重ゲー新時代到来!『テラミスティカ 革新の時代』~アナログゲームマガジン~
お久しぶりです、とどちゃまです。
本業があまりに忙しくて執筆にとりかかる事ができませんでしたが、久々に復活です!
という事で、今回は先日に日本語版が発売された『テラミスティカ 革新の時代』についてレビューしていこうと思います!
まずは、『テラミスティカ』のこれまでを振り返っていきましょう。
テラミスティカとは
2012年にFeuerland Spiele社より発売された、いわゆる重ゲーの部類のボードゲームです。日本ではテンデイズゲームズが出版・販売を行っています。
上記のBGGのリンクを見てもわかるように、今でも評点8を超えているバケモノ作品です。人気ぶりは拡張や派生ゲームの評点をみても一目瞭然で、いずれも評点8を超え今でも人気ゲームとして遊ばれています。
難しすぎたボードゲーム
これほど評価の高いゲームではありますが、『テラミスティカ』は賞はとれど、ボードゲーム会などで誰もかれもが遊んでいるという状況にはなりませんでした。
それは重ゲーであるという点とともに、重ゲーの中でもひと際難しい事が要因で、重ゲー好きのプレイヤーの人達ですらその難しさの前に脱落してったのです。
そして、当時の重ゲーの覇権である『アグリコラ』は出版から未だ5年。まだまだ現役で遊ばれている最中であり、ガチガチ硬派な『テラミスティカ』と比較して、箱庭に畑と柵を引いて野菜を植えたり家畜飼ったりという見栄えが少なからずあり、重ゲーに慣れていないプレイヤーも、重ゲーするならまずは『アグリコラ』というのが、当時の主流でした。
重ゲー玄人の高評価
『テラミスティカ』の評価はBGG評点を見る通りシリーズを通して常に高いものです。一体なにがそれほどの魅力だったのでしょう。
筆者が考えるに、それは他の重ゲーと比較してプレイヤー間のインタラクションがとても強く、それを加味した上での拡大再生産システムの構築とその実践を行うという点であろうと考えます。
2000年以前のボードゲームはともかく、昨今のボードゲームは他プレイヤーとのインタラクションは年々減っています。重ゲーといいつつも『アグリコラ』などは他者とのインタラクションはそれほど強くなく、アクションの取り合い以外に競合する点はほぼありません。
しかし、『テラミスティカ』はアクションの取り合いとともに陣取りの要素がとても強く、囲碁のような雰囲気すら醸し出しています。
これが難しいゲームが好きなプレイヤーへの訴求力となり、『テラミスティカ』を遊んだプレイヤーはその魅力にずぶずぶとはまっていったのではないでしょうか。
『テラミスティカ』の問題点
しかしながら、テラミスティカは大きな問題点を抱えていました。それは、他の人気ゲームと比較しての「リプレイアビリティ」の低さです。
「リプレイアビリティ」とは、ボードゲーム業界では「繰り返し遊ぶための施策」という意味になります。
例えば『ドミニオン』では、毎ゲーム10種類のカードが提示され、ゲーム毎に最善となるデッキ構築パターンが変化します。用意しているカードの種類がエキスパンションが出るたびに増えるため、その10種類の組み合わせは人間にとっては無限に感じるレベルでしょう。
『アグリコラ』においては、小進歩カードが約140枚、職業カードが約180枚。このうち1ゲームで使用するのは5人プレイでも35枚ずつです。そしてそれらはゲーム開始時にドラフトという形でプレイヤーの手元にくるため、ドラフトの部分から考えれば、その組み合わせはやはりとてつもなく大きな数字になります。
一方、『テラミスティカ』におけるゲームごとに変化する部分というのは、「各ラウンドの得点ボーナスと資源ボーナス」「ラウンドブースターと呼ばれる、ラウンド毎に入れ替わる資源ボーナスと得点ボーナス」の2つでしかありません。
もちろん、プレイヤーのゲーム中の選択で様々なゲーム展開が発生しうるのですが、ゲーム準備の段階での色&キャラクター選択は先述の2つの変化部分に応じてパターン化され、プレイヤーが熟練し最善行動を取るようになってしまうと、ある程度のゲームパターンの頭打ちが発生する事は想像するに難くない状況でした。
「リプレイアビリティ」の大改善『ガイアプロジェクト』
そんな「リプレイアビリティ」の部分を大きく改善してきたのが、『テラミスティカ』系列の別モチーフゲームである『ガイアプロジェクト』です。
このゲームでは、ゲーム毎に変化する要素が『テラミスティカ』と同様の2点だけでなく、「マップのランダム化」「ゲーム終了時ボーナスのランダム化」「技術トラック上の特殊タイル配置のランダム化」という3点が追加されたのです。
「マップのランダム化」は、とても大きなゲームシステムの変更でした。ゲーム展開がパターン化できず、毎ゲーム違ったゲーム展開が起きるようになりました。これにより、色&キャラクター選択もパターン化されにくくなったわけです。
「ゲーム終了時ボーナスのランダム化」と「技術トラック上の特殊タイル配置のランダム化」は、プレイヤーがゲームを勧めていく上でのプラン作成のワンパターン化を大きく防ぐものとなりました。
これらの改善により、『テラミスティカ』派の一部は『ガイアプロジェクト』派へと移行し、現在まで至っているという状況です。
そして『革新の時代』へ
そして今年、『テラミスティカ 革新の時代』が発売されました。これまでは拡張を出してきてたのに、今回はついに完全新版。果たして何が変わったのでしょう。
筆者は喜び勇んでゲームをしてみて驚きました。今回の『テラミスティカ』は「リプレイアビリティ」の特化に力をいれ、改善が行われていたのです。
これはやりこんでしまう!
そういうわけで、ここからが本題の『テラミスティカ 革新の時代』のレビュー、やっていきましょう!
『テラミスティカ 革新の時代』
見た目と過去作との比較
まずは外箱の見た目から行ってみましょう。
箱の大きさは『ガイアプロジェクト』と同じ大きさで横長パターン。前作の『テラミスティカ』とは形状から変わって見えます。
厚さは『テラミスティカ』より少し薄く、『ガイアプロジェクト』よりも少し厚い感じです。箱の3辺は「36.5cm x 30.0cm x 8.0cm」と3作品の中で一番容量が大きいです。
大量のコンポーネント
当然ながら、コンポーネント量は膨大です。まずは各種コマなどから。
ゲームをやってみて、袋分けするならこんな感じかなと整理したものになります。片付けるときにわけわからなくならないように、袋に「〇〇用」って書き込んでいます。
マップなどの固定で使用するボードたち
今回のマップはこんな感じ。裏面には少人数用のマップが印刷されています。『ガイアプロジェクト』のように可変な形ではありませんでした。
左下にある3つのスペースは新要素の「本アクションスペース」というもので、新資源の「本」を使って使用するアクションスペースです。
本アクションは全6種類で、そのうち3つを1ゲームで使用します。3本3堀のインパクトやばい。そして1本5パワー強い。
そして、過去作と同様にラウンド毎のボーナスプレートも可変。12種から6種を使います。最終ラウンドの追加ボーナスは4種類。
技術ボードは高さが増しました。全12段。以前は鍵を使用して最上位に1人だけ入る形だったのですが、今回は鍵のロックと最上位の間に数段のスペースがあり、そこには『ガイアプロジェクト』のように収入マスが設置されています。ゲーム中に存在を忘れがち。
こちらは能力プレートと、新要素「革新タイル」の配置ボードです。
能力プレートは『ガイアプロジェクト』のようにボード上にランダムで配置されます。このプレートを取得すると新資源の「本」得る事ができ、それをコストとして支払うことで、「革新タイル」をゲットできます。
「革新タイル」は18種類中10種を使用し、ランダムで配置されます。得点用タイルもあれば、アクションが付くタイルもあります。しかし各段に目を引くのは白い建物を直接マップに置く建設が付随したタイルです。外から降ってくるなんて『ガイアプロジェクト』の暗黒惑星かよ、と言いたいところですが、今回のゲームでは8種類もあります。
毎ゲーム可変の「色ボード」「キャラクター」
さて、ここからが今作最大の変更点です。まずは写真をどうぞ。
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