第6話「エウロパの休日」2 小林昭人
それから数十年後、彼らの関係について、後にオルドリン大学で文学博士号を取得し、「マシュマー研究家」として著名になったエゼルハート・カーター博士は、自分の知る限りの事実と膨大な情報を精査した後、著書で次のように記している。
それから二日後、ハマーンはエウロパのバッカス宇宙港からジオン本国に旅立った。展望デッキから船が空の彼方に消えるまで見送ったマシュマーは、それまで肌身離さず身に着けていた銀のペンダントを首から外してポケットに収めた。ペンダントのもう一方の片割れは、彼女の手紙と一緒に共に語り合ったホテルの部屋の鏡台にある。
「終わったな、、」
上昇する宇宙船からの飛行機雲がたなびく、エウロパの青い空と白い雲を見上げながら、彼は呟いた。
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