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自分のために、チームのために【9/27 対ヤクルト戦○】

「選手がまだ戦ってる途中でしょうが!」

例の報道を見たとき、心の中の黒岩五郎さんが声を荒らげた。

どこからどのようにして情報が公になったのか、どうしてこのタイミングだったのか、報道から読み取れないことは多い。
ただスワローズのリーグ優勝が決まった後に発表されたのは、優勝できなかった時点で今シーズンは終わり、そんな解釈をされた気がした。
ペナントレースはあと3試合が残っている。もちろん消化試合なんかじゃなくて、Aクラス入りするために選手やチームは必死に戦っている。
矢野監督は今年で監督を辞めると発表している。つまりAクラス入りできなかったら、ペナントレース終了を持って彼が指揮を取ることがなくなる。これまでのシーズンと重みが違う。

例のニュースを報じた人たちは、きっとそういうことはあんまり考えられてなくて、ただ自分のメディアのPV数や新聞の売上数が上がればそれでいいのだろう。もはや新聞は僕みたいな人を相手にしていないのかもしれない。

あと3試合、どうして集中させてくれないのかな。

涼しくなると、チームの勝敗以上に個人成績をじっと眺める時間が増える。ライバルチームのピッチャーを突き放すように順調に勝ち星を積み重ねてきた青柳晃洋。7月に両リーグ最速で2桁勝利に到達したが、8月2日のジャイアンツ戦を最後に勝ち星から遠のいていた。気づけば別のピッチャーも10勝に到達し、青柳の勝ち星数と差を詰めている。

最多勝が取れなかったからって、今年の活躍が否定されるわけではない。けれども、1年間頑張ってくれたご褒美として、「最多勝・青柳」の名前が刻まれてほしいと願っていた。

低い位置から放たれるボールが吹き上がるようにして打者の高めに投じられる。独特の軌道を描くボールの力強さに圧倒され、バッターは思わず空振りしてしまう。
青柳の良さは、そんなところにも現れている。スワローズ・村上宗隆と対峙した第3打席。低めのボールをファウルされてからの8球目。青柳のボールが高めに投じられた。村上のバットが空を切った。勝てなかった頃に比べて青柳の良さが戻ってきたような、そんな気がした。

青柳は6回を投げて1失点。後続のリリーフがリードを守りきり、青柳に13勝目が付いた。青柳が欲しかった13勝目。チームが是が非でも取りたかった勝ち星。

金本知憲前監督を迎えてからタイガースは選手の育成方針を強く掲げてきた。そんなタイミングで、青柳がタイガースからドラフト指名された。当時はまだまだ荒削りの投手だったけれど、金本前監督が可能性を信じて指名した。予想通り課題は山積みで、ファームで鍛錬を積んだ年もあったけれど、青柳は1つ1つ壁を乗り越えていった。そして矢野監督の下で青柳は自らの能力を開花させた。2年連続13勝。今シーズンは4完投2完封。押しも押されもせぬエースになった。

青柳は育成路線を掲げたタイガースの集大成だと思っている。
こんなピッチャーがタイガースにいることが誇らしい。
次はCSの1戦目かな。絶対に行くから、任せたよ。

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