Night Swimming is good
明け方、と呼ばれる時間帯が始まる頃にはまだ自分は夜の中に居るのだと信じて疑わなかった。世界中が寝静まった実感は3時半を過ぎないとやってこない。親も兄弟も夜更かしが好きだったからだろうか、2時過ぎに見てもインスタグラムのストーリーズには投稿したての”親しい友達のみ”がチカチカと点滅しているからだろうか、完全な真っ暗闇にはなかなか出会えない都会だけれど、誰もが眠ってしまったのだと、ただ私さえそう信じることができたなら、そこからが夜の始まりだ。朝日が昇っても、鳥が鳴き出しても新聞配達のバイクの音が聞こえたって、ここは東京、そして私のまだ始まったばかりの夜の街。
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