受験勉強しない系勉強法(哲学) 一橋経済→理二

「受験勉強したら落ちる」

この体験記は上記の主張が正しいことを大前提として進行いたします。よって、この前提が受け入れられない方はこの先15分くらいの内容は読む価値がありません。ブラウザバックを推奨いたします。ちなみに僕は4浪です。僕の体験が皆さんの受験の役に立つことなどあり得ません。いつだって僕は間違っているのです。

さて、読者の約100%が上記の数行で読むのをやめたと推測されますが、誰も見なくなったところで自己紹介をしたいと思います。

はじめまして!多一浪(たいちろう)と申します。4浪です。今年東大理二に合格しました。
これまでの私の経歴を簡潔に、分かりやすくまとめると、

・現役→東大理一×
・一浪→東大理一× 防衛医科○ 一橋経済○
(→全て入学辞退し予備校へ)
・二浪→東大理一× 一橋経済× 防衛医科○
(→辞退)
・三浪→東大理一× 一橋経済○ 早稲田政経&理工○ 慶応理工○ (→一橋に進学)
・四浪(一橋で仮面)→東大理二○

すみません全然簡単にまとまりません。自分で言うのもアレですがとにかく東大への執念が強い。予備校の面談で「お前告白して振られたら絶対ストーカーになるタイプだろ」とチューターに言われただけのことはあります。

しかし‥
僕はこの長い浪人生活で自身や浪人の友達を見て様々な事を学びました‥多浪すると全落ちしても悲しまず無感情になること‥日光を浴びないとおかしくなること‥宅浪したらお人形さんとおしゃべりできるようになること‥孤独感をこじらせると、彼女もいないのに結婚したくなりゼクシィを買いたくなること‥受験のお守りは破壊神にすると良いと言うこと‥

そしてそんな中受験における一つの『真実』を僕は見つけました。僕がこの体験記を書いたのは、その真実を皆様にもお伝えしたいという純粋な善意に基づくものです。その真実がこちらです。
「受験勉強したら落ちる」
繰り返しますが善意です。決して皆様を多浪の沼に引きずり込もうとしているのではありません。

上記のように、僕は東大への執念や怨念が人を呪い殺せるレベルで強かったのですが、三浪目には諦めて一度既に合格していた一橋大に進学しています。何故新卒が切れる二浪目でも無いのにこんな中途半端なタイミングで受験をやめたのか?それは「これ以上どんなに勉強しても成績が伸びる気がしない」と感じたからです。3年間にもわたる圧倒的多浪生活で死ぬほど多くの問題を解き散らかしたので、これ以上何をやったら良いのか分からなくなってしまったのです。

そうして半ば不本意に、でも受験勉強はもう出来ないから‥と昨年4月に仕方なく大学に進学したわけですが、意外と大学の生活は充実していました。コロナの影響で大学に行けないことを嘆く大学生も多かったですが、僕自身は人と会えないことに対してそこまでショックはなく、むしろ通学の時間などなく録画配信の授業をいつでも見られるフレキシブルな生活に満足していました。さらにこの時期は自由時間を使ってバイトにも入りまくり、それまでの受験勉強に追われる生活から一変、自分から積極的に様々な事に取り組むような生活へと変化していったのです。

こうした生活の中で少しずつ精神状態のみならず頭の使い方も改善されていきました。

それまでの受験勉強は、いわば「与えられた知識を『当てはめる』だけ」の受動的な勉強でした。入試問題をたくさん解く中で無意識のうちに目の前の問題をパターンに当てはめようとする癖ができてしまい、問題文を丁寧に読んで積極的に知識を運用していくようなことが出来ていませんでした。そんなクソみたいなやり方でもタチの悪い事にある程度入試問題は解けてしまうのでそのおかしさに気づかなかったのですが、大学の勉強は何もかも新しい物事を学ぶのでこんなやり方では当然学習に支障をきたします。そこで初めて自分の勉強法のアラがハッキリと意識され、自分の持っている知識をきちんと使えるようになっていきました。

東大の再受験を決めたのは後期の授業もほぼ全面オンラインになる事が決まった8月後半。しかしその後も受験勉強などはせず、忙しくなってきた大学の勉強ばかりやっていました。
自分の勉強法のアラが分かっただけ、勉強は1週間だけ無機化学の知識を詰め込んだだけの状態で今年の秋の東大模試を受けてみたところ、半年間のブランクにも関わらず結果は理二B判とまずまずのところを指していました。
「あれ?勉強しない方が受かるんじゃね?」
真実に気づいた瞬間でした‥

真面目に考えてみると、一橋時代の勉強はどれも高校時代までの知識を用いて、よりハイレベルな内容をやっていました。英語は単純なリーディング・リスニングだけでなく、ネイティブの先生の英語の指示を聞き漏らしが無いようちゃんと聞いて、グループで英語のプレゼンテーション(パワポ有り)を作ったり、数学では高校時代の微積・ベクトル・集合の内容をさらに発展させたような大学数学の授業をやったり、経済学の授業は最大条件とか言ってやたら数学みたいな処理をさせたりと、どれも「初めて見るタイプだけど、高校時代までの知識がちゃんと使いこなせるようになってれば授業にはなんとかついていける」タイプの問題が多かったように感じます。そしてこのような問題の捉え方は初めて見たタイプの東大の問題に取り組む姿勢といくらか共通するところもあったのかもしれません。

東大の問題はどれも一筋縄ではいかないものばかりだけど、高校時代までの基礎知識がしっかり身についていれば解けるものばかり、という、受験生時代に腐るほど言われてきた事が、皮肉なことに受験から離れ受験とは関係ない大学の勉強をやった事で初めて関連付けて理解できるようになったのかな、と思います。

‥そんな事を考え、より一層大学の勉強などに熱を入れ受験勉強はあいもかわらず1秒もやりませんでした。当時やってた教育系のバイトのシフトにも入りまくり、12月末にある期末テストや期末レポートに向けた大学の勉強に必死でした。バイトも問題なく終わり、大晦日に全てのレポートを提出し終わりました。入念に対策をした線形代数のテストだけ0点で単位を落としてしまいましたがそんな事はどうでもいいのです。元々数学が努力の実らない科目だという事は三浪目本番の数学29点で身に染みて分かっていました。気にせず年明け早々正月から2日間バイトに入り、1月2日の夜から受験勉強を開始しました。

共通テストは多浪時代に養った勘の力で突破し、いよいよ問題の二次試験対策を始めることになりました。数学と理科の対策に特化し、理科は過去問、数学は参考書二冊と駿台の講習と過去問数年分をやりました。どれもこれも1年の在学期間中に頭の使い方が変わった影響をかなり強く受けており、「なんであんなに迷ってたんだろう」と思うくらいになっていました。

過去問の出来も見違えて良くなり、これなら受かるかもしれないと思いましたが、欲を出して他の問題をやったりする事はせず、決められた分量のみを高い精度でこなすことに集中しました。結果として短い時間でしたが浪人時代よりも密度が何倍にも濃い生活を送れたので、極端に少ない時間・問題数でも一問一問を慎重に進めていけばある程度の効果はあげられるのかもしれません。事実、この直前期の1日の勉強時間は平均3時間程度だったので、大学の授業と並行するタイプの仮面浪人の人でも直前期まで両立可能かもしれません。

迎えた本番。ノー勉の国語はさておき、数学は史上初となる3完1半を達成しました。(残り二つの大問も⑴は解けました。)理科は難化したもののなんとか例年+αくらいの点はとり、英語は一橋時代のお陰でリスニングと英作文がめちゃくちゃ出来ました。

結果は合格。直前期に頑張っていた理数系が5〜60点とイマイチな点数だった一方でほぼノー勉で挑んだ英語は84点、ガチノー勉の国語は56点と無茶苦茶な点数を叩き出し、努力が見事に裏切られた形で僕の受験は幕を下ろしました。

以上が僕の体験談です。いかがでしたか?
最初に、僕の体験が皆さんの受験の役に立つことなどあり得ないと言ったはずです。今更時間を返せとか言われても困ります。こんな参考にもならない特殊すぎる体験談を読んで時間を無駄にしたのは全てあなたの責任です。

最初の主張を再び見てみましょう。
「受験勉強したら落ちる」
ふざけた主張です。全国の努力する受験生に向けた冒涜とも捉えられるかもしれません。
しかし、仮面浪人生は浪人生ではなく大学生です。「大学の勉強に触れられること」これは仮面浪人生の立派なメリットの一つです。大学受験の為に、まさか大学レベルの勉強で対策して挑む受験生などそうそういません。無敵の受験生になれることでしょう。
もちろんこれ↑はバカ極まりない暴論ですが、浪人をした多くの人が自分の「受験勉強」に問題があった、という事は恐らく当てはまるだろうし、多くの人は自分の勉強法の欠点を把握する事は難しいと思います。そんな時に、視点を変えてみるという意味においても、自分が囚われている「受験勉強」とは全く次元の異なる勉強をやる事で、自分のそれまでやってた「受験勉強」を相対化する事ができるかもしれません。もしそれができたら、そこからの受験勉強は確実に質の高いものになると思うし、勉強時間が他の受験生より多少少ないというハンデを超えるほどのメリットがあるかもしれません。

今仮面浪人をしている皆さん、迷ったら思い切って大学の勉強をガチるのも手です。その勉強の内の何割かが、思わぬところで受験の手助けになるかもしれません。

頑張ってください。来年の合格をお祈りしています。


*参考書紹介*

上記の体験談を読んで参考にしたい所は一つもない事は重々承知していますが、唯一英語だけは直前に対策した英作文の参考書が本番で活きたと思うので紹介しておきます。

・英文法語法 SWing

文法書ですが文法の解説の後にそれを用いた英作文が暗唱例文としてたくさん紹介されており、直前期は英語はこれの例文暗記だけをやっていました。本番でもそのまま使えそうなフレーズが多いのでオススメです。事実、今年の得点と英作以外の出来(4Aは0点、5番もミス連発&最後の問題を見落としていた)を見る限り、恐らく英作は最低8割以上の得点は取れていると思うので英作の点を伸ばしたい人は参考にしてください。

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