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未来を動かす水素エンジン「TCG 7.8 H2」とは? ー H2&FC EXPO秋最速レポート

2024年に開催されたH2&FC EXPO秋で注目を集めた技術の一つが、株式会社三井E&Sパワーシステムズ(MESPS)が展示していた「TCG 7.8 H2」水素エンジンです。この革新的なエンジンは、脱炭素社会を支える次世代のクリーンエネルギーとして、さまざまな業界から注目されています。今回は、この水素エンジンについて詳しく解説していきます。

動画で解説を聞きたい方はこちら⇩


TCG 7.8 H2水素エンジンとは?

TCG 7.8 H2は、ドイツのエンジンメーカーDEUTZ社によって開発され、三井E&Sパワーシステムズ(MESPS)が日本市場での販売を手掛けています。このエンジンの大きな特徴は、CO2排出量をほぼゼロに抑えることができる点です。従来のエンジンでは化石燃料の燃焼により多くのCO2が排出されていましたが、水素を燃料とするこのエンジンは、燃焼の結果、水(H2O)が生成され、CO2の排出が理論上ゼロに近くなります。

実際の排出量は、1g/kWh未満と驚異的な低さを達成しており、従来のエンジンと比較しても環境への負荷を大幅に軽減することができます。

2024年 H2&FC EXPO秋にて展示されたDEUTZ社のTCG 7.8 H2水素エンジン
近くで見ると大迫力!

TCG 7.8 H2の特長と用途

TCG 7.8 H2は、6気筒直列エンジンで、排気量は7.8リットル。最大出力は220kW、回転数は2200rpm、そして最大トルク1000Nmという高性能を誇ります。このエンジンは、さまざまな用途に対応できるため、例えば中距離バス、配送トラック、建設機械、農業機械、鉄道車両、発電機など、多岐にわたる分野で使用可能です。特に、バッテリー電動化が難しい長距離輸送重量物輸送において、重要な役割を果たすと期待されています。

引用資料:https://mdec.ca/2023/S6P1_DEUTZ_CO2-free_Powertrains.pdf

水素エンジンの課題と未来

TCG 7.8 H2は多くの利点を持つ一方で、いくつかの課題も抱えています。特に大きな問題は水素の貯蔵と供給インフラです。水素は体積あたりのエネルギー密度が低いため、ディーゼル燃料に比べると、より大きなタンクが必要となり、車両の設計や性能に影響を与えることがあります。

例えば、200kWの定格出力で1日8時間の運転を行う場合、ディーゼルなら約70kgの燃料で済むところ、水素エンジンでは390kgの燃料が必要になります。このように、燃料貯蔵や供給に関するインフラの整備が、水素エンジンの普及に向けた大きな鍵となるでしょう。

引用資料:https://mdec.ca/2023/S6P1_DEUTZ_CO2-free_Powertrains.pdf

安全面と技術的進展

水素エンジンを安全に使用するためには、水素の特性を十分に理解し、慎重に取り扱う必要があります。水素は非常に軽く、広範囲で可燃性を持つため、漏れやすいガスでもあります。高圧タンクの管理や、低温液化水素の取り扱いなど、技術的な進展と同時に、安全対策が求められます。

しかし、こうした課題に対しても、技術の進化が進んでおり、エンジンの排出ガス性能も非常に優れています。TCG 7.8 H2は、NOx(窒素酸化物)の排出量が0.017 g/kWh、PM(粒子状物質)は0.001 g/kWhと、現行の排出ガス規制値を大きく下回っており、大気汚染のリスクも大幅に低減されています。

引用資料:https://mdec.ca/2023/S6P1_DEUTZ_CO2-free_Powertrains.pdf

水素エンジンの未来への期待

水素エンジンは、特にカーボンニュートラルを目指す中で、バッテリー電動車では対応が難しい分野でのソリューションとして非常に重要な選択肢です。重量物輸送や長時間の運転を要する現場では、水素エンジンの利便性と環境性能が注目されており、今後の普及に期待が寄せられています。

ただし、エンジン技術の進化だけでなく、社会全体での水素インフラの整備法規制の整備が求められており、産業界、政府、消費者が一体となって取り組むことが必要です。


まとめ

TCG 7.8 H2水素エンジンは、環境にやさしく多用途に使える次世代のクリーンエネルギー技術として大きな可能性を秘めています。課題もありますが、今後の技術進展とインフラ整備が進めば、私たちの生活や産業界に革命をもたらすことでしょう。水素エンジンの未来に、引き続き注目していきたいと思います。

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とびchan.

【水素のお兄さん / とびchan.】
1999年5月7日生まれ 八王子市出身
好きなこと:水素、音楽
職業:水素のお兄さん / 東京スイソミル公式アンバサダー

水素について日本一わかりやすく、楽しく喋れる人になりたい!という思いで、現在水素を勉強中です!東京や甲府を拠点に水素に関する実験や、イベントを主催しています
水素をテーマに、これからの社会をどう生きていくか、みなさんと一緒に考える機会をたくさんつくって行けたらと思います!

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