見出し画像

マウンドで翔べ 石井大智【3/14 対ベイスターズ戦○】

WBCで湯浅京己が頑張っている。去年の今頃にこの躍進を想像できた人が一体どれくらいいただろう。確かにオープン戦の成績は良かったけれど、まさか最優秀中継ぎ投手のタイトルを獲って、侍ジャパンに選ばれるなんて。
去年の今頃なんて「なんか湯浅今年は活躍するかもねー」ってくらいにしか思われていなかったはず。今でこそ沢山の人が応援してくれているけど、去年のオープン戦の頃はまだ全然だった。
そして、今年は同じ中継ぎの石井大智にも期待してしまう。昨シーズンのブレイク枠が湯浅なら、今シーズンのブレイク枠は石井だ。そう思わせてくれるだけのボールを投げている。

湯浅と石井。何の偶然なのか、ふたりには共通点がある。湯浅も石井もドラフト最下位入団で独立リーグ出身。湯浅はBCリーグの富山、石井は四国ILリーグの高知でプレーした。去年のフェニックスリーグで四国ILリーグ選抜のチームがタイガースと対戦した試合を見に行ったとき、石井がリーグ選抜の選手にあいさつしているのを見かけた。選抜メンバーは「いつか石井さんのように」って憧れの目で見ていたのかもしれないけれど、石井自身は2軍にいることをもどかしく感じていたかもしれない。

---------------------------------------

原口文仁のタイムリーなどで一挙5点を奪って逆転した直後、石井の出番がやってきた。先発の西勇輝が5イニングでヒットを9本打たれている。この日のベイスターズ打線は活発そうだ。点を取ってもらった直後の守り。シーズン中なら試合の主導権を握るかどうか、かなり重要な場面になる。先頭の桑原将志が初球から打ってくるもセンターフライに打ち取った。続く打者も初球打ち。3人目の打者も初球打ち。石井が3球でこの回を終わらせた。
石井は続く7回のマウンドにも上がる。この回も打者3人で抑えた。

石井の特徴といえば躍動感溢れる投球フォームだ。低く沈み込むようにして体を動かし、ボールを投げた後はまるで全身の力を解放するかのごとく手足が大きく動く。まるで鳥のようだ。投げ終わりのダイナミックなフォームが印象的で、つい何度もカメラのシャッターを押してしまう。

オープン戦の石井は5試合を投げて防御率0.00、打者19人と対戦して被安打はわずか1。四死球はない。ちょっと異次元な数字が残っている。まさに無双状態だ。もともと直球の質が良くて簡単には打たれなかったが、今年になってフォークを投げ始めた。石井の代名詞といえば左打者から見て逃げていくように落ちるシンカーだったが、今は落ちる球を2種類投げている。どちらの球種も打者の手元で鋭く落ちている。この日の登板でもフォークで空振りを奪った。打者の反応を見るに、直前までストレートと見分けがついていないのではと思う。
2年前の開幕戦、ルーキーだった石井はリードした場面で神宮球場のマウンドに上がった。藤浪晋太郎の白星を守りきれず逆転を許し、ベンチで目を赤くした。あれから色んな経験も積んだ。使える球種も増えた。

開幕までおよそ2週間。次のスターは、君だ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?