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桐敷拓馬の落ち着きっぷりに、あの左腕投手の面影を見た【3/6 対楽天戦○】

タイガースファンの情報源としてお馴染みの月間タイガース。これを読めばたいていのことは分かる。

2月号は新人特集だ。ドラフト1位の森木大智、ドラフト2位の鈴木勇斗、そしてドラフト3位の桐敷拓馬が並んで表紙を飾っていた。J.ガンケルの代わりに先発することが報じられてから、改めて桐敷のインタビュー記事を読み直していた。

「焦らないように、って言葉にして自分を落ち着けています。言葉にしたほうが冷静になれるので」

落ち着いた人柄がよくわかる記事だ。大学時代に完全試合を達成できたのも、この落ち着きがあってのことなのかもしれない。

オープン戦とはいえ、日曜日の午後の甲子園。球場に来るまでの道は阪神ファンでいっぱいだったし、席に座って全体を見渡すとお客さんで埋まっていた。

まっさらなマウンドに桐敷が向かう。投球練習を済ませ、楽天の1番・西川遥輝が打席に立った。ボール球は振らず、甘い球は逃してくれない。先頭で迎えるにはこれ以上ないくらい嫌な打者だ。桐敷は西川に対してわずか2球で追い込むことに成功。でもそこからボール、ファウル、ボール、ボール。外のコースであれこれしてバットを振らせようとしたが、簡単には打ち取れない。これが、一流のバッターだ。7球目。初めて投じたスライダーにバットが止まった。先頭の西川に四球を与えた。

昨日先発した藤浪晋太郎は先頭の出塁をきっかけに失点した。誰もが難しい立ち上がり、さあどう乗り切る。桐敷の表情は変わらない。続く小深田大翔にもフルカウントまで持ち込まれたが、内野フライに打ち取った。3番・和田恋にはインコースの直球で見逃し三振を奪った。腰を引いた和田が驚いていた。4番・島内宏明はセカンドゴロ。先頭の出塁を許した桐敷だったが、後続を抑えて0点でベンチに帰った。

初回を0で抑え、エンジンのかかった桐敷は楽天打線を面白いように打ち取っていく。4回1安打無失点。その1安打も内野安打だ。桐敷の好投に乗せられるように、打線も先制点と追加点を加えた。勢いに乗っても桐敷の表情は変わらなかった。淡々と、という表現がよく似合う。

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1球1球を確かめるようにしてキャッチボールをする桐敷。
なんだか……ベイスターズの今永昇太に似てない?
キリッとした目と「へ」の字に曲がった口。

なるほど、そりゃ抑えるわけだ。
初めての甲子園で、最大限の評価とたくさんの経験を持ち帰った。

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