シェア
戸田鳥
2016年2月13日 16:51
るるる……るるる……山の奥深く。虫の音に何百というカエルの輪唱がかぶさって、山は震える鈴の音色に包まれている。そこへ、空気をかすかに乱す話し声。(こんばんは。今夜はとりわけ空気が澄んでいますね)(空のあなたが羨ましい。さぞかし気持ちの良いことでしょう)(水面に泳ぐあなたこそ、波に揺られていつも楽しそう)空に浮かぶ月と、湖面に映る月。彼女らのいつものやりとりに、山の木たちは首