小池知事が出るか出ないか・・・・大手メディアの関心は、もはやソコにしかない(つまり、出なきゃ価値はゼロ)

 春から夏にかけて、都庁クラブは異動の季節。新聞各社・テレビ各社ともに人員の入れ替えがありました。そんな中、この1か月ちょっとの間に新しく着任した記者の複数名の方々と直接お会いして意見交換する機会がありました。都庁が初めてということもあって、SNSで小池批判を展開している「澤」という一風変わった都庁OBがいるので、話のネタに会っておこうということだったのでしょうか。・・・・それはさておき。

小池さんの衆院選出馬だけが関心事

 会う記者、会う記者、誰もが同じ主旨のことを口にしたのには、少々驚かされると同時に、そりゃそうだよなと納得してしまいました。
 曰く、「小池知事が次の衆院選でどう動くか。もっと端的に言えば、出馬するかどうかを見極めるのが自分の役目なのです」。
 裏を返せば、出馬の有無以外に小池知事の動静に報道価値を見出していないということです。たしかに、このところの小池さんはあまりパッとしません。都内のイベントに顔を出して愛想を振りまくか、マイナンバーカードのゴタゴタに乗じて国に文句を言うか、「HTTでしょ」と意味不明な呪文を宣伝するのが関の山。新聞の一面に載ることも、テレビ・ニュースのトップを飾ることも、もなや皆無。
 ある記者は「太陽光パネルの義務化は地味すぎて扱いにくい」とも言っていました。政局にも絡めず、すっかり「知事の座」に収まってあぐらをかいているようにも見えます。

自らへの批判には、冷たく「我関せず」


 その一方で、小池知事への批判の種はいくつもあります。神宮外苑の再開発問題では多方面から猛烈な批判を浴びています。故坂本龍一氏に続き、先日、村上春樹氏も「再開発反対」の声を上げました。しかし、小池知事は事業者に責任を押しつけて手続き論で逃げ切る構えを崩そうとしません。
 あるいは、五輪を巡る汚職や談合についてはどうか。都庁内の調査チームが中間報告を出したのは昨年12月です。それから半年以上、未だに最終報告は出ていません。というより、既にモノは出来上がっているにも拘わらず、6月の第二回都議会定例会に報告すらしなかった。いたずらに先送りして、都議会や都民の目を欺こうとしているのです。そこには、都知事としての誠実さの欠片もありません。

本命は来夏の都知事選、準備着々

 さて、話を小池知事出馬問題に戻します。
 都庁クラブの記者の方々にとって、「小池知事、すわ! 出馬っ!」となれば大盛り上がりなのでしょうが、残念ながらその可能性は低いと言わざるを得ません。
 6月の解散は尻つぼみになり、じゃあ、次はこの秋と言いたいところですが、本人出馬のハードルはめちゃくちゃ高い。維新の会との関係など、いくつもの厳しい条件がクリアされなければ出馬の目はありません。小池知事の既定路線は、あくまで都知事3選です。来年7月予定の都知事選に照準を合わせて、水面下で着々と準備を進めています。このことは記者の方々にも筆者からお伝えしました。
 小池さんの都知事選を簡単に振り返ります。
 2016年7月、崖から飛び降りるサプライズ出馬で圧勝。(石原元知事の「後出しじゃんけん」戦法のマネ)
 2020年7月、コロナ感染拡大に乗じて楽勝。(2011年東日本大震災の際の、石原元知事4選と酷似)
 つまり、過去2回の都知事選は、サプライズと災害・社会不安が後押しした、ある意味ラッキーな選挙だったわけです。

税金使って”実質”選挙活動

 しかし、2024年はそうはいかない。現職として自ら何かを仕掛けていかなければ当選は確実にならない。直近では、大田区長選に出馬した都ファ候補の応援に小池知事自ら入っても落選の憂き目を見ています。選挙巧者と呼ばれる小池さんでも油断はできない。
 そこで、来年の年明け以降、小池知事は数々のイベントを税金を使って用意しています。
 まず年明けの1月、子ども1人当たり月5千円の1年間分の6万円をどどーんと支給。現ナマを受け取って悪い気分になる親はいません。
 そして3月、お台場などの臨海副都心を舞台にド派手なイベントを決行。極めつけは、3月30日開催のフォーミュラE(電気自動車のF1)。小池百合子の名を世に知らしめるのに不足はありません。
 気がつけば、都知事選まであと3か月あまり。余勢を駆って都知事選に突入というのが小池知事の3選戦略です。
 しかし、一連のイベントの多くが税金で賄われることを忘れてはいけません。行政目的のドレスがいくら派手に見えていても、その下には選挙活動の鎧が見終え隠れしています。大手メディアの方々にも、こうした小池知事の「陰謀」をしっかりウォッチしていただきたいと思います。
 
 


 




 

 

 



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