まだ市場移転問題は終わっていない~小池都政最大の「負の遺産」は、今もくすぶり続ける~

 年末年始、豊洲市場の話題がメディアに取り上げられることも多くなる時期です。開業から3年が経過し、卸売市場としての「豊洲」もすっかり定着した感があります。ところがどっこい、豊洲も築地も未解決の難題を抱えたままなのです。

 まず豊洲。今でこそ卸売市場は都民の台所・食文化の象徴であり、エンタメ性を有する一種の観光スポットとして認知されていますが、築地から豊洲への移転が議論されていたとき、受け入れ先の地元・江東区にとって卸売市場は迷惑施設以外の何ものでもありませんでした。住宅街に市場はいらない、早朝の交通渋滞が懸念される、なぜまた江東区に?・・・・そんな受け止めでした。

 これには、江東区特有の歴史的な事情が深く絡みます。高度経済成長期、住民による大規模な反対運動の中、膨大なゴミの処分を江東区は埋め立て地として受け入れました。つまり江東区は大都会・東京の負の部分を一方的に押しつけれたという意識が根強い。ですから、豊洲市場に関しても、3つの条件を東京都に突きつけた。豊洲市場の土壌汚染対策、地下鉄の延伸、そして市場と一体となったにぎわい施設の整備です。今でも自治体間の約束として生きています。

 土壌汚染は基準を大きく超える汚染が確認されたものの、地表をコンクリート等で覆うことで現実的な解決を見ました。地下鉄の延伸は時間はかかりましたが実現に向けて動き始めています。残るは、にぎわい施設のみ。これが一番の曲者です。小池流の政治的パフォーマンスに翻弄され、いまだ決着に至っていません。

 事の始まりは、言わずと知れた小池知事の「築地に食のテーマパークを」発言です。2017年6月、築地か豊洲かの選択を迫られた小池知事は、「築地は守る・豊洲を活かす」という玉虫色の基本方針を示し、世間を煙に巻きました。そうした中での「食のテーマパーク」発言は、豊洲市場に隣接するにぎわい施設「千客万来施設」を受注した事業者の神経を逆なでし、撤退や訴訟も辞さずと事態はエスカレート。小池知事は事業者の会長と2度直談判して矛を収めさせましたが、その後も事業者はオリンピックの延期や業績の低迷などを理由に着工・開業時期を先延ばししました。

 さあ今度は、地元・江東区が黙っていません。あの約束はどうした? 豊洲市場開業と同時に「千客万来施設」を開業するはずではなかったのか? 実際、事業者は何かと理由を付けて着工時期を2023年10月に先送り。これに江東区が噛みつき、区の特別委員会に東京都を呼びつける騒ぎになっています。東京都は着工を1か月早めるようにしたり、施設の一部を先行的に開業するなど、弥縫策で切り抜けようとしていますが、それもこれも全ては、小池知事が市場移転問題を政治利用して大混乱させたツケに他なりません。

 加えて、小池知事には東京都と江東区の関係を軽視できない事情があります。江東区の山﨑区長は元都議の重鎮、その御子息は現役の有力都議です。つまり、小池知事は江東区を怒らせると、お膝元の都議会に飛び火しかねないという構図なのです。やれやれ、小池知事が政治的な駆け引きにばかり血道を上げているからこんなことになるのですよ。

 さて、築地跡地の問題に触れる余裕がなくなってきました。ひと言で申し上げれば、あの広大な23haの更地には巨大な利権が眠っているということです。これを小池知事はIT大手と組んで再開発しようとしているのではないか、これが私の見立てです。詳しくは、2021年11月にUPしたYouTube動画をご覧ください。⇒「築地市場跡 巨大スポーツ施設誕生?」

https://www.youtube.com/watch?v=2XjB0cUz6rU

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?