月に火を灯した』作者の新作、本当に面白いです。

続いては『マーダーミステリー・オブ・ザ・デッド

名前から出オチ感あるし、ネタバレも含んでますよね。もう、この時点でちょっと面白い。

パッケージの導入は以下、

20XX年、ゾンビ化ウィルスの感染拡大により文明は崩壊。生き残った人々が暮らすコミュニティへ現れた白衣の男は、「抗体が見つかった。これでゾンビ化を抑えられる!」と告げたのち、何者かに殺害されてしまう。
各地で続発する「ゾンビ信奉者」たちによる襲撃事件。謎の絞殺魔の噂。次々と姿を消していく生存者と、夜な夜な地下から届く謎の歌声……。

タイトルからわかっていたけど、思ったより盛りだくさんw

加えて面白いところは、なぜか全プレイヤーがみんなそれっぽいキャラの演技ができるって事です。多くの人がゾンビパニックドラマを見ていたんだなってわかります。

ゾンビパニックドラマでいうモブの死に役って結構大事じゃないですか。

「俺はこんな場所嫌だ!出ていく」
「やめろ、外は危険だ!この場所にとどまるのが安全だ!」

っいうアレです。ドラマでよくみるこういう定番やりとりが、ゲームの中で自然とできます。

こういった、共通言語化された内容を多く含んだマーダーミステリーは、とてもロールプレイがしやすいので盛り上がります。

どうしても、その場で始めて知ったキャラクターのロールプレイって難しいわけで、これがそのまんまマーダーミステリーのロールプレイ要素の問題点なわけですが、こういったドラマなどの共通知識があるものは、とてもやりやすく楽しくなるんだなって感じる事のできた遊びでした。

そういうわけで、ラストは公演型マーダーミステリーから1作、『囁く妖精事件』です。

この作品はものすごく変わっていて、今までのマーダーミステリーからは一線を画しています。なんせ、

「全員で協力して犯人を見つけ出す」

という形だからです。今までの既存マーダーミステリーは、

「プレイヤーは各々、あるストーリーの登場人物となって、その人物が求める目標を達成する」

というのが、定義でした。ところが、この作品はその定義を取っ払ってきました

「プレイヤーは全員探偵、俯瞰でとあるストーリーを見ています。協力して犯人を探してください。」

という、どちらかというと謎解きに近しいものなんじゃないかなって個人的には思っています。

この作品がマーダーミステリー界に衝撃を与えたであろうことは事実でして、ロールプレイやわちゃわちゃ感をとっぱらった純粋推理に近くなっていった作品であることも事実です。

こうした、マーダーミステリーの分岐となりえる作品が、今年の衝撃作の1つ『囁く妖精事件』です。

本当に余談ですが、作者に「難易度のクッソ高いやつを作ってください」って個人的に言ってあります。

そういうわけで、これでノミネートは終了。「アナログゲームマガジンとど大賞」の発表となります。

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