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2022年の8月31日

日付はただの数字。
季節は途方もない昔からずっと巡り続けているもの。
今が世界の終わりじゃないし、日付が変わる瞬間に決定的な何かが変わることは無い。やり損ねた夏の課題はそのまま君の人生になだらかに続くもので、少しずつ駒を進めればいいし、花火もプールも夏祭りも行く友達も恋人もいなかったとか全部どうでも良くなった大人の頃に逆に余裕であたらしく青春をはじめるのだ。
人生は長い。その長さをわすれて今この手にない何もかもが哀しくて泣いた夜は私の夜と繋がって、君が泣いていたおかげでわたしひとりじゃない気がしたよ。ありがとう。

私たちの心とも身体とも関係なく社会は日割りの都合で進むね。明日から学校とかありえない。君はあまりに素晴らしくて、誰にも似ないで光っているから、あんなつまんない人達には価値がわからなくて当然だ。似合わない場所に居続けることがどんなに死にたくなることなのか、分からない大人たちのことは無視して、君だけはここが荒野だとわかっていて。すべてを諦めて然るべきこの世界で 君だけは君のことを失くさないでほしくて、私もずっと頑張るから、いつか君の君の君と逢いたい。
頭の中なら誰を殺してもいいよ。それでちょうどいいくらいだよ。君が生きていてくれるなら、夏なんか二度と来なくてもいいと、心から思う程。何も区切られない明日も、明後日も、そのままだらだらと10年20年、何も成し遂げなくていい、なんのキャラクターにもならなくていい、ただ24時を毎日気付かないうちに超えてしまって、繰り返して繰り返して生きていて下さい。

今私の愛する身近な人々も、今わたしの言葉に耳を澄ませてくれている人々も、概ねそうだと思っているんだけれど、私自身も例にもれず死にたい子どもだった。
そしてずっと、死にたいまま、何度も心だけ殺されて殺されて繰り返してたまたま肉体が生き残ってしまった今日の君へ、私は時空を超える方法を探している。君の傷はどうしてそんなに全部、どこもかしこも、黄金色の露が漏れ出てしまっているんだろう。どこもかしこも、なんて言えちゃうほど、一体いつ君はそんなに数え切れないくらい傷をつくったの。今更どうやって泣けば良いのかもわからないんだと思うけど、せめて、笑わなくていいから、もう、何も言わないで。君が死ななければならなかったのは、君が正しくてきれいだったから。それを知っているから、君が何度も殺されたことさえもわたし、愛していると思った。だけれどそれとまったくおなじぶん、君が生まれてから今日まで、たったの一度も傷つかない人生を送れたならどんなに良いだろう、今から何かを差し出せば、神様がそうしてくれるとしたら、私はきっと、何だって渡すよ。だけれどそれは今の化学では無理だから、君かもしれなかった誰かに、今死にたい君に、私かもしれなかった君に、なにができるだろうと考える。
はやく、今すぐに、ファンタジーを編まないと。君にふさわしい現実なんかどこにもない。だれも、この世界が、似合ってない。ぜんぜんへんだよ。これでちょうどいいの、なんて言わないで。って手を引いて抜け出して、どこまでも逃げて、逃げて、扉を開けて、トンネルを抜けて、山を超えて、海を超えて、果ての果てまで、わたしたちに似合う場所を探しに行きたいけれど、どこまでいっても余所者だって本当はもうわかってる。君も、私も、すばらしすぎる。ぼくらに似合う場所なんかない。なんて哀しくて嬉しいんだろう。このクソくだらない最悪の、どんな知性も論理も美学も通じないぬりかべみたいな世界を殴っても、殴っても、こなごなに砕けた拳を好きって言ってくれてありがとう。
君に似合うファンタジーは私が編もう。君は、君と、私だけを信じて。透明なオールであらゆる海を越え虹の波を乗りこなしてしまった、あのまぼろしの船が君。君が居なくなってしまった世界は全部滅んでしまったんだ。だから今君に、生きている世界で出会えて、ずっと嬉しい。現実はいつも、きみの尊い宇宙をくるんだ脳みそを、その声を、視界を、風や湿度の捉え方を、継続させるための身体を未来へ運搬するためのただの義務で 君が学校に行けなくても 仕事をやめても 世界中の誰からも嫌われているような夜にだって、君が生き残っていて私は嬉しい。
どこまでいっても名前はない。どこまでいっても、なにもない。諦めて、諦めて、世界中の何もかもを、大人たちが口々に言うフツウのシアワセも、諦めて、全部諦めておかなきゃ君が君を壊されてしまうほど、不自由な世界で、諦めて、愛以外のすべてを。諦めて、たった今生まれたばかりの、本当はなんだって手に入るはずだった瑞々しい生命の君だって、何もかも諦めなければならないほどの荒れ地で。君だけはここが果てのない荒野だとわかっていてほしい。そうして君は、自分自身が、乾いてはならないたった一滴の水だと知るだろう。大人たちの予言はすべて外れた。やれと言われたことを一つもやらなくたって君は光った。僕らこの手応えを失わない、今だ、と感じた瞬間にぐっと踏み込むペダルの、あの感触を覚えながら、互いを頼りにして、生きていこう。8月31日の君へ。道の途中で何度も逢いたい。私きっと生きるね。


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更新ペース的に、今回も有料マガジンの購読者限定にするべきなんだろうけど、どうしても全体公開にしたかったので(ほんとうに有料マガジンの運営が向いていない)マガジン限定で夏の思い出写メ(概ね非公開)をのせます。いつもごめんなさい&ありがとう。

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