トビカタマナブ

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値しない男

僕と僕らの分身が 黒い踊りを踊ったよ そんなみじめな三面記事で 嘆いてくれるはずも無く きみはいつしか正気に戻り 値する船を手に入れる 夢と夢路の両端に 白い楔を打ち込んだ されど嘘つき男の影は 日に日に濃度を増すばかり きみはいつしか正気に戻り 自壊する僕を遠ざける

    • アカシック

      星間旅行を実現したのは もう既に過去の事 ふと思い立ってその時の 生の声を聞こうとした こちらは夢の大団円 未来が幸福だったとしても 君が生まれることもないなら コスモが消えても構わない 有名な国が取り乱したのは 今よりずっと昔の話 ふと思い立ってその時の 手記を見返そうとしたら・・・・・・・・・。

      • はずみ車

        溶けて代えられたような 異母の夢からさめて ここにいる どこにいてもまわるだけの 一途の為に

        • ペス

          ロマンチックな恋愛模様は ドラマの世界だけの話 いつも無口な清掃業者は 突然ガラスを叩き割り 焼き払われた県立大に 双子の遺骸が捨てられる 街は異物の廃墟と化して やさしいあなたもポチになる ホモサピエンスが存在するのは テレビの世界だけの話 いつも無口な清掃業者は 瓦礫の掃除をし始めた

          遠い星

          夢から離れた星で 目を覚ました 楽して儲かる星で 死刑にされたから 君の髪を引きちぎった人を 挽肉にするために ベルサイユ宮殿を 不法占拠した日 誰ひとり知らない星で 目を伏せた 楽して終われる星に 生まれてこなかったから

          プラザの冒険

          1. 大きなプラザは力持ち 数多の奇跡は見間違い 哀れなプラザは旅に出て 無いものを食べに歩き出す ☆この世はなんで☆ ☆ああ なんで☆ ☆僕とそっくりに できてるの☆ 2. なかまのねずみに逃げられて かたきのいたちが泣いていた そうしてプラザは今日もまた 前歯を金歯に差し替えた ☆この世はなんて☆ ☆ああ なんて☆ ☆優しくて楽しいんだろう☆ 3. 悲しいプラザは小金持ち 穏やかな明日は未収録 泣きたいプラザはホテルの風呂で 無いものに

          テレビとミミズ

          遠い昔の竹原市 ひとりのミミズが泣いていた 焦げたトランジスタの中から ふたりの天使が落ちて来て 財布の中身を分け合うような つつましい朝を待ちわびた あんな未来はもう来ない あんな世界はもういない ◇ ところ変わって六本木 二億のテレビが泣いていた 六畳一間で電気もつけず 月をながめていた僕に そっとさみしい心をくれた ローマの天使も泣いていた あんなアイスは食べれない あんなパスタは食べれない ◇ ここは宇宙のゴミ捨て場 ピースとロキソニンの墓場 ふ

          テレビとミミズ

          コールドスリープ

          春のぽかぽか陽気の中で いっそ死ぬまで眠りたい ひたすらきれいな世界の中で ゴミ収集車に轢かれたい 君に会いたいと思えたら 悲しくなくても泣けるかな 抽出物が作った体に 少しは味が戻るかな 未知の惑星・ぼくの世界は ずっと前から不毛の地 春のぽかぽか陽気の中で 生き返るまで眠りたい

          コールドスリープ

          おでん

          愛も自由もこんにゃくも みんな毒ガスで死んでいく ぼくの眠りをさまたげる やかましい声を断ち切ろう ◇ ビールを飲んで怒ったかれは 物干し竿を蹴飛ばした それにならってあいつを殴り 足萎えと同じ目で見られ 塗れたタオルとライターだけで 生きてくすべてを決められて フエルトの猫をいっぱい産んだ お金になりもしないのに ◇ ぼくの心を踏み荒らす やかましい声も旅に出て 愛も自由も紺碧の海で みんな笑って死んでいく

          タイムトラベラー

          ⅰ.お前はテレビを見ないのに 結構なんでも知っている 気を許していた植え込みの花を へし折ってから七千世紀 いくつもあった筈の扉は ただの木屑に変わってしまい サンモールの地下1階に 1人でうずくまっている 中世時代の絵画に写る ぼくはタイムトラベラー ⅱ.お前は何にも知らないのに 世界を旅したつもりでいる 悲しい生き物の時に限って あの子は蝶々のふりをする サラダ油が作った体は 0秒以内に自壊して ふすまの隙間にナイフを刺す度 王様がちょっと死んでいく 破

          タイムトラベラー

          ともだちロボ

          ⅰ. 君を探すには古臭い 灯油の香りだけが頼り 街の明かりは一晩にして けなげなあいつをクビにして それでもイマイチ納得いかず ウニクレソンとか食べている 日毎伸びてく寿命の果てで おんぼろの君だけが頼り ⅱ. 君に似合うのはキナ臭い 危険な香りの裏仕事 おかしな博士の計らいで いきものらしさは充分だけど ウルトラレアな君の涙は 他の誰にも見せないで まだまだ消え去る予定も無いし 頑丈な君だけが頼り ⅲ.君が出会うのは頼りない 誰にも値しない男 知恵で買える