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[参考書レビュー]詳説世界史論述問題集

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論述問題が課される大学

メモ&レビュー

「まえがき」でも書かれているように、本書は珍しい論述問題集の一つである。書店ではあまり見かけないが、天下の(?)山川出版社によるものだ。

通史編17章に例題93問・練習問題84問,テーマ史編に例題22問・練習問題17問が収録されていて、50字程度から600字超までの幅広い論述問題の演習を積める。かえって全問こなすことが難しいかもしれないが、基本的に単純な設問が多いので、自信のない分野だけを選んで解いてもよいだろう。東大に限らず京大・阪大から私大にいたるまで様々な大学の過去問を出典としており、過去問演習との重複を心配する必要もあまりない。解説も充実していて、カラー印刷であることを活かし、図版やチャートも積極的に用いられている。

問題点といえば、例題で、問題文の真下に解説・解答例が記載されているため、学習に支障があるということが挙げられよう。また、そもそも出題例が少ないため仕方がないと言えばそれまでだが、古代・中世の全範囲はカバーしきれていないように思われる。東大は、出題する時代に偏りはあるものの、古代・中世の論述問題も出題されることがある。この範囲は別の参考書も眺めながら論点をまとめておく必要があるだろう。また、論述には添削が必須である。学校の先生か友人などに、客観的な視点で答案を検討してもらい、復習を徹底するべきだ。

推奨する使用法

東大受験生であれば、第三問の単語問題の対策も視野に入れるべきである。自分は通史の復習の際に、穴埋め形式のプリントと併用する形で用いた。特段の工夫をしなければおそらく時代順の演習になるので、直前期(特に2月)ではなく、長期休暇中の自学自習やセンター明けのリハビリなどに用いるのがオーソドックスであろう。

「特段の工夫」としては、各時代から問題を一つずつピックアップして、実際の東大第2問のような形式をつくり、演習することもできる。ただ面倒であるし、こうするくらいなら過去問を進めるほうがよいかもしれない。なお、テーマ史編には東大第1問の題材と似たものも並んでいる。様々な話題と関連付けながら、600字程度で書き連ねるやり方も考えられる。自分に合った使い方を見つけてほしい。

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