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発熱外来での勤務と会社との関係

こんばんは、都知事です。

私は現在、かつて退職した警備会社に頭を下げて出戻りを果たし、かつて与えられた警備隊長の職位を全うする日々を送っていました。

この度、耐えられぬ屈辱を味わったので記録に残しておこうと思います。

①コロナクリニックへの派遣

②新人のバックアップがゼロ

③マニュアル作成や申し送りは無償

④顧客の都合をフル無視

⑤お盆休みの事件

⑥そして現在


①コロナクリニックへの派遣

私は2022年8月から、警備員としては珍しい発熱外来のクリニックへ派遣されることになりました。

その現場では文字通り医療崩壊が起こっており、患者はクリニックの外に溢れ帰り、40℃の熱を出しながらも立ちながら並び続け、道端には耐えきれず倒れ込む患者が何人も居ました。

「医療崩壊とは自分の知らない世界の話だと思っていた」

「自分の知らない世界がここにはある、医療従事者とウイルスの戦いは今も尚続いている」、そう確信しました。


私は警備員ですが、自分に出来ることは何か、徹底的に模索し、現場の潤滑剤になり、1人でも多くの患者を苦痛から救う為に考え、行動しました。

クリニックからの要望は「並んでいる患者の交通整理」でしたが、私はそれに加え以下のことを付随して業務に当たりました。

・受付に殺到する患者への説明
→患者の疑問を聞き、具体的に噛み砕いた上で受付に相談し、今後も同じ答えで良いならこちらで説明すると申し出る

・クリニック外においての呼び出しを代行
→私物の拡声器を持っているので、院内アナウンスで聞こえない呼び出しを代行し、呼び出しにかかる手間を軽減


・熱発していない患者に対しては最寄りのPCRセンターを案内

・クリニックの制度を理解し、費用がかかる場合やウイルスの陽性反応の説明を行う
→受付の説明にかかる時間を軽減

(コロナ陽性になった後、症状が落ち着いても身体の中にはウイルスの遺伝子が残っており、検査しても陽性になる可能性が極めて高い)
(その為、会社から陰性証明を求められても陽性になる可能性が高い上、症状がなければ検査費の無償化は受けられず、16000円程の検査費用がかかる)


・発熱外来前の業務を別支店で行なっていることの説明、謝罪

・Googleマップのレビューを参考に患者の不満や近隣住民の心配事を拾い上げ、印刷物を作成して掲示、アナウンスに取り入れ周知する


・予約システム導入にあたり、仕様を調べ、使い勝手を試し、登録、予約、確認のプロセスを全て把握し、患者に説明、操作が分からない人に対しては代わりに操作する事を了承してもらい代わりに予約、メールアドレスが分からない場合はメールアプリから受信履歴を開いてtoからアドレスを調べる


大まかに言うとこのような感じで、とにかく「受付に来る人間をふるいにかけ、受付の負担を減らす」、「患者の案内をスムーズに行い回転数をあげる」、「患者の待ちが発生しないよう適度に散らす」という事を行いました。

派遣されて数日で予約システムが採用され、待ち行列はほぼ解消、通知が来る前に来院する患者に出直してもらうよう頼んだりして、近隣住民の心情にも配慮しました。


この働きが認められたのか、院長先生からは絶大な信頼を寄せていただき、クリニックの経営会議にも呼んで頂いて意見を述べることが許されるなど、貴重な経験もさせて頂きました。

しかしそんな中、クリニック警備に暗雲が立ちこめます。それは、「警備会社のあまりにもバカすぎる管理」でした。

②新人のバックアップがゼロ

弊社は週5日以上連続で働く事が出来ず、そのためには部長クラスからの許可が必要とのことでした。

しかし、会社は私の代わりを用意する努力をするどころか、「メールかLINEで内容伝えておいて」と私に丸投げ、新人が何も知らないまま大変な現場に充てられる事に対してなんの関心もない。

私は怒り狂いそうになりましたが、管制は年端も行かない新卒、顧客の持つであろう不安なども伝えた上で解決策を模索しました。


「何も知らない新人を充てて、上手くいくと思うのか」
「その新人にいつ仕事を教えるのか」
「メールやLINEでと言うが、それはいつ、どのタイミングで行うのか、現場にはそんな暇はない」
「そもそも自分は時間分の労働しか賃金が発生しないが、そのマニュアル作成の時間は報酬が発生するのか」
「顧客に何も知らない新人が行きますと説明はしているのか、了承は貰っているのか」

懇々と説教しましたが、これらは全て無駄でした。

仕方が無いので私は休日にクリニックへ出向き、新人にあれやこれやとレクチャーし、実際にどういうものかを見せ、教育しました。

ちなみにこの時には営業課長が新人に随伴していましたが、私の姿を見るなり完全に丸投げ。遠くからこちらを見ているだけでした。

また、彼は現場に来るのはこれで2回目で、予約システムや医療のことなど一切知りません。指導の名目で随伴していたようですが、一体何を教えるつもりだったのか。

顔を思い出すだけで腹が立ちます。

③マニュアル作成や申し送りは無償

その後、憤りはありましたが、現場にやってくる新人に罪はありません。個人的にマニュアルを作成し、「最低限すべきこと」だけを打ち込み、休憩のタイミング、できる限り多く休憩をとるように書き記し、新人へ送信しました。

もちろんこれに対する報酬は会社からは出ません。

私は元々別の会社で管制兼隊長をやっていましたが、その頃は現場へ出向いて事情を聞いたり、仕事内容をヒアリングしてマニュアルを作成したりもしていました。

現場で働いてもらう以上、隊員の負担はなるべく減らし、仕事に集中出来る環境を作りたかったからで、この気持ちは今も変わりません。


しかし、今の会社はそんな私の気持ちを上手く利用し、無償労働を促し、顧客を人質にしてくるような印象でした。

ムカつきます。

④顧客の都合をフル無視

そして、この会社というのは顧客の事情や都合を無視します。

打ち合わせは現場とは関係の無い事務員とだけ行い、言われたことを言われるがままにやるだけ。こんなもん三河屋のサブちゃんでも出来ます。サブちゃんのが愛想があるだけマシです。

院長先生の「都知事に毎日でも来て欲しい」という要望を無視し、「大変な時期だから上手く人を捌ける人を派遣しよう」という気もなく、ただ思考停止のままなんのバックアップもなく何も知らない新人を現場に向かわせる。

もちろん、発熱外来なのでコロナ陽性の患者さんがほとんどで、我々も罹患する可能性があります。その説明ももちろんしていません。

現場に来た新人は「こんなに大変だと思わなかった」、「コロナ陽性患者と相対するなんて聞いてない」と嘆いていました。


そして、私は時に別の現場に回されることもありました。

私自身、顧客からの評価は有難いことに高く、そちらに回さないと行けない場面も確かにあったとは思います。

しかし、コロナクリニックで陽性患者の対応をしている以上、他の現場に回すのは感染拡大の危険もあります。

結果、私は自費でPCR検査を受け、別の現場へ向かうこともありました。

⑤お盆休みの事件

クリニック勤務の一区切りとなるお盆休み、なんと初日に予約システムが稼働してしまい、朝から患者さんの予約が殺到してしまうという事件が発生しました。


私は別会社でも警備員として働いており、この日は11時から店舗駐車場で勤務予定でした。

しかし、ふと気になって予約システムを覗いたところ、その頃には50人以上の患者さんが予約してしまっている状態でした。

私はすぐ院長先生に連絡し、システムが稼働していることを伝えました。

それからはいてもたってもいられず、出勤の準備をして、クリニックへ駆けつけました。

院長先生は大変喜んで下さり、「今回の件は緊急対応としてお仕事扱いにしてください、きちんと報酬を支払いたい」と言ってくださいました。

私はこの事を営業課長に電話で伝えました。

まず、「依頼された訳でもないのに勝手に現場に来たこと」「個人的にクリニックを手伝いに来たこと」を謝罪し、院長先生からの言葉を伝えました。

すると営業課長は「でもそれ、個人的に行ってるだけでしょ?」「1時間程度の事だし、金なんていらないんでしょ?」と私に言いました。


悔しい。もどかしい。
しかし、社会人として誤った行動をしているのは自分であり、営業課長に余計な仕事をさせようとしている自覚もあったため、「その通りです」としか言えませんでした。

私はこの「顧客が望んでいることを受け入れない」という姿勢に大きな不信感を抱きました。

⑥そして現在

そして今、9月末まで契約が延長され、9月からまた新たなシステムが稼働することになりました。

私は院長先生からの要望もあり、土日を含む週5日間出勤することになり、木金は後輩に任せることになりました。


しかし、早速問題が発生します。9月1日、2日は木金で、私の休みと被っていたのです。

私は管制が気付くまで待とうと思いましたが、彼らが自ら気付くことはありませんでした。


ある日届いた連絡では、「後輩が9月1日2日は都合が悪いので代わりに出てくれないか」という内容。私は「9月からシステムが稼働するのでその相談は後輩の都合云々より早く気付いて連絡すべきだったのではないか」と諭し、この相談を受けました。

しかしその後、また管制から連絡があり、「1日2日はやはりうちの社員を向かわせる」との事。

こうなると、また新人育成の必要が出てきます。育成はどうするのか?また適当にやって見捨てるのか?

私が現場指導を申し出ると、管制は営業課長に代わると行って逃げるように保留にしました。


私が立場上、営業課長に逆らえないことを知っているのでしょう。私が良かれと思い顧客に対しどういう態度で臨むべきかを教えて来た事を全て裏切った、そのように感じました。


営業課長は「やれやれ、また都知事がワガママ言ってるのか」というような、呆れたような声で話し始めました。

「院長とは話してないが事務とはこういう話で進めている」

「この話はこちらが決めることであってお前が口出しすることではない」


この言葉は私の心をへし折るのには完璧な言い回しでした。

自分は所詮コマでしかない、決定権はなく、どれだけ頑張ったところで無駄だと、自覚しました。

私はクリニックの現場が終わればしばらく休暇を取ろうと思います。

今すぐ逃げ出して全部むちゃくちゃにしてもいいのですが、奉公に対して御恩で返し続けてくれた院長先生、休憩も取らずに患者の為に戦い続ける医療スタッフを見捨てて逃げる事は出来ない。

新人を含め、仲間を見捨てる事は自分には出来ない。

この戦いは私を一回り成長させてくれました。
このような扱いをされてもなお、失いきれない心、これこそが自分の芯と言えるものなのでしょう。


頑張ってもダメ、頑張らなくてもダメ、結果を残しすぎても、残さなすぎてもダメ…

大変生きづらくストレスのたまる世の中、我々はどのように働き、生きるべきなのでしょうか。


答えはわかりませんが、目の前の人達が「都知事がいてくれて良かった」「不安が解消された」と言ってくれる事実だけを信じて残りの期間も働こうと思います。

追伸
コロナクリニックでの勤務において、何度も私を励まし、心を救ってくれた友人にこの場を借りて感謝申し上げます。

多くの方が激励して下さいましたが、特にフォロワーの病気(やまいけ)さん、吉村さんの言葉には本当に救っていただきました。

私が現場で患者さんに対して心穏やかに対応し続けられるのもみなさんのおかげです。全てを信じられない中、真に心を許せる友人に恵まれ私は幸せ者です。


人は何者にでもなれる。いつからでも。

しかしその道を邪魔しようとする大人もいる。我々はどう生きるべきか。

ではまた。

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