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こんなもんじゃないから。【3/20 対オリックス戦●】

今日みたいな試合は「何してんだよ!」って怒れるほうが楽なのだろうか。それとも「やれやれ、また何かやってんなー」ってお気楽に笑ってあげるほうが楽なのだろうか。僕には、分からない。碇シンジ君なら「笑えばいいと思うよ」って答えるのだろうか。

最終回の守り、小野泰己は今日8人目の投手としてマウンドに上がった。状況は2アウト3塁。一打同点ながら2アウト。打者ひとりを抑えて、ここまで順調に来ていたオープン戦を締める。シナリオはすでに出来上がっている、と思った。

小野のボールに、主審の右手が上がらない。

4番・杉本裕太郎には外気味に投じた4球すべてが外れた。続く野口智哉に投じた初球はキャッチャー・長坂拳弥の下を通り過ぎていった。走者の生還は免れたが、逆転サヨナラの走者が2塁に進んだ。野口は小野の球を4球見送り、1塁へ歩いていく。これで塁が全部埋まった。

どうしちまったんだ。

6番・ 紅林弘太郎もバットを1度も振らなかった。完全に制御できていない小野の投球を4度眺めて、ただ1塁へ向かうだけの打席。押し出し。

この日小野が投げた14球。
ストライクは、1球も入らなかった。
最後は代打・伏見寅威の打席で捕手が取れないようなボールを投じ、サヨナラの走者がホームインした。
カバーリングに向かった小野は口を半開きにして立ち尽くしていた。

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小野は背番号28を付けていたが、今年から98に変更となっている。
昨シーズン目立った結果を残せなかった選手の背番号変更。フロント・チームからの無言のメッセージであることは想像に難くない。そして、もし今年も結果が残せなかったら……。

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▲背番号28時代の小野

それまでストレートの威力が武器と称されてきた小野。だが今年のキャンプでは変化球の精度を高めていた。ストレートだけに頼らない投球を目指していた。カウントを奪うためのスライダーと、打者の手元で素早く曲がるカットボール。小野の投球内容に変化が見られるようになったのは明らかだった。

スタイルの変化はさっそく結果として現れる。オープン戦初登板となった2月27日の対スワローズ戦はミスが絡んで失点するも、3月5日のイーグルス戦、8日のカープ戦、12日のドラゴンズ戦、16日のホークス戦と4試合続けて無失点。制球が課題だと言われていたが、この間に四球を出した試合は1つだけだった。去年までの小野とオープン戦の小野は明らかに違っていた。
今日抑えればオープン戦を通してじゅうぶんなアピールができた投手のひとりに挙がる、はずだった。悔しい。

今日の投球を見て「何も変わっていない」って言う人もいるかもしれないけど、そうじゃない。小野は今までの自分を変えようともがいている。今日の結果を見て叩いたり呆れる人じゃなくて、過程を応援する人でありたい。

マウンドでの後悔は、マウンドで返してやれ。
小野がやってきたこと、こんなもんじゃない。

福岡ソフトバンクホークスに所属する千賀投手がこんな投稿をしていた。千賀投手ありがとう。

「小野ナイスピッチ!」
そう言う準備、僕はもうできているよ。

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