疑うことなく旅する雲
――ずっと青春ぽいですね。
先日風邪をひいた時に、頭痛に苦しみながら夜、ベッドに寝転んでアマゾンプライムで呪術廻戦を見、眠くなったら寝、怖いくらい寝て起きたらお昼だったから一応ベッドから出てシャワーを浴び、立つのも辛いのに丁寧に髪を乾かしてやっとの思いでベッドにもどって倒れるように二度寝する、みたいな生活が体調が悪ければ許されることに気づいて、罪悪感もなく怠けられるのって最高だと思いこれからも定期的に風邪をひきたいと感じた次第ですが、残念ながらそれが推しの生誕祭直前だったので解熱剤やら風邪薬やら一緒に服用できるか分からない薬を必死に摂取して治しました。風邪をひいていただけで意識まで曖昧なわけではなく、ずーっと考え事ができる時間が増えたと思えば有意義ですらあります。
エビ中のインディーズアルバムのサブタイトルが「おわらない青春」ですが、青春とはアイドル活動を指しているのか、エビ中が表現する世界観を指しているのか気になっています。そもそも青春ってなんですか?なんか、僕の中では、他にやらなければいけないことを放ったからかしにしてまで自分の好きなことを貫いたり、他の人では気づかないところまで周りが見えなくなるほど熱中したり、おそらく社会に出たらなかなかできないような状況や体験が青春なのだと思っていますがどうなのでしょうか。僕の推しって、SNSの投稿を何度も見返して、「この言い回しの方がいいかな?」とか「この絵文字可愛いから使おう!」とか、わざわざファンが深読みしないところまで気を配ったり、律儀に毎週木曜日になったら長いブログを投稿してくれたり、それにちゃんと写真を添付してくれたり、「こんな表情だとこの曲に合ってるかな?」とか、「この子のこの表情可愛い!私もそれしたい!」とか色々考えて自撮りをしたり、どこまでもアイドルであることを望んでそう。実際どうか知らないですよ?妄想かもしれないですけど。自分とファンを一直線で繋いで、そんなただの幾何学的な直線が殺風景だからといって実直にデコってくれるような人だと思っています。実直にデコるって面白い言葉の組み合わせですね。アイドルらしいっちゃらしいのかも。そんな時の彼女の目がどんな瞬間よりも輝いていて可愛いんです。オンラインくじで当選した1等の景品である僕個人に向けてのオリジナル動画を先日ようやく見て、僕の名前を呼んでくれる推しっていうのはお互いの活動上珍しくないのですが、それがラジオではなく、カメラ目線、というか擬似的に目を見て言ってくれるというだけで全然違って、恥ずかしくて慣れるまで頭が熱くて、推しの顔を直視できませんでした。なので失礼な話ですが、隣の真山さんをずっと見つめていました。真山さんと相対した時のプレッシャーのなさはもっと評価されるべきですよ。話が逸れましたが、誰のことを考えてか知りませんが何十分もかけてメイクをして、何度も鏡の前で練習を重ねて、先生に怒られながら真剣な顔でボイストレーニングをしているんです。たった一、二時間のステージのために。必死で頑張っている推しって、可愛くないですか?当たり前のことかもしれませんが。妄想ですけど、特典会の前日、鏡の前で「明日着る服、どっちにしようかな?こっちの方が女性ファミリーにウケそうだけどこっちも可愛い!うーん、明日決めよ!両方持ってく!」みたいなことをしていると考えたら愛おしくてしょうがないんです。青春って、傍からみたら可愛いんですよね。青春を遠くで見守る第三者であり続けたい僕です。青春がおわらないなんて最高じゃないですか。もちろんたまには休んでほしいですけど、頑張りすぎてダウンしている中でも、ベッドの上では冷めない頭をグルグル回して復帰したらどうしようか考え続けていてほしい。それが容易に想像できちゃうから好きなんです。
――疑うことなく旅する雲。
そりゃあまあ、付き合えたら嬉しいですけど、好きな子ができて、アイドル活動を放ったらかしにしちゃうくらい好きな子のことを考えている推しもとんでもなく可愛いはず。とにかく一生懸命な推しが好きです、というオタクの模範解答。
オタクだって四六時中推しのことを考えています。推しのために仕事を頑張るし、推しのためならある程度の人間関係や財産は捨てられる!というような人たち。流れ星が三つ流れたら三つすべての願いごとに推しが介入してきます。推しが青春ならオタクも青春。汗が光に照らされて衣装とともにキラキラ光るステージ上とは違って客席は暗くて暑くて汗くさいかもしれませんが、どちらもずっと青春ぽいことをしているのだと思います。
風に吹かれる白い雲たる僕の推し。行く先は誰も知らない。雲はずっと理想の形を保つために努力して、それを見た風が際限なく青が伸びる空へと連れていってくれることを疑うことなく信じている。そんな空が、やっぱり可愛くてしょうがないんです。
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