テレビとミミズ
遠い昔の竹原市
ひとりのミミズが泣いていた
焦げたトランジスタの中から
ふたりの天使が落ちて来て
財布の中身を分け合うような
つつましい朝を待ちわびた
あんな未来はもう来ない
あんな世界はもういない
◇
ところ変わって六本木
二億のテレビが泣いていた
六畳一間で電気もつけず
月をながめていた僕に
そっとさみしい心をくれた
ローマの天使も泣いていた
あんなアイスは食べれない
あんなパスタは食べれない
◇
ここは宇宙のゴミ捨て場
ピースとロキソニンの墓場
ふたりの天使が星になっても
見送る事さえままならず
なにもしらないマネキンたちの
最期を思って泣いていた
こんな世界にだれが居た
こんな世界にだれが居た
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