「感染は止める 社会は止めない」の小池知事、やってることは1年前と同じ

 久々の会心作、小池知事はそう思っているに違いありません。オミクロン株の爆発的拡大に対して放った「感染は止める 社会は止めない」のキャッチコピーです。私は即座にアレを思い出しました。アレとは、市場移転問題で有名になったあの名言(?)「築地は守る 豊洲を活かす」です。

 2017年6月に示された基本方針「築地は守る 豊洲を活かす」は、語呂も良いし、築地も豊洲もうまくやってくれそうに聞こえますが、さにあらず。助詞の「は」と「を」を使い分け、当時の小池知事の本心が、「は」によって強調された築地のほうにあることをほのめかす表現になっていました。ところが、現実は真逆の結果に。築地は守るどころか跡形もなく消え去り、卸売市場は豊洲に計画通り移転しました。あの約束はどうなってしまったのか、今でも小池知事は口を濁すしかないでしょう。

 小池都政1期目の時から知事のバックには高名なプランナー、コピーライターが付いていることは、一部の都庁関係者の間では常識となっていましたが、「築地は守る 豊洲を活かす」もその御仁の作品ではないかと私は考えています。今回の「感染は止める 社会は止めない」もそうなのか。あるいは小池知事自身の発案なのか、はたまた職員の力作なのかは分かりません。いずれにしても、小池知事が気に入ってることだけは間違いないでしょう。

 新しいキャッチフレーズは出ました。しかし、飲食店に対する自粛要請の中身は、大筋では1年前とほとんど変わっていません。相変わらずの飲食店対策。お酒の提供の有無による協力金の差別化、選択制の導入などが、感染防止にどう効果的なのかも不明です。加えて、小池知事は「不要不急の外出自粛」「県境を越えた移動の自粛」を重ねて訴えています。ほぼ前例踏襲。オミクロン株の特性を対策にどう反映させたのかの説明はありませんし、ちまちました飲食店対策の効果は限定的なのではないでしょうか。

 結局、「社会は止めない」と言葉で大風呂敷を広げておきながら、やってることは旧態依然。都民としては「結局、これまでと同じなのね・・・・」と諦め半分になってしまいます。情報発信「命」の小池知事にしては、芸がなさ過ぎます。

 現在進行しているオミクロン株の特性を考慮するなら、保健所業務のオーバーフロー問題(相変わらず解決されていません)や顕在化しつつある子供の感染拡大、保育園・幼稚園、小学校での対策にこそ、注力していただきたいものです。でなければ、本当に社会が止まってしまいかねません。




 

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