kyosuke toda

WAKAZE 三軒茶屋醸造所杜氏 三軒茶屋でどぶろくとSAKE 作ってます。 東工…

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WAKAZE 三軒茶屋醸造所杜氏 三軒茶屋でどぶろくとSAKE 作ってます。 東工大(中退)→木戸泉酒造、土田酒造で修行→WAKAZE

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令和の禁酒法時代に、私は酒造りをする。 |酒と自分との距離を測る

現在緊急事態宣言が発令され、飲食店では酒類の提供が禁止されている。職業柄身の回りに飲食店や多く、また醸造所の併設の飲食店も休業を与儀なくされたので、このことは私にとってもとても身に迫った問題である。 またこのことを"令和版禁酒法"と捉える声も少なくない(というか、実際そうなのだから)。酒類醸造というニッチな職業についていると、やはり思うところも多い。お酒を造っている立場としては、もちろんお酒が飲める機会が減ることで大きな影響を受けることになるし、形は違えど様々な機会でお酒を

    • 最近のビールが面白い?そしてお酒のこれから

      こんなこと書いている場合じゃないかもしれないけれど、最近のビール業界の動きが面白いと思ったので、調べつつお酒の未来どうなるのだろう、みたいなことについても少し考えてみました。 ここ1,2ヶ月で日本のビールが変わりつつありそうだと、他ジャンルながらお酒に関わる身として感じてきました。具体的な出来事としては、以下のとおり。 アサヒ 食彩(生ジョッキ缶の上位ライン)リリース キリン 晴れ風発売 キリン スプリングバレーリニューアル サッポロ エビス citrus blan

      • Recipe no.042 三軒茶屋のどぶろく Chocolate

        この季節にぴったりなどぶろくが誕生しました。カカオニブをふんだんに用いた三軒茶屋のどぶろく〜Chocolate〜です。 チョコレートをモチーフにして、カカオニブを用いるどぶろくを造るのもこれで4年目。今年もまたチューンアップして、造りにのぞみました。 テーマは米×カカオによる和魂洋才なクラフトどぶろく。和魂洋才とは、日本人固有の精神をもって西洋伝来の学問・知識を取捨・活用するという行き方、のこと。洋才、を広くとらえ、今回は嗜好品として愛されたカカオを和の発酵にとりいれます

        • サンチャスミサケ 柚子×七味 について

          三軒茶屋醸造所から新たなSAKEがリリースいたしました。辛味の要素を取り入れた和の冬酒です。 辛味は五味(甘味、酸味、うま味、苦味、塩味)には含まれず、味覚ではなく痛覚や温度覚を刺激するものとして分類されます。成分としては、唐辛子に含まれるカプサイシンが有名でしょう。 世界中の食文化を見渡せばあらゆるところに辛味の要素は表れます。しかし辛味の代表格である唐辛子が世界に広まったのは、15世紀ごろと意外にも歴史は浅いのです。 唐辛子の原産は南米・中米といわれており、大航海時

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        マガジン

        • 大学を休学して、酒を造っている話
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        記事

          WAKAZE podcastリリースにつき、所信表明

          本日podcastをリリースしました。 簡単にですが、なぜ今podcastをやるのか、何を伝えていきたいのか、記してみようと思います。 まずはpodcastというメディアについての個人的な考えから綴ることにしましょう。 いつしか、”耳”の時間のシェアの奪い合いがビジネスシーンでもよく語られるようになりました。youtubeやNETFLIXなどの動画コンテンツにおける時間のシェア(≒アテンション・エコノミー)の競争が過熱する中で、”耳”の時間はまだ未開拓であること、またA

          WAKAZE podcastリリースにつき、所信表明

          recipe no.044 三軒茶屋のどぶろく Rum Raisin

          三軒茶屋醸造所からまた新しい商品のリリースとなりました。ラムとレーズンをいれて発酵させた、冬にぴったりの甘いどぶろくです。 このたびtwitterにて行われた「#どぶろく復刻アンケート」で182人ファンの声から1位を獲得し、復刻販売が決まりました。 このどぶろくについての話をはじめる前に、レーズンの話をしましょう。レーズンの歴史は紀元前にまで遡るといわれます。木になっていたぶどうが自然に乾燥し生まれたのが始まりというのが有力のようです。強い甘味をもったレーズンは人々に親し

          recipe no.044 三軒茶屋のどぶろく Rum Raisin

          recipe no.074 三軒茶屋のどぶろく Milk Tea

          三軒茶屋醸造所から、新作のどぶろくが登場しました。オーツミルク、紅茶(アッサム)、ブランデー(コニャック)を使用した、【三軒茶屋のどぶろく〜Milk Tea〜】について色々とご紹介できればと思います。 まずは今回の主眼からお話すると、このどぶろくを造るにあたっては「紅茶のコクをどぶろくに取り込む」ということを重視しました。 個人的な思想になるのですが、どぶろくは”足し算の酒”であると捉えています。どぶろくは上槽=濾すという行為を行わないため、本来酒粕に移行するうま味が渋味

          recipe no.074 三軒茶屋のどぶろく Milk Tea

          FONIA flower 〜sakura & berry〜 recipe no.062

          醸造所から新作がリリースされた。八重桜とラズベリーをともに発酵させたお酒だ。 実は三軒茶屋醸造所では2年前にも桜を使用したお酒に取り組んでいる。その時は桜+玉露を使用した、春の茶会をイメージしたお酒だった。今回は伝統的な日本の要素から一捻り加えて、モダンな桜観をイメージして仕上げようと考えていた。 八重桜 そもそも八重桜というものは品種の名称ではなく、花びらが牡丹のように重なってふっくらとする桜の総称であるらしい。八重桜は一般的に知られるソメイヨシノに比べて、遅い時期に花

          FONIA flower 〜sakura & berry〜 recipe no.062

          三軒茶屋のどぶろく 〜strawberry〜 recipe no.046

          まさに春にピッタリなどぶろくが完成しました! 三軒茶屋のどぶろく〜strawberry〜は佐賀県産の「さちのか」を贅沢に使用。甘酸っぱさが特徴のとても可愛らしいどぶろくです! 3月のテーマ3月に出てくる新商品はこちら ・三軒茶屋のどぶろく 〜strawberry〜 ・FONIA flower 〜spring bouquet〜 梅の花+菜の花蜂蜜を使用。ページは準備中です…! 3月のテーマは、ヒトコトで言うなら「春の始まり」。味わいに出てくる特徴は”甘酸っぱさ”。だ

          三軒茶屋のどぶろく 〜strawberry〜 recipe no.046

          三軒茶屋のどぶろく〜生酛〜 製造過程を公開します。

          はじめに三軒茶屋醸造所では今まで出会ってこなかった新しい素材に向き合い、常に日本酒のあり方を拡張していくことを意識しています。日本酒とは全く別の世界とクロスオーバーすることで、味わい的にも技術的にも、新しい側面を浮かびだそうという試みの日々です。 今記事では、そんな醸造所での挑戦や新たな発見、あるいは技術的工夫・革新を全部公開していこうと考えています。 これを行う理由としては 日本酒の醸造技術の発展にほんの僅かでも寄与したいという思い。 未知の酒の醸造工程を公開すること

          三軒茶屋のどぶろく〜生酛〜 製造過程を公開します。

          三軒茶屋のどぶろく〜生酛〜 発酵の魅力を1ミリでも伝えたい

          生酛という言葉を知っているだろうか? 生酛は”きもと”と読む。日本酒の製法の一種で、江戸時代の中期頃より確立したといわれている手法だ。大体1700年頃?そう考えると300年前からある手法なわけだ。いやあ、すごいなあ。 江戸時代は酒造文化もとても栄えた時代だ。その中で「生酛」という手法は革命的だった。 少なくとも江戸時代前記における本には生酛の前身となる手法も含めて、様々な手法が記載されている。しかし、江戸時代が終わる頃にはほぼ生酛一色となっていった。今までの手法を捨て去

          三軒茶屋のどぶろく〜生酛〜 発酵の魅力を1ミリでも伝えたい

          日本伝統と、春の歓び。柚子とどぶろくを調和させるということ。

          それぞれに季節にどのような印象を抱くだろうか? 夏は暑い。涼しくなりたい。さっぱりしたい。汗を大量にかくから水分補給・栄養補給が大事だ。(今でも運動後にはちみつレモンを食べたりするのだろうか?) 秋は過ごしやすい。しかし段々と冬に向かって冷え込んでいく。乾燥しはじめる。食べ物は美味しい。実りの秋だ。 冬は寒い。じっと動かずに熱を保存しておきたい。ゆっくりと温かいものを食べたいし、飲みたい。滋味深いものを欲する。 春は歓びの季節だ。冬が明けて春の匂いがし始める。花が咲く

          日本伝統と、春の歓び。柚子とどぶろくを調和させるということ。

          vol3.造りへのこだわりについて

          おかげさまで、2020年7月で三軒茶屋醸造所は2周年を迎えました。今まで様々な挑戦をしてきた三軒茶屋醸造所ですが、それぞれのお酒についてに語ることはあっても、そもそもどんな思いを持って造っているのか?どういうところで造っているのか?について改めてお伝えする機会はあまり取れませんでした。そこで今回は節目なのもあり、醸造所についてまとめるべく筆をとりました。 予定では vol1.お米について vol2.仕込水について vol3.造りへのこだわりについて vol4.目指すお酒に

          vol3.造りへのこだわりについて

          neo消費社会がもたらす文化の喪失

          消費社会というもののあり方について議論されるようになってから短くない年月が過ぎた、と思う。自分自身はまだ23歳なので、どんなに長く見積もっても2005年以前の議論については触れていないと言っていいだろうが、その以前から存在していたことは明らかである。 消費社会、という言葉で何を思い浮かべるだろうか?マクドナルド、ブランド品、大型スーパーマーケット、ハリウッド映画、資本主義。まあなんだっていいのだけれど。消費社会、勝ち組/負け組、画一化、生産効率、これらに対する批判でよく聞く

          neo消費社会がもたらす文化の喪失

          vol2.仕込水について

          おかげさまで、2020年7月で三軒茶屋醸造所は2周年を迎えました。今まで様々な挑戦をしてきた三軒茶屋醸造所ですが、それぞれのお酒についてに語ることはあっても、そもそもどんな思いを持って造っているのか?どういうところで造っているのか?について改めてお伝えする機会はあまり取れませんでした。そこで今回は節目なのもあり、醸造所についてまとめるべく筆をとりました。 予定では Vol1.お米について Vol2.仕込水について Vol3.造りへのこだわりについて Vol4.目指すお酒に

          vol2.仕込水について

          vol.1 お米について

          おかげさまで、2020年7月で三軒茶屋醸造所は2周年を迎えました。今まで様々な挑戦をしてきた三軒茶屋醸造所ですが、それぞれのお酒についてに語ることはあっても、そもそもどんな思いを持って造っているのか?どういうところで造っているのか?どういう挑戦をしてきたのか?などについて、改めてお伝えする機会はあまり取れませんでした。そこで今回は2周年という節目に合わせ、三軒茶屋醸造所についてまとめるべく筆をとりました。 予定では vol1.お米について vol2.仕込水について vol

          vol.1 お米について