交通誘導はエキサイティング
こんにちは、都知事です。
この度晴れて新規立ち上げの警備会社で社長の右腕として働くべく鞘に収まっていますが、まだ1ヶ月も経っていないのにあの頃が恋しくて仕方ありません。
Twitterで「ふんわりした警備員の仕事のイメージを具体的に紹介!」という警備会社公式の記事を見かけたので、私も便乗します。
①交通誘導は戦場
②時間は平等に流れる
③客との戦い、職人との戦い
④警備員は仕事仲間に「仕事仲間と認めてもらうこと」が初めの仕事
ではお話してまいります。
警備員は1~4まで種類がありますが、今回は道路工事に従事する交通誘導員に限ってのご紹介です。
①交通誘導は戦場
まず、警備員と言えばじっと立っているイメージがありますが、交通誘導員は全く違い、常に動き回ります。
交通誘導の経験者が施設警備などに転職すると、同じ場所でぐるぐる動き回る事を指摘されたりもします。それくらい身体に癖が残るほど動き回るのです。
まず、今回は特に大変なパターンとして、「交差点の信号取替え工事」を例としてご紹介します。
交通誘導員の役割とは、「先読み」「危険予知」「事前対策」「改善行動」のルーティンを重ねます。
例
→「まもなく電線を切り落とすから、落として回収するまでは車を止めておかないといけない」
→「近々高所作業車を歩道に据えると聞いたので、事前に規制材を駐車位置の邪魔にならない場所に用意し、警備員に歩行者誘導と落下物注意する旨を伝え配置する」
→「職人1人が他の電柱へ登るために脚立を用意している、規制材を持って追従しないといけない」
交通誘導員は工事に着手する訳ではありませんが、その業務上、俯瞰的に全体を見ることが出来ます。
これは私個人の持論ですが、警備業は顧客のビジネスをサポートするビジネスなので、顧客が手際よく業務を行えるよう努め、第三者に影響を与える事を理解した上で懇切丁寧かつ、親切身近な対応が求められます。
この先読みというものは、「職人の仕事に対するストレスを緩和する」だけでなく、「公共工事においてご迷惑をお掛けしている第三者への贖罪」でもあるのです。
我々警備員は、「工事をする上で確実に制限を設けてご迷惑をお掛けしている」という事実を忘れたり、目を背けてはなりません。
②時間は平等に流れる
当たり前の話ですが、時間は全ての人に平等に流れます。
現に今この瞬間、私が執筆している間も外では車が通り、お店は営業し、人はお酒を飲んだり眠りについたりしているでしょう。
私は現場で指導する時、「今こうして話し合っている間も他の人の時間は平等に流れている。我々が大事な話をしているからと言って、他の人たちが止まってくれるわけではない。これは作業や災害発生時も同じだ」と言い聞かせます。
人が行動するには必ず理由があります。
なぜ車を運転するのか、なぜこの道を通るのか、なぜこの時間なのか…通行人が工事の存在を知ってても知らなくても、現にその人は現場を通ろうとして来ているので、対応をしなくてはなりません。
「なんでこんな時間に工事してるの!?」
「急いでるんだけど!」
「ここは通れないんですか?どうやって行けばいいんですか?」
「私はどうすればいいんですか?」
通行人は様々な言葉で我々に対応を求めます。
我々は顧客の代弁者なので、あらゆる問題点を想像し、聞いた事をデータ化し、円滑に対応できるよう努めなければなりません。
・迂回路はどのように進めばいいのか
・迂回路の目印は
・迂回するのに必要な時間はどの程度か
・迂回路の道幅は
・迂回路は現時点で通れる状態にあるのか
こうした工事に関する道の案内や把握はもちろん、周辺施設や駅など、現場周辺の街の特色を把握し、通行人の「困った」に対応できるよう備えておくことも必要です。
通行人から聞かれたことは記録して答えを用意しておき、隊で共有しておきましょう。
③第三者との戦い、職人との戦い
①、②のように、我々警備員(交通誘導員)は第三者(通行人)とも職人とも戦う必要があります。
その中でも厄介なのは仕事仲間である職人です。
通行人は懇切丁寧に説明すればご理解頂ける場合が多くありますし、立腹されていても最終的に折れて下さる場合がほとんどです。
しかし、職人はそうも行きません。
ここでは書きませんが、扱う物によって職人の気質は異なり、中にはこの先何をするのか一切教えてくれない職人も居ます。
しかし、我々警備業は他者のビジネスをサポートするビジネス。職人の意図も汲まなくてはなりません。
見て盗み、行動してみて、叱られて。やってみせて、また叱られる。
この繰り返しです。こうして警備員は「自分がやる訳では無い作業内容を徐々に把握していく」のです。
場数を踏み、その一つ一つの場も考えて行動する事で、先読みのスキルが上がり警備員としてより良い勤務が出来るようになります。
④警備員は仕事仲間に「仕事仲間と認めてもらうこと」が初めの仕事
③の学びと行動をひたすら繰り返し、ようやく職人の痒いところに手が届く警備員になれます。
中には職人の仕事を手伝う警備員も居ますが、それは二流三流、あくまで警備員として出来ることを弁え、サポートするのがあるべき姿だと私は考えます。
職人が工事もせずに歩行者に「気を付けて通って下さいね~」と声をかけていたらどうでしょう。
決して不要な事ではありませんが、「その為の警備員なのに」となると思います。
職人も同じで、「俺達も仕事をするからあんた達も仕事をしてくれ」という想いです。
与えられた任務を考え、理解し、行動する。これが各々与えられた役割です。
現場とはマラソンのようなもの。より早くゴールするために、ランナーはもちろん、それ以外のサポーターも全力で協力する。これが工事現場の日常です。
いかがでしょうか、他の会社では分かりませんが、私が警備隊長として従事してきた現場は概ねこのような流れとなっております。
工事が早く終われば我々も職人も早く帰れますし、予定よりも早く道路を元の状態に復旧出来て通行人を煩わせる事もありません。
パッと思い付いて書き始めた荒削りな記事ですが、お楽しみいただければ幸いです。
ではまた。
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