ロワイヤルデッキ作成ログ vol.1 方向性の制定

今回我々UTDは「デュエルロワイヤル」という動画企画用の固定プールの作成を担当しました。

これから書くのは、作成に至った経緯と、その経過を記したログです。
(デッキリストとルールについては、vol.0を読んでいただければと思います。)最初のきっかけは、KONAMIさんから「動画撮影用の固定プールを作成してほしい」という依頼を受けたこと。実は我々が以前作成していた04環境を見てくださっており、そこから着想を得たのだそうです。
突然舞い込んだオファーに驚いただけでなく、長年の活動が認められたという嬉しさを感じたことは言うまでもありません。
そして同時に、04環境と同等以上の精度でデッキ構築をせねばという使命感を覚えました。

今回の企画でKONAMIさんが考える主なターゲットは、かつて「アニメを見ていた」「OCGを遊んでいた」ような人。そんな方が見て楽しめ、実際に手にとってプレイしたくなるようにしなくてはなりません。さらに固定プールであるため、長く楽しめることは大前提。さらに8個のデッキを作る必要がありました。

しかし、ここで一つの疑問が出てくるかと思います。
「04環境という固定デッキがあるなら、それを使えばいいのではないか」。我々もそう考えましたが、04環境は競技志向が強く、使われているカードも全てがメジャーなものとは言えないとのこと……。(衝撃的な言葉ですが……)
メインターゲットを考慮したカジュアルなカードでのデッキ構築が必須。つまり、新たな固定プールの作成が必要だとKONAMIさんが考えたようです。

そこでUTDの有志8名で話し合い、デッキ選定や構築についての指針を策定していきました。

ロワイヤルデッキ指針

※デッキの安定性やバランスを考慮したので、一部指針にそぐわないカードもあります

1. 対面ごとの有利不利はあっても、全体の勝率バランスが取れていること
2. 手札事故が少なく、逆転が起こりやすいデッキであること
3. ハイランダー構築にできる限り近づけ、読みあいのパターンを複雑化する
4. 現行のリミットレギュレーションは無視するが、ターゲット層が見て違和感を覚えないよう禁止制限は昔に近い枚数で調整(具体的な時期指定はなし)
5. DM期(FLAMING ETERNITY[2004年11月25日発売]まで)のカードを30枚以上採用すること
6. 上記以降のカードは、下記条件を満たした場合のみそれぞれ1枚の採用を認める
- 効果テキストは最大で2つ
- 1つの効果内で複数の処理を必要としない
- プール内で使用できない・使用することのない効果が入っていないこと (例:「コアキメイルの鋼核」がデッキに入っていない場合は、「コアキメイル」モンスターは採用しない)
- シンクロ、チューナー、エクシーズ、ペンデュラム、リンクのモンスターは使用しないこと
7. エラッタカードは採用しない
8. 再録回数・入手難易度も考慮する(最終的に破棄しました)

それぞれの意図についてもお話ししたいと思います。
まず1~3については、“視聴コンテンツ”として楽しめることと、実際に手に取ってプレイしてもらうために定めました。見ている方もプレイする方も、一方的な試合展開とならない方がより遊戯王を楽しんでもらえるのは、と考えたからです。

特に2は、リクルーターを厚めに採用することで、ある程度自由にデッキを触れるようにしたほか、罠による除去は控えることで戦闘が通りやすくしています。これによりリクルートの選択肢としてピン差しカードを多くする理由付けにもなり、3にも繋がりました。

4については、固定プールである都合上、今後も変わっていくであろうリミットレギュレーションに合わせることが不可能だと判断したためです。04環境のように特定時期のレギュレーションを採用することも検討しましたが、後に登場しているカードを採用している時点で時期設定にさしたる意味がないと考え、“ターゲット層が違和感を覚えない程度”という緩い縛りに留めました。

5と6に関しては、メインターゲットに対しての配慮です。キャラデッキを目指している訳ではありませんが、原作やアニメで活躍したカードの中で、使いやすいものを優先的に採用。デッキの安定性を高めるためにも新規カードが必要である一方、あまりにも複雑な処理があったり、知らない色のカードが出てくると困惑する視聴者も出てしまうのではないかと判断しました。

7はプレイへの配慮で入れています。新たにカードを集めるに当たって、エラッタ前後のテキストが混在することが想定され、プレイの際に混乱を生むと考えたのです。
なお、「黒き森のウィッチ」と「クリッター」は、エラッタ経験のあるカードでありますが、エラッタ前後でデュエルに与える影響が軽微であると判断し、安定性を大幅に向上させることができるため採用しました。効果は旧テキスト(第2期テキスト)を採用しています。

最後の8については、実際に手に取ってもらうことを最終目標としているため、手に入れやすい方が良いだろうと考え盛り込みました。しかし。最終的にプールとしての完成度を優先して不採用にしました。

これでデッキ構築に関する指針が完成となりました。
次回は採用するデッキタイプの選考過程をお話ししたいと思います。

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