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そうなった経緯とか全部抜きにして才木にはナイスピッチと言いたい【10/2 対ヤクルト戦△】

僕はこの日の投手起用やベンチ入り選手の是非について、とやかく言うつもりは全く無い。否定も肯定もしない。
ただ、シーズン最終戦のサヨナラ勝ちを信じて、ベンチ入り投手のラスト1人となった才木が延長3イニングを無失点に抑えた―
そのナイスピッチングを書いて残しておきたいと思った。ただそれだけだ。

1点ビハインドの9回2アウト、榮枝裕貴がプロ初打席で同点タイムリーを放った。この劇的なヒットを、ブルペンの才木浩人はどんな気持ちで見ていたのだろう。
シーズン最終戦を前に3位が確定したこともあって、この日の投手リレーはいつもとは違っていた。先発の西純矢は3イニングで交代し、湯浅京己や岩崎優は早いイニングで登板した。その後も細かい継投を続け、9回の守りが終わった時点で残りのピッチャーは才木ひとりになった。ビハインドのまま試合が終わる、もしくは逆転サヨナラ勝利すれば才木に出番が回ってくることなく試合は終わっていた。

代わりの投手は誰もいない。サヨナラできなければ最長で3イニングを投げなければならない。今日は甲子園、ホームゲームだからサヨナラ負けはなくて、自分で3アウトを取らないと試合が終わらない。ちなみに、もし試合に出られる選手が9人以下になった場合、そのゲームは没収試合となって強制的に負けとなる。ケガも退場も許されない。

才木はトミー・ジョン手術を経て今年の途中に1軍に復帰した。先発しては登録抹消を繰り返して、大事に大事に起用してきた。今日もベンチ入りしているから投げる準備をしているはずだけど、まさか残りピッチャー0人の状態で最大3イニング投げることになろうとは。
いろんなことが頭をよぎったけれど、あれこれ考えても試合は進むし状況が変わるわけではない。僕ができるのは甲子園で投げる才木を応援することだけだ。

10回の守り。才木は先頭打者を空振り三振に抑えた。上々の滑り出しだったが3連打を浴びて満塁のピンチを迎える。

(失点して試合がここで終わったほうがラクなんじゃないだろうか)

そんな疑念を振り払いながらマウンドの才木を見つめた。才木は続く打者ふたりを得意のフォークで仕留めた。ベンチの選手たちが笑顔で才木をねぎらった。10回裏、タイガースはサヨナラできなかった。

11回表、才木の2イニング目。先頭打者の出塁を許した。ストレートのスピードが少しずつ落ちてきた。それでも次打者を併殺に抑えて結果3人斬り。この時点で30球を投じた。11回裏、タイガースはサヨナラできなかった。

最後の守り。3イニング目。終わりが見えてきたからなのか、またストレートの威力が増してきた。直球で押し、フォークで決める。順調に2つアウトを奪った才木。最後はこの日12人目の打者をピッチャーゴロに抑えた。この瞬間、タイガースの負けはなくなった。
才木の41球。この日登板したタイガースの選手のなかで最も多い投球数だった。

ベンチに誰もいない危機的状況を、才木は乗り切った。よく抑えてくれた。

試合後、矢野監督のスピーチがあった。
「本当感謝感謝です。でももう少し僕たちと一緒に戦ってください」

……当たり前じゃないか。まだ一緒に戦える。4年間の集大成。1試合1試合噛み締めながら、一緒に戦いたい。お礼を言うのは、全てが終わってからだ。

さあ、横浜で思いっきり暴れてやろうぜ。
今度はこっちが「反撃」する番だ。


■あとがき
パリーグが大盛りあがりしている裏で、阪神タイガースのペナントレースが終わりました。開幕9連敗。借金16、勝率0割。先の見えない闇をさまよいながらの応援は、去年とはまた違うしんどさがありました(色紙事件もね)。
個人的な話で言うと、埼玉から福岡への引っ越しがあってその間はほとんど更新できなかったのが心残りでした。この間に活躍した選手もたくさんいたので。

キャンプ中の練習試合も含めて、この更新が53本目のようです。
ここまで読んでくださったみなさん、ありがとうございます。おもしろいと思えたものが1つでもあったら嬉しいですし、興味を持ってくれた選手がひとりでも増えてくれたら、それはもっと嬉しいです。

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