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【2020年 東大国語 解答速報】

東大現代文解答

第一問 問1
自由競争社会である米国では、失敗の原因を自己に帰し、社会には帰さないが故に批判が外に向かず、不平等な社会自体を変革するという発想は支持されないから。

第一問 問2
個人は外的要因によってしか形成されないため、個人は外界から独立した内部を持ち、その内部が自己責任の根拠であると考える近代的価値観は、虚構といえるから。

第一問 問3
本質的に既存の格差を正当化し、不平等を隠蔽する能力主義という支配構造が安定し正常とされるのは、その被支配者が能力主義を無批判に受容しているからだということ。

第一問 問4
近代は自由な個人を前提とし能力主義の名の下に平等を信仰するが、実際は不平等を正当化するみせかけの根拠を自然や神から自己の内面という虚構にすり替えたに過ぎず、社会の不平等という本質は不変である故、自責による不幸が満ちる社会を生んだということ。


第二問
一 イ異様な巫女が来て、壹和を指差して言うには
ウ人間の習性として、恨みにはたえられないものであるので
エそこでもまた薄情な人がいたならば、どこへも行けまい。
二 「何を」部分は文中に明示されていないと判断したため、「何を」が異なる解答例を2つ用意します。

直前を無難に拾った答案→維摩の講師に自分がなれるはずという期待を裏切られた動揺を、落ち着かせた。

壹和が僧であること、仏法において執着が罪であることから導いた答案→維摩の講師に自分がなりたいという執着心を、落ち着かせた。

三 壹和の心中には、巫女が指摘するような恨みなど何もないという主張。

四 解釈が2通りあると判断しました。壹和の恨みは人間の目から側から見ていてもわかるほどくっきりと滲み出ている、という方向性の答案。もう一つは、人間の目は騙せても巫女が神だから騙せない、という方向性。
壹和がこの時どのような表情をしていたかなどがわからないため、どちらの解釈もあると判断しました(解説で詳述)

前者→壹和は心中の恨みを隠そうとしているけれども、隠しきれず露呈しているということ。

後者→壹和がいくら隠そうとしても、壹和の心中の恨みを神である巫女は見抜いているということ。

五 維摩の講師に就任するのは順に、祥延、壹和、喜操、観理であるということ。

第三問
一a彼の下す裁判の判決は公平で
c私の世話をするのに
d 孝行心があると評判になっていて
二 姑は未亡人をとつがせようとしたが、結局未亡人はとつごうとしなかった。
三 于公は、未亡人は姑を殺していないと抗弁したが、太守を説得できなかったということ。
四 三年続く日照りは、前太守が無実の未亡人を処刑したせいだという于公の指摘に従い太守が未亡人を丁重に弔った所、雨が降ったから。

第四問
問1
筆者は創作者として言語を扱う過程で自然と自己を超えた公的なものに最大限に声をかすため、無名の媒介者であることが許され、筆者自身から自由であると感じる。

問2
言語を扱う過程での自分の発語の根が、その話者たる民族の経験を取り込み、その一端が予見的に開かれた自己に根ざして、現在の自分が過去、未来の他者との繋がりを感じること。

問3
作者が創作者であるだけでなく、読者でもある一個人という立場に立ってのみ、責任が創作者としての作者に帰さない形で言語世界が成立していくこと。

問4
文章を書く際には、自分が言語を扱う過程で日本語を共有する他者と自然に結ばれて無名の媒介者となることはなく、他者との結びつきに論理を必要とする私的存在となるから。

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