#日刊よくできました 3

【部屋の片付けをする】

物心ついてから、片付いた部屋に住んでいた記憶がない。実家は母曰く「もったいないから捨てられない」ものであふれ、テレビ台の隙間にまで名前のわからない人形やフィギュアが並んでいたし、ありとあらゆるゲーム機や家電の箱さえ捨てられず押し入れに山積みになっていた。私の部屋は姉と同室だったので幾分かはましだったけれど、東京で一人暮らしを始めてからはそもそも自分の意思で自分が欲しいと判断したものが誰の許可もいらずに買えるということ自体の喜びにずっとはしゃいでしまい、引っ越してきてからも一瞬で部屋はものだらけになった。私の部屋の主な散らかりを紹介すると、

・服
・化粧品
・本(買って読んでない小説やエッセイと、ほとんどの確率で買ってしまう美術館の図録など)
・なんかよくわからない役所とかからの書類

とこんな感じで、そのうち8割りくらいは服である。クローゼットにもたんすにも入り切っていないので、せめてもの感じで畳んで部屋の一角に重ねられているのだけれど、まあ言ってしまえば床なので、服が増えるほどに歩くスペースが減っていく。化粧品については、本当はデパコスでちゃんとタッチアップしてもらって自分に合うものを丁寧に買って大事に使うほうがきっと素敵な行動なのだけれど、人生の6割りくらいはそもそも店員さんと会話すること自体が緊張によって苦痛に感じてしまうテンションで生きているので、運よく人と話せるテンションで買い物に出かけたとき以外は、誰とも喋らずに済むちょっといいドラッグストアなどで気晴らしに買い物してしまう。そのため、買ってみたけど似合わなかった化粧品も多い。己の怠惰によって無駄なものを買ってしまうこの結果に納得がいかないながらも、店員さんとおしゃべりすることが可能なメンタルの日がくるかどうかはほとんどガチャみたいなものなので、まあ色々仕方がない。なので私に似合いそうな色を選んでプレゼントしてくれるファンの方への感謝が計り知れない。デパコスのカウンターに行ってコスメを買うこと自体結構な重労働なのに、それを他人のためにしてあげられるなんてなんてすごい人たちなんだろう……。大事に使ってます。多分、あげた人がびっくりするくらい前のものも大事に使い続けている自信があります。これはアクセサリーやお洋服も全部そうです。自分で買ったものよりも愛しい。

そんな感じで今日は部屋の片付けを実践していた。とりあえず作業がしやすくなるようにとテーブルの上を中心によくわからん役所からの書類や確定申告の日を待っているレシート、散らばった蒲焼さん太郎のストックなどを片付けていくと久しぶりにテーブルが案外広いことに気がついたので、少しはちゃんとした料理でも作って並べてみようかとスーパーへ行く。白菜がどっさりと売っているのを見て、そういえば自宅で鍋をしたことがないな、と思い、スーパーに貼られている【今夜は鍋!】の広告写真の見よう見まねで材料を買う。そういえばたこ焼き機は持っているけど土鍋と卓上コンロは持っていないことに気付き、ホームセンターに行って土鍋とコンロも買う。今どきはIHの卓上コンロがあって、ガスボンベを使わなくてもいいのだということを初めて知った。捨て方がよくわからないゴミを出すのはなるべく避けたいので助かる。買い終わると全部で信じられない重さになっていることに気がつき、たいへんゆっくりと帰宅。

初めての鍋はどう考えても量が多かったけれど、切って鍋にいれるだけでほとんどのものがなんとかなるので、とても楽だった。白菜と豚肉と豆腐と、あとはきの子きの子きの子。きの子は白いのが至高である。なぜか実家では母が「押し入れからえのきが生える夢を見たことがあるから食べたくない」という理由でえのきだけが一切禁止されていた。でも私はあの白くて細くて味があんまりなくていくら食べてもばちが当たらなさそうなえのきだけのあの感じが大好きだった。なので実家を離れてからはしこたま食べている。食べ放題の鍋だとほとんどえのきだけしか食べなくてもいいくらい。湯葉とか豆腐とかカリフラワーとか、はんぺんとか東京のちくわぶとか、白くて味がしないものがかなり好きだったことを思い出したので、次に鍋をするときは真っ白の鍋を作ってみたい。好きなものを好きなだけ入れても誰にも怒られない鍋はなんて最高なんだろう。当然食べきれなかったけれど、明日も食べればよしとする。鍋にかなりの時間を費やしてしまったので部屋の片付けはあまり進まなかった。また片付けをしてもいいと思えるターンがやってきたら頑張りたいと思う。今日もよくできました。

ありがとうございます!助かります!