小池知事が放置、テレワークによる「新型サービス残業」が都庁で拡大中!?
9月17日(土)の午後のことです。YouTubeの生配信のテスト配信中、ある視聴者の方からこんな趣旨のコメントをいただきました。
「都庁で職員がテレワークをした場合、残業代がつかないのはおかしいのではないか・・・・」
なんちゃってテレワークの横行
都庁のテレワークに関して、筆者はこれまでも「なんちゃってテレワーク」の問題などを指摘してきました。
この「なんちゃって・・・・」とは、小池知事の方針でテレワークの実績を求められた職員が仕方なく午前中だけ自宅でテレワークを形式上行った後、昼休み時間の前後を使って出勤、午後から職場で執務に当り深夜まで残業をするという、ブラックジョークのような働き方を示す筆者の造語です。
小池知事は新型コロナ感染拡大の初期段階で、テレワークを新しい時代の新しい働き方だと喧伝し各局に下令、都職員に発破をかけました。しかし、都庁の意思決定や文書管理などの方法を放置したまま見切り発車したため、職員はどうしても出勤せざるを得ない、でもテレワークの実績は残さないと上司に叱られる。
そこで編み出されたのが「なんちゃってテレワーク」です。都庁では「なんちゃって・・・・」であっても歴としたテレワーク1回分とカウントされ、都庁の実績数字に含まれているのです。換骨奪胎とは正にこのことですね。
テレワーク中は電話連絡不可
他にもテレワークに関しては、不可思議な現象が起こっています。テレワークで出勤していない職員に外部から電話等の連絡が入った場合、テレワーク中を理由に取り次ぎが行われない、取り次がなくてよいという暗黙のルールがまん延しているのです。
例えば、テレワーク中の管理職にあるメディアから取材申し込みや事実確認の連絡があったとしましょう。すると、電話を受けた部下は「すみません。本日、課長はテレワーク中で不在なので連絡が取れません」と回答。
なんじゃこりゃ?
テレワークは外部からの連絡を遮断できるシェルターなんでしょうか。これが小池知事が目指す新しい時代の新しい働き方なのでしょうか。まったく理解できません。民間の取組みとの余りのギャップに開いた口が塞がりません。
そして、冒頭の視聴者コメントです。
テレワークは「出張扱い」で残業ができない
「テレワークでは残業代が出ない」
筆者は早速、現役都庁職員5名に実態を確認しました。課長、課長代理、主任を含む5名です。
まずは事実確認。
都庁で実施しているテレワークは、出勤による執務形態とは異なり「出張扱い」であり、特別の理由がある場合を除いて残業は認められない。そう実施要領に定められています。役人の言う「特別の場合」とは、本当に例外中の例外であって、通常業務では認められません。
ただし、議会対応の場合はテレワークでも残業が認められるのですよと、ある職員が教えてくれました。ああ、なるほど。都議会議員との答弁調整は深夜に及ぶことが珍しくありません。だから、真夜中に自宅でパソコンを前にして仕事を行うのはOK、つまり残業代は出るという理屈。。。
議会重視あっぱれ、と言いたいところですが、不毛な答弁調整のあり方にはメスを入れず、テレワークに現状追認を持ち込んだ結果に過ぎません。
起こるべくして起きる「新型サービス残業」
そんなこんなで、問題ありすぎの、不思議の国の都庁テレワークですが、最大の問題は、認められていないはずの、通常のテレワーク業務による残業が実際には日常的に行われていると言うことです。
考えてみればこんなの当たり前の話で、テレワークだから勤務時間ぴったりに仕事を終了できるかと言えば、そんなことはない。その日までに仕上げなければならない業務が残っていれば、当然、勤務時間外にパソコンを開いて自宅で仕事を続けるでしょう。夕飯を挟んで午後9時10時に及ぶことだってあるでしょう。しかし、こうした残業実績は制度上認められません。つまり、これすべてサービス残業です。
中途半端でいい加減な枠組みのままテレワークを導入したことで、都庁では、かえって違法なサービス残業が発生してしまっています。動画にコメントを寄せていただいた方も、実態確認に応じてくれた現役職員の何人かも、テレワークによる新しいタイプのサービス残業の実態を見聞きし、場合によっては自らサービス残業を実施せざるを得ない状況に直面しているのです。
テレワーク推進の旗振り役を自任する小池知事は、ご存じなのか。この重い事実をどう受け止めるのでしょうか。上っ面だけかっこいいことを言うのは自由ですが、都職員を苦しめる、場合によっては法令に抵触しかねないテレワークの実態からいつまで目をそらしているのでしょうか。毎日都庁に出勤する小池知事には関係のないことなのかもしれませんが。
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